温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

箱根関係のきっぷあれこれ(小田急・箱根登山)

2013年05月16日 | 旅行記
※今回の記事に温泉は登場しませんのであしからず。

都市圏の鉄道やバスはICカードで乗車するのが一般的となり、本年(2013年)3月からは一枚のICカードで主な都市圏を相互利用できるようになったことは皆様御存知のとおりです。私はモバイルSuicaを愛用していますが、この一つで札幌のJRや別府の路線バスが小銭不要でスムーズに乗れちゃうんですから、鉄道やバスを利用した温泉めぐりも格段に便利になりました。
でもアナログ思考な私は、切符のデジタル化が進めば進むほど、予め印刷された古典的な切符に対する郷愁の念が強くなり、できれば昔ながらの硬券や手書きの券類を入手したくなってしまいます。紙の券を手にして旅をすると旅情が余計に高まりますし、写真と一緒にアルバムへ挟めば想い出もより立体的になりますもんね。
これまでも拙ブログでは手書きの切符関係に関する記事をアップしてきましたが、今回は箱根関係のものをいくつか取り上げてまいります。


●「箱根旧街道・1号線きっぷ」
 
(左右の画像ともクリックで拡大)
首都圏屈指の観光地である箱根には様々なフリーパス類が発売されていますが、「箱根旧街道・1号線きっぷ」もその一つでして、箱根登山鉄道の駅や箱根登山バスの案内所、小田急の各駅で購入できる一日限り有効のものです。名称の通りに奥湯本や畑宿などの旧街道沿いや、宮ノ下・小涌園・芦之湯・元箱根・箱根町など国道1号線沿いを散策するにはとっても便利であり、小田原から芦の湯以遠(元箱根や箱根町など)を単純往復するだけでも、正規料金よりこの切符を買ったほうがかなり安く済みます(箱根は路線バスの料金設定が妙に高いんです)。しかしながら他のフリーパス類と同様に小田急グループ(箱根登山)と西武グループ(伊豆箱根)で利用できる交通機関が分かれており、発売箇所からもわかるようにこの切符は小田急グループのみの適用となりますので、同じルートを走っている伊豆箱根バスには乗車できません。また強羅・仙石原・大涌谷方面も使えません。
さてこの「箱根旧街道・1号線きっぷ」は小田急各駅の券売機で購入するとごくふつうの定期券サイズの感熱券によって発行されますが、箱根登山バスの案内所で購入すると予め印刷されたカラフルな長方形の常備券で発行してくれます。どちらも効力は同じですが、常備券の方が券らしい味わいがありますね。また券売機の券では裏面が真っ黒ですが、こちらでしたら利用できる範囲が図説されているので便利です。ということで、先日箱根を訪れた際には小田原駅東口にある箱根登山バスの小田原案内所で購入し、小田原駅の小田急改札で入鋏してもらいました。


 
ついでに、利用した際に撮った画像をいくつか。
箱根湯本駅では強羅行の電車が水を補給しておりました。しばしば「何で水を汲んでるの?」という質問を耳にしますが、これは急カーブを曲がるときに摩擦を軽減させるため、レールと車輪の間に撒く水を汲んでいるわけです。普通の鉄道でしたらグリスのようなものを用いますが、登山鉄道で油を塗っちゃうと滑って急勾配を登れなくなっちゃうため、このように水で代用しています。なお大平台~宮ノ下の強羅行電車に乗っていると、この散水に関する説明が車内アナウンス(テープ)で流れますので、一度は耳になさった方も多いかと存じます。



「箱根旧街道・1号線きっぷ」で電車に乗れるのは小涌谷駅まで。そこから先はバスに乗り換えます。強羅行電車の車掌さんは決して箱乗りしているわけじゃありませんよ。



●小田急ロマンスカーに硬券や補充券で乗る
 
芦の湖畔の箱根海賊船・元箱根案内所へとやってまいりました。この案内所の窓口では桃源台方面へ向かう海賊船の乗船券を発売しているのですが、実は小田急の特急券や乗車券も取り扱っており、切符蒐集家のみなさんにとっては有名な場所でもあります。
しかし、ここで小田急の券を発券するには手間と時間を要し、混雑時に発券を依頼しちゃうと海賊船の切符を買いたいお客さんに迷惑を掛けてしまいますので、もし購入を希望する場合は、窓口が明らかに空いているタイミングを窺って依頼しましょう。


 
(左右の画像ともクリックで拡大)
左(上)は箱根湯本→新宿の乗車券、右(下)は箱根湯本or小田原→新宿までの特急券です。いずれもA型硬券です。小田急の硬券特急券は、上り列車については券面に赤い斜線を引くのが伝統となっていますが、この券もちゃんとその伝統に則っていますね。なお特急券の発券に際しては、まず窓口の方が客から希望列車・乗車区間・人数を聞き出して所定の台紙に記載し、電話でどこかへ問い合わせ、座席が確保できたら券に必要事項を記載します。
ちなみに元箱根案内所で用意されている硬券は、乗車券・特急券ともに新宿までのものだけのようです。


 
こちらはそれぞれの裏面です。左(上)は乗車券、右(下)は特急券です。


  
(左右の画像ともクリックで拡大)
新宿以外は補充券で対応してくれます。左(上)は箱根湯本→新百合ヶ丘の乗車券、右(下)は箱根湯本or小田原→町田までの特急券です。特急券は列車名が無かったり席番の記載場所を誤解していたりと、記入方法に関して突っ込みどころ満載ですが、ま、支障なく乗れたので問題なし。



(画像はクリックで拡大)
両方共裏面は共通です。



夕暮れ時の箱根町バスターミナル。バスのすぐ後背には箱根観光船(海賊船)の箱根町港があり、前回取り上げた「夕霧荘」もここから徒歩2~3分です。小田急の2013年3月期決算説明資料(PDF)によりますと、箱根観光船の輸送人員は昨年度比で21.9%(上半期では38.7%)も増加したんだそうです。とはいえこの数値は震災と原発事故の影響で観光客が激減した2011年度の反動ですから、増加というよりV字回復と捉えるべきものでしょう。ちょうどこのバスを撮影した10分ほど前に船が港に到着し、甲板や客室で芦ノ湖の景色を楽しんでいた多くのお客さんが下船してきました。
船で桃源台から箱根町や元箱根までやってきた客は大抵の場合、路線バスで湯本方面等へ戻るわけですが、大きな遊覧船に対して、その受け皿となるバスは一般的な車体の路線バス1~2台だけであり、その路線は1号経由と箱根新道経由の急行バスの2本がありますが、後者は観光の楽しさを奪うほど寿司詰め状態で出発して行きました。バスって増便やルートに関して柔軟性に富む乗り物なんですから、もう少し融通がきかないものかな…。



さて、元箱根案内所で購入した特急券で「はこね44号」(箱根湯本19:00発)に乗車し、帰路に就きます。湯本駅の改札を通ると、既にホームに入線していたVSEの車内ではアテンダントの方が折り返しのため準備の真っ最中でした。
私は長らく小田急沿線に住んでおり、通勤の帰りには頻繁にロマンスカーの「ホームウェイ号」を利用するので、ロマンスカー自体はちっとも珍しくないのですが、「ホームウェイ号」に使われるのはEXEやMSEが多いため、VSEに乗る機会はちょっと特別です。ついついアテンダントさんに生ビールを注文してしまいました。


●箱根登山電車の車内補充券
 
再び小涌谷駅です。このときは日没前に訪れたのですが、夕方になると駅から駅員は姿を消し、無人駅になってしまいます。


 
(左右の画像ともクリックで拡大)
こちらは箱根登山線の車内補充券です。小涌谷を含め、宮ノ下や大平台などの駅は日中以外無人となり、切符を購入することもできませんので、車内で車掌さんから購入することになります。数年前まではどの路線でも車内で精算するなんて極めて当たり前でしたが、首都圏の大手私鉄ではほとんど車内精算が消えてしまい、一部の中小私鉄に残るばかりですね。箱根登山電車ではSuicaやPASMOでも乗車できますから、車内精算するお客さんも減っているかもしれませんね。

.
.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする