温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

雌阿寒温泉 オンネトー温泉景福

2012年11月28日 | 北海道
※残念ながら閉館してしまいました。


前回取り上げた「野中温泉」に続き、今回はその隣に位置している「オンネトー温泉景福」です。こちらには以前立ち寄り入浴で訪れたことがあるのですが、今回は宿泊での利用です。1泊2食付で一人6,500円というリーズナブルな価格設定なので、私のように爪で火を灯すような毎日を送っている細民でも気兼ねなく泊まることができちゃいますね。



今回宛てがわれたお部屋はこちら。6畳あるかないかの、まさに一人旅サイズのコンパクトな室内でして、布団はセルフで敷き、冷蔵庫は無し、タオルを含めてアメニティ類の用意も無いので自分であらかじめ準備しておくというかなり省サービスなシステムなのですが、床にはカーペットが敷かれており、テレビだって置かれているので、特に支障なく一晩を過ごすことができました。なお難視聴地域対策の放送を受けているため、テレビに映るのは関東広域圏の番組です。もっとも、宿泊中は風呂に入るか飯を食うか寝るかのいずれかですから、テレビなんて別にどうでも良いんですけどね。ちなみに今回のお部屋のすぐ目の前が浴場入口でしたので、その気軽さが手伝って宿泊中は何度もお風呂に入っちゃいました。



お食事は食堂でいただきます。宿泊中はご主人お一人しかスタッフの姿を見なかったのですが、一人で切り盛りなさっているのか、ご主人はとてもお忙しそうでした。


 
画像左(上)は夕食。夕方6時からいただきます。値段相応な内容およびボリュームですが、マスの刺身やクレソン・フキのおひたしなどご当地らしい献立も並べられており、これらの美味しいおかずのお蔭でごはんのお箸が進み、気づけばお櫃のお米は空になっていました。
画像右(下)は朝食で、7:30からです。焼鮭に海苔という日本の旅館らしいラインナップですが、ハムや目玉焼きが中央に鎮座しているあたりは家庭的なぬくもりが感じられます。



宿泊したお部屋の前が浴室の入り口。画像の右が内湯で左へ入ると露天です。まずは内湯から。



揮発油のようなツーンと鼻孔を刺激する強い匂いが充満する内湯の室内。その匂いの強さのあまり、浴室に一歩足を踏み入れた途端、軽い目眩と頭痛が発生し、目はショボショボし、喉はイガイガして咳き込んでしまいました。以前入浴したときも同じ症状が起きましたが、相変わらずここのお湯は強烈です。また、お湯を口にしてみますと、唇が痺れちゃうほど強い渋みとえぐみ、そして苦味を有しており、匂いとともに味も非常にアグレッシブなんですね。温泉の刺激に関してはドMな私はこうした刺激を受け、その強さに涙を流しながら喜んでしまいました。



洗い場にはカランなんてものはなく、ぬるい水が出てくるバルブがひとつあるだけ。石鹸の類の備え付けもありません。
お湯は湯船から桶で直接汲むことになります。湯船のお湯は上述のような匂いを発していますから、こちらで洗髪したり体を洗ったりすると、全身から油の匂いが漂よっちゃいますが、これは致し方ありません。



拙ブログをご覧の方なら皆様御存知かと思いますが、内風呂のお湯は玉砂利が敷かれた岩盤の底から足元湧出しており、そのお湯は非常に清らかに澄み切っています。この足元湧出は男湯の特権なんだそうでして、女湯は男湯の底で湧いたお湯を受けて利用しているようです。なお浴槽の縁には硫黄が黄色く付着していました。


 
このお風呂に入った人なら、誰しもこのパイプに関心が及ぶでしょう。下から立ち上がった塩ビのパイプからぬるくて強烈に苦いお湯がドバドバと吐き出されており、昼間や夜間は真下に置かれた桶に落とされるだけで、特に何かしらに使われること無く捨てられていますが、早朝の浴室清掃直後にお風呂へ行ってみますと、このパイプが浴槽へと向きを変えられており、湯船のお湯をいち早く溜めることに一役買っていました。


 
次にこちらの通路を進んで露天風呂へ向かいましょう。



露天風呂は混浴。内湯と違って美しい青白色に濁ったお湯が張られております。池のように広いお風呂が、雌阿寒の麓の自然豊かな環境のもとに据えられており、とっても開放的です。混浴とはいえ、女湯側にはちょっとした目隠しの仕切りがありますから、女性の方でも男性の存在を気にせず入浴することができますね。


 
こちらのお湯は湧出したては無色透明ながら、時間の経過や空気との接触に伴って徐々に白濁してゆくんですね。硫黄のコロイドによって濁っているわけですから、コンディションによって変色するかもしれません。今回でも夜と早朝では濁り方が異なっており、掃除直後の早朝の方が透明度が高かったようでした。
ちなみに露天風呂はかなりぬるく、私が利用した秋の某日は朝晩の冷え込みが厳しかったため、一度露天に入るとなかなか湯船から出ることができず、結果的に長湯してしまいました。もっとも湧出したばかりの内湯ですら40℃くらいですから、表面積が広い露天はかなり冷めてしまうわけです。でも私以外のお客さんもぬるさを気にせず、開放的な環境と綺麗な白濁湯を絶賛しながら長湯なさっていましたから、それだけの魅力がこの露天風呂にはあるのです。暑い夏に入ったら爽快で気持ち良いでしょうね。同じお湯でありながら内湯と露天で違った顔を見せる個性的な温泉が楽しめる、とても敷居の低い家庭的なお宿です。


源泉名:景福
含硫黄-マグネシウム・カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 41.6℃ pH5.8 湧出量不明(自然湧出) 溶存物質3.222g/kg 成分総計3.798g/kg
Na+:239.7mg(22.15mval%), Mg++:215.9mg(37.74mval%), Ca++:339.7mg(35.99mval%),
Cl-:451.5mg(27.79mval%), HS-:1.8g(0.11mval%), SO4--:1365mg(61.98mval%), HCO3-:281.1mg(10.05mval%),
H2SiO3:233.8mg, CO2:544.4mg, H2S:31.6mg,

北海道足寄郡足寄町茂足寄162-1 地図
0156-29-7370
ホームページ

日帰り入浴10:00~20:00(1泊2食6,500円、素泊まり4,000円)
冬季(11月下旬~3月末)休業
300円
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (4)
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