温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

三星のネギ料理と宜蘭の魚団子ビーフン

2013年05月05日 | 台湾
※今回の記事に温泉は登場しませんのであしからず


●三星のネギ料理
 
3つ前の記事で取り上げた「櫻花温泉」のコテージで宿泊した夜、夕食を摂るために車で9km先にある三星の街へとやってまいりました。幹線道路である台7丙線に沿って小規模の店舗が雑然と軒を連ねている、いかにも田舎らしい街並みですが、飲食店の数は意外と多く、宜蘭県内陸部の温泉を巡っている際に食事で困ったとしても、ここまで足を伸ばせば食うに困ることはないできるでしょう。



これは警察署の建物。この街は一帯の中心的な役割を果たしているらしく、警察のほか郷役所や保健所・図書館など公的機関が一通り揃っているようです。



夕刻の日没直前、メインストリート沿いに建つお寺では、地元の敬虔な信者の皆さんが熱心に拝んでいました。



私は三星という街に今回初めて訪れたのですが、初めてどころかこれまで存在すら知らず、三星郷という土地がどんなところか知識が全くありませんでした。しかし清水温泉(櫻花温泉)から三星の街まで車を走らせている道すがら、車窓にはネギ畑が広がっていて、沿道のあちこちにネギの看板が立っていることに気づき、街に入ったら「葱」と書かれた店のユニフォームを着た人も見かけたので、どうやらこの土地の名物はネギであることが察せられ、どうせなら土地の名物を食べてみたくなったので、「葱蒜(ネギ)料理」の看板を掲げていたこちらのお店「欣欣食堂」に入ってみました。



今回注文したものは「ネギと玉子の炒めもの」「牡蠣のスープ」「えびチャーハン」の3品。
なぜか似たような色合いのものが揃ってしまいましたが、見た目とは裏腹にいずれも味が素晴らしい。
まずチャーハンですが、満遍なく火が通っていてごはんがパラパラ、味付けもむらがなく丁度良い加減で、実に美味い。でも台湾でこのレベルのチャーハンはどこでもいただけるので、驚くほどのものではありません。



プリプリでジューシーなカキがたっぷり入ったスープは、台湾らしく少々薄味なので食べ始めは物足りないような感じがしますが、しっかり出汁がとられているので啜り続けているうちにその味にハマってしまい、薬味のネギも良いアクセントとなっているため、どんどん飲めてしまいます。また変な調味料が使われていないためか、後味もさっぱりです。



今回の主人公はご当地名物のネギを玉子と一緒に炒めたこちらの一品。これが篦棒に美味なのです。シンプルな調理方法ほど素材の味が前面に出てきますが、単にネギと玉子を炒めただけなのに、ネギが非常に柔らかくて甘く、変な刺激や臭みはありませんし、歯の隙間に挟まるような筋も皆無であったので、一度食べ始めると加速度的に箸が進み、気づけばペロっと平らげ、舌舐めずりしてしまいました。普段ネギは薬味などの脇役に徹することが多いわけですが、この時ばかりは主役に躍り出ており、その存在感が燦然と輝いていました。わが人生で最も美味かったネギです。三星の街でいただいた、まさに★3つの料理でした!
なお後日調べたところによると、三星の街をはじめとした宜蘭県各地の屋台で当地の名物である「葱油餅」、そして三星の一部商店ではネギアイスなるものも売られているんだそうです(参考:台北ナビ「三星葱うまうま~♪」)。ネギ一色の街なんですね。


欣欣食堂
宜蘭県三星郷三星路4段388号  地図
03-9895623


●宜蘭の魚団子ビーフン

宜蘭県内陸部から台北方面へ向かう途中、ちょうどお腹が空いた昼時に宜蘭市街の近郊を走っていたので、途中で車を止めて台7線の沿道で軒を連ねる商店街の1軒へ何の気なしに入ってみることにしました。お店の名前は「呂家傳統魚丸米粉」。私は無類のビーフン好きなので、米粉(ビーフン)の二文字が目に入ると、明かりに誘われる蛾のごとく、そのお店に惹かれてしまうのです。撮影するのを忘れてしまいましたが、店内には日本の懐かしのアニメキャラを象ったフィギュアや台湾のレトログッズ(お酒のホーロー製広告看板)などが所狭しと飾られていました。どのテーブルもお客で埋まっており、人気のある店であることが窺えます。



お店入口の卓上に置かれた専用の用紙にセルフでオーダーとテーブル番号を書き込んで、店頭で調理しているオーナーの老夫婦に手渡しますと、10分程度でおばあちゃんが食事を運んできてくれました。
なおオーダー用紙の上部には日本語が記されていますが、このお店で日本語が通じるかどうかは不明です。



今回注文したのは魚のすり身団子入り汁ビーフンの中サイズ(綜合魚丸米粉・中碗・50元)と郷土料理の宜蘭粉腸(40元)です。魚のすり身団子は所謂つみれよりも白くてプリプリとした弾力があり、蒲鉾の親戚とでも言うべき真薯(しんじょ)に近い感じがするものでして、これがスープにたくさん浮かんでいます。スープは台湾らしいあっさりとした味なのですが、口にしているうちに重層的に構成されているコクのある出汁がとても効いていることに気づき、ビーフンもこのスープとよく絡んでいるため、2~3口目でこの汁ビーフンに病みつきになっていました。日本のラーメンは濃い味や強めの出汁、そしてインパクトを与える脂分などによって客に主張しようとするため、食べ始めこそその力強さに魅了されるものの、やがてクドさやしょっぱさなどによって途中で飽きてきてしまうことがありますが、こちらの汁ビーフンはそれとは全く逆のベクトルを向いており、初めのうちは物足りなさをおぼえるものの、やがてスープに隠れた魅力に気づき始めてその味にハマってゆき、後味もすっきりしているので、最後の一滴まで完全に飲み干すことができ、すぐ再びその味が恋しくなるのです。塩分や脂分、そして化学調味料といった面で考えても日本のラーメンは明らかに健康を害しそうですが、こちらは素材の持ち味を活かした薄味ですから、毎日食べてもお医者さんから文句を言われるようなことはないでしょう。これが中サイズでわずか50元(約150円)、ボリュームとしてもランチならこれで充分です。お世辞抜きで本当に美味しいスープビーフンでした。


呂家傳統魚丸米粉
宜蘭県員山郷員山路一段173号  地図
039224006
コメント
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