温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

新湯の山温泉 グリーンホテル

2012年11月20日 | 三重県

三重県を代表する温泉地である湯の山温泉郷の「グリーンホテル」で日帰り入浴してきました。本来の湯の山温泉よりも全然手前側(平野側)に位置しているためか、こちらでは湯の山という地名の頭に「新」の文字が冠せられているんですね。私は大規模な温泉ホテルに対してあまり興味を抱けないのですが、お湯の質が良いという情報を以前から目にしていたので、実際にどんなお湯なのか確かめてみたく訪問したのでした。


 
ワインレッド色の絨毯が敷かれた広いロビーには、たくさんの土産物類が陳列販売されており、フロントとは別に販売コーナーにもスタッフが配置されていました。昭和の温泉ブームを彷彿とさせる旅館営業スタイルがここではまだ健在のようです。このロビー左手から伸びる廊下を進み、途中で階段を下りて案内に従い左折や右折してゆきます。


 
すると、今までのいかにも昭和然とした館内から突然ラグジュアリ感溢れる渡り廊下につながり、緩やかに下るその廊下を抜けると浴室棟に到着です。この渡り廊下から先は明らかにここ数年の間に全面改築された新しい建物なのでしょう。



浴室の入口(下足場)はえらく立派で非常に良く清掃されており、どこもかしこもピカピカに輝いています。普段鄙びた温泉ばかり利用してる私にとってはあまりに眩しく、情けない哉、踏み込むのを躊躇いそうになってしまいました。

下足棚の上には温泉分析表や温泉協会の温泉利用証が誇らしげに掲示されていました。こちらでは2つの源泉を4つの浴槽へ引いているようですが、分析表や利用証がいくつも掲示されてるため、どのお風呂でどの源泉が使われているのか、オツムの弱い初見の私にはあまり把握できませんでした。


 
更衣室もとっても広々しており、子供だったら思わず駆け出したくなっちゃうかもしれません。また床には葦簀のような化成床材が敷かれていて足元も快適です。水回りもこまめに掃除されており、綺麗で清潔。ロッカーの数も多く、ストレスフリーで利用できました。


 
側面が大きなガラス窓となっている浴室はとっても広くて開放的。非日常的な「ハレ」の空間ですね。

室内にはまるで屋内プールを彷彿とさせる大きな主浴槽がひとつと、小さな4人サイズの源泉風呂がひとつ、計2つの浴槽が据えられています。主浴槽には2号泉が使われており、循環装置を運転させつつ新しい源泉も供給するかけ流しと循環の併用なんだそうですが、浴槽の縁からはしっかりお湯がオーバーフローしており、実際に入ってみても循環湯にありがちの鈍った感じもあまり感じられなかったので、湯船における新しいお湯の割合は相当高いのではないかと思います。なお槽内の一部ではジェットバスやジャグジーが稼働していました。



洗い場にはシャワー付き混合水栓が浴室の左右に分かれて計16基設置されています。脱衣室側から見て左側の5基には各ブースに仕切り板が取り付けられていますが、右側11基は仕切りがなく単純に横一列に配置されています。湯量が豊富のようでして、シャワーからは源泉のお湯が出てきます。これら16基の他、立って使うシャワーも2基設置されていました。


 
内湯で白眉なのがこの源泉風呂「ひすいの湯」です。上述のようにとってもデカい浴室なのにもかかわらず、私が内湯で終始入っていたのがこの小さな湯船でした。文字通り源泉が放流式で用いられいる湯船でして、加温加水なしの源泉は浴槽中央の底から供給され、絶え間なく切掛けから窓側へとオーバーフローしてゆきます。加水なしの為かやや熱い湯加減ですが、ツルツルスベスベの浴感が非常に気持ちよく、特に鮮度感が良好でしたので、体がのぼせてしまうのに、なかなかこのお湯から離れることはできませんでした。
お湯は薄い黄色透明で、木屑のような湯の花がたくさん舞っており、重曹ほろ苦味+微金気味+微タマゴ臭&味が感じられました。



内湯から露天へ出たところには、3号泉を飲める飲泉場が設けられており、ありがたいことに紙コップまで用意されていました。お湯にはフッ素が含まれているため一日2杯までとのこと。飲んでみると重曹ほろ苦味+微かなモール泉的風味が喉を通り過ぎ、樹脂系アブラの匂いが鼻へと抜けていきました。



内湯の窓から見える露天風呂「癒しの湯」です。このお風呂は最近増設されたらしく、ここだけ妙に新しい感じでした。日本庭園の中に八角堂を模した様な浴槽と屋根が設けられており、槽内こそ石板タイルですが、浴槽縁や屋根には木材が使用されていて、和のテイストを醸し出すとともに周囲の緑と見事に調和していました。


 
木の樋から2号泉のお湯が落とされています。槽内には循環用の吸引口および吐出口があって、手をかざしてみたらしっかり稼働していましたが、それと併用して新しいお湯も相当量が供給され且つ排湯されており、浴槽縁の切掛けから捨てられてゆくお湯は、供述する「なごみの湯」へのアプローチ脇で川を成しているほどでした。



「癒しの湯」と模造竹垣の間に伸びる緩い坂を下りてゆくと…


 
もうひとつの露天風呂である「なごみの湯」にたどり着きました。お風呂というより日本庭園の池そのものといった雰囲気ですね。このお風呂に浸かったら、庭園の錦鯉の気持ちが多少はわかるかもしれません。こちらは飲泉所と同じ3号泉が使われており、「癒しの湯」と同様に一部循環を併用している湯使いです。

とにかく大きくて綺麗で立派であるということが、私が感じたこちらのお風呂に対する総評でした。ここで2つの源泉に関して私なりのインプレッションをまとめてみますと…
 2号泉:薄い黄色透明、木屑のような湯華沢山、重曹ほろ苦味+微金気味+微々タマゴ感
 3号泉:薄い黄色透明、湯華は2号泉より少ない、重曹ほろ苦味+微モール感+樹脂系アブラ感
 両方共通:ツルツルスベスベの浴感がはっきりしていて爽快
こんな感じになるでしょうか。各浴槽とも塩素消毒が実施されているようですが、その点に関しては特に気になりませんでした。個人的には内湯の小さな源泉風呂と飲泉所がとても気に入りました。デカい風呂を利用しておきながら、こじんまりとした設備にしか興味が持てないというのは、私の悲しい性でありますが、このふたつがお湯の特徴を最もよく感じられる設備であることは間違いありません。
大規模な観光ホテルだからお湯はダメだろう、という先入観を捨てて利用してみるといい事があるのかもしれませんね。


癒しの湯(新湯の山温泉2号泉源)
アルカリ性単純温泉 41.3℃ pH8.6 200L/min(動力揚湯) 溶存物質0.70g/kg 成分総計0.70g/kg
Na+:188.4mg(96.58mval%),
Cl-:45.2mg(14.63mval%), HCO3-:396.6mg(74.88mval%), CO3--:18.0mg(6.91mval%),
H2SiO3:32.2mg,

みどりの湯(新湯の山温泉3号泉源)
アルカリ性単純温泉 45.9℃ pH8.6 500L/min(動力揚湯) 溶存物質0.53g/kg 成分総計0.53g/kg
Na+:155.7mg(96.16mval%),
Cl-:104.9mg(43.34mval%), HCO3-:208.7mg(50.07mval%), CO3--:6.3mg(3.07mval%),
H2SiO3:34.3mg,

常時循環濾過装置使用、熱交換により加温、衛生管理のため塩素系薬剤使用
放流一部循環濾過式

近鉄湯の山線・湯の山温泉駅より徒歩約10分強(720m)
三重県三重郡菰野町大字千草7054-173  地図
059-392-3111

日帰り入浴10:00~18:00 日帰り入浴は木曜定休
650円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ロッカーあり

私の好み:★★
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする