温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

甲斐市 湯めみの丘

2013年05月18日 | 山梨県
 
中央線の塩崎駅よりテクテク歩くこと20分、麗らかな春を謳歌するかのように、小高い丘では菜の花が鮮やかに咲いており、その彼方には雪景の富嶽が聳えていました。その両者に挟まれて建っている日帰り温泉入浴施設「湯めみの丘」が今回の訪問先です。私はここのお湯が大好きでして、今まで3~4度ほど利用しているのですが、界隈の方々からもかなり人気を集めており、この時も日中だというのに駐車場は地元ナンバーの車で埋め尽くされていました。


 
玄関ではひっきりなしにお客さんが出たり入ったりしていました。


 
(パンフレットの画像を転載させていただきました)
上述のように私は何度かこちらを利用させていただいていますが、訪問するタイミングの問題なのか、その都度浴室内には20人以上のお客さんがいらっしゃり、とても画像が撮れるような状況ではなかったため、今回の記事ではやむを得ず施設のパンフレットに載っている画像を転載させていただき、文章を中心にしてレポートを進めてまいります。ご了承下さい。

館内は一昔前の昭和末期か平成ヒト桁に建設された健康ランドのような雰囲気ですが、ロビーまわりは広々しており、同じフロアには食堂や休憩室・売店・マッサージ室なども設けられています。脱衣室もやや古さを感じるもののかなり広く、無料で使えるロッカーがたくさん用意されていたり、洗面台やドライヤーも4台ずつあったり、そして牛乳の自販機やベランダなども設けられていたりと、使い勝手は良好です。

浴室の戸を開けた瞬間、ふわっと温泉由来のタマゴ臭が香ってきます。浴室は奥へ長い構造になっており、男湯の場合は右手に洗い場が、左手に各種浴槽がそれぞれ配置されています。洗い場にはシャワー付き混合水栓が11基と立って使うシャワーが1基設置されており、カランから出てくるお湯は源泉です。
浴槽はいろんな種類があり、入口側からサウナ・水風呂・高温風呂・中温風呂(一部区画はジェットバスあり)・気泡風呂・超高温風呂の順に並んでいます。サウナや水風呂以外は全て温泉源泉が用いられており、温度調整は熱交換器によって行われてるため加水などは無く、加温循環消毒も一切なし、全ての温泉槽で完全掛け流しという素晴らしい湯使いとなっています。
浴槽の中では中温風呂が最も大きくて、気泡風呂がその次に大きなサイズなのですが、どういうわけか内湯ではその気泡風呂が一番の人気らしく、いつ訪問しても常連の皆さんは気泡風呂に肩寄せ合いながら入っています。



この画像は超高温浴槽の湯口ですが、どの浴槽も湯口は同じような形状をしており、どこもコップが置かれています。つまり、完全掛け流しのお湯だから飲んでも問題ないよ、ということをアピールしているのでしょうね。お湯は無色澄明で、タマゴ臭がはっきりしており、弱い金気臭も嗅ぎ取れます。コップで飲んでみますと、明瞭なタマゴ味の他、重曹的なほろ苦さや微金気味も感じられました。
カランでも源泉が使用されるほど湧出量が豊富なのでしょう、各浴槽でも惜しげも無く縁からオーバーフローしており、常にお湯が入れ替わっているため湯船へ体を沈めた時に伝わってくる鮮度感は抜群です。そして特筆すべきは夥しい気泡の付着でして、入浴するとあっという間に全身が泡で覆われます。この気泡と重曹のおかげで、ツルスベ浴感がはっきりしており、あまりの気持ち良さのため、出ようと思っても後ろ髪を引かれて出られ無くなるほどです。浴槽の多様さと源泉が有する浴感の素晴らしさが多くのお客さんのハートを掴んで離さないわけでして、私もそんな虜の一人であります。



利用客の多さに対して用意されている洗い場は11ヶ所と明らかに不足しているため、露天へ上がるステップの右側にも洗い場が増設されていました。



(こちらもパンフレットの画像を転載させていただきました)
浴室からステップを上がってサッシの引き戸を開けると露天風呂。いかにもビルの屋上かテラスらしい風情の無い場所に位置しており、そこに据えられている湯船は長方形のコンクリ造ですが、岩や石を埋め込んで無機質な雰囲気を打ち消し、温泉らしい趣きを醸し出そうとしています。浴槽手前左隅にある岩組みの湯口から源泉がふんだんに投入されており、同じく手前側右隅の切り欠けからドバドバ溢れ出ているのですが、その排湯は飛沫の飛び散りを防ぐためか、一旦ステンレスの箱に集められてから床へと落とされており、お湯の流路は黒く変色していました。
露天の湯船はぬる湯天国の山梨県らしい40℃を下回る湯加減となっており、内湯の気泡風呂以上に利用客が多く集まっていまして、しかも皆さん悉く長湯をするもんだから、いつ行っても大混雑です。でも浴感が素晴らしい上に、不感温度帯のお湯はどれだけ長く浸かり続けていても体の負担になりませんから、なかなか出ようとしないお客さんの気持ちもわかりますし、かく言う私もしっかり長湯してしまいます。お湯が良いだけでなく、ここからは富士山の他、甲府盆地の西端や南アルプスの峰々も眺望できるので、入って佳し眺めて佳しなのです。日没後は夜景も綺麗なんでしょうね。
ちなみに露天風呂の浴槽右側には山梨県の温泉ではおなじみの0短大T教授による解説文が掲示されています。T教授の解説文は、予め用意された大げさな表現のテンプレートに固有名詞と数値だけを入れ替えたような代物ですが、県内のハイクオリティな温泉では必ずと言ってよいほど教授の「名文」を目にしますので、今や甲州の温泉には欠かせない隠れた名物になっていると言えるかもしれません。

普段は自前の画像で記事を作成している拙ブログですが、どうしてもここはご紹介したかったので、今回に限りパンフの画像を転載しながら取り上げさせていただきました。


ナトリウム-塩化物泉 43.5℃ pH8.4 531L/min(動力揚湯) 溶存物質1.091g/kg 成分総計1.091g/kg
Na+:350.2mg(86.39mval%), Ca++:41.8mg(11.85mval%), 
Cl-:622.4mg(95.38mval%),
H2SiO3:25.2mg, (cf. CO2:0.0mg)

中央本線・塩崎駅より徒歩20分
山梨県甲斐市下今井2361-11
0551-28-2500

10:00~22:00 無休
700円
ホームページ

私の好み:★★★
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