温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

寺宝温泉

2012年09月09日 | 新潟県
 
某日、長岡市郊外の「寺宝温泉」を利用してきました。こちらはコシヒカリの水田が渺茫として広がる越後平野の在地に自噴する温泉として、界隈のみならずネット上でも評価が高く、どんなお湯を楽しめるのか、一度自分で確かめてみたかったのです。鉄筋造の建物の1階が浴場ゾーン、2階以上が宿泊(湯治)&部屋貸しゾーンとなっています。宿泊に関しては歓楽的ではなく湯治色のつよいものとなっているようであり、また日帰り利用も積極的に受け入れています(どちらかといえば公衆浴場的な使われ方の方がメインかもしれません)。


 
敷地内には鄙びた木造の旧館がありますが、現在は使われていないようです。またその傍らには大きな源泉タンクも設置されていました。



旧館から鉄筋造の新館に移ったぐらいだから、館内はそれなりに広いのかと思いきや、全体的にかなりコンパクトにまとめられており、共同浴場に毛が生えた程度の大きさと言っても過言ではないほどであり、外観の大きさから思い浮かべる立派な館内イメージは思いっきり覆されてしまいました。受付前の休憩スペースでは、多くの湯上り客が、肩を寄せ合いながら休んでいます。館内の一角に設置されている流し台では源泉専用の蛇口が設けられていました。


 
また何故か脱衣所もかなり狭く、室内はきちんと手入れされ、一般的な備品類も揃っているのですが、ただでさえ身を縮めながら着替えねばならないような状況ですから、週末の混雑時には修羅場のような様相を呈するのではないかと想像されます。


 
お湯の質や湯使いについては自信があるようで、それらに関する細かい説明が掲示されていました。「効能通り効き目が強い為、初めての方は1日1回位(中略)でお願いします」という注意書きには恐れ入りました。そんなに濃いのですか…。


 
お風呂は内湯と露天の2ゾーンに分かれており、こちらは内湯の様子です。浴室に入ると、手前側の左右に洗い場が分かれており、それぞれにシャワー付き混合水栓が2基ずつ(計4基)設置されています。また浴槽も左右に分かれてひとつずつ据えられており、つまり浴槽入口を軸ににして左右がシンメトリになっているわけです。洗い場の各ブースには仕切り板が設置されているため隣の人との干渉を気にせず利用でき、また湯船との間にもパーテーションが取り付けられているため、洗い場と湯船との間はかなり近接しているものの、シャワー(シャンプー等)の泡が湯船に混入するのを防いでくれます。カランから出てくるお湯は源泉利用です。

左右の浴槽には薄い麦茶のような褐色透明のモール系源泉が注がれていますが、右側の浴槽は色が薄めで湯加減は40℃くらい、一方左側は濃いめの色で42~3℃の温度設定となっていました。源泉温度から考えると双方とも加温の上で投入されているものと思われます。また双方とも放流式の湯使いであり、加水・循環・消毒は行われていないとのこと。



こちらは露天ゾーンでして、岩風呂と檜風呂がひとつずつ据えられています。岩風呂は茨城県笠間で産出された20トンもの巨大な岩を刳りぬいて造られた贅沢な湯船であり、キャパは2人。熱くもなくぬるくもない適温に調整された源泉が注がれ、しっかりとオーバーフローしています。

一方、檜風呂は寺宝温泉の中で私が最も気に入った浴槽であり、私のみならずあらゆる利用客からも人気を集めていました。ひっきりなしにお客さんが入浴していたため撮影していませんが、この檜風呂には非加温と思われる35℃前後の源泉が注がれており、ヌルヌルに近いツルツルスベスベの非常に爽快な浴感、そして全身にびっしりと付着する気泡、さらにはいつまでも長湯していたくなる不感温度帯、という3大要素を擁しているため、人気を集めるのはさることながら、一度浸かると長湯必至のために回転が悪く、しかも2~3人しか入れない小さい浴槽であるためなかなか入浴の機会が得られません。訪問日も私を含め、利用者全員が内湯や岩風呂などで虎視眈々と檜風呂が空くのを待っていました。
お湯の特徴としては、上述のように褐色透明のモール系のぬる湯であり、弱いながらも重曹味に臭素臭と微ガス臭が感じられ、特に檜風呂における泡付きは感動的です。また重曹メインのお湯ですから、湯上りは非常にさっぱりとして爽快感が全身を包み、お肌もすべすべになって、まるで全身の肌が剥きたてのゆで卵になったかのようです。

私のようなヌル湯やアワアワ湯が好きな人間にとって、この寺宝温泉の檜風呂は忘れられない夢のような心地よいお湯でした。一方で、施設の全体的な狭さがどうしても気になります。お湯の供給状態などでスペースを決めたのかもしれませんが、湧出量に限度があるため湯船の大きさは限定的にせざるを得ないにせよ、入浴とは直接関係のない脱衣所・洗い場・そして休憩室などはもう少し広くしてくれても良かったかな、と何も事情を知らない初見の外部者は勝手に思ってしまいました。設備面や館内の雰囲気などを考えると、わざわざ観光で行くようなところではありませんが、ヌル湯好きの方やアワアワ湯好きな方でしたら、檜風呂に入るだけでも充分満足できるかと思います。


単純温泉 30.4℃ pH7.8 110L/min(掘削自噴) 溶存物質404.3mg/kg 成分総計409.5mg/kg 
Na+:59.4mg(70.49mval%), K+:17.3mg(12.02mval%),
HCO3-:197.4mg(92.57mval%),
H2SiO3:110.3mg,

新潟県長岡市寺宝町82
0258-28-4126
ホームページ

8:00~21:00
600円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント
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