加投温泉 火山浴温泉館

　
以前拙ブログでは新北市金山温泉郷の加投温泉「大鵬村硫磺温泉」を取り上げたことがありましたが、先日はその真正面に建つ「火山浴温泉館」へ訪問してみました。4階建ての少々古い鉄筋コンクリ造で、その表面は赤レンガ風のタイルで化粧されています。



裏手には駐車場が用意されています。表の外観と違い、裏側は錆びたトタン板が貼られているばかりで、古ぼけたみすぼらしい有様を呈していました。


　
その駐車場は加投温泉の泉源である池に面しており、池のあちこちではブクブクを気泡を上げながらお湯が湧き上がっていました。なお池畔には共同浴場の「加投公共浴池」や以前取り上げた「大埔硫磺泉浴室」が建っており、幾棟もの温泉施設がこの池を取り囲んでいます。池には下水も流れこんでいるんでしょうけど、水面に上がっている泡は、まさかメタンガスじゃないだろうな…。


　
こちらの施設は24時間営業なんだそうです。日本で24時間営業の温泉施設って存在するのでしょうか。玄関へ入るとすぐ右手に受付カウンターがあり、入浴したい旨を申し出て料金を支払うと、個室風呂の鍵を手渡してくれました。ロビーの池側は食堂になっているようです。



今回宛てがわれた個室は、受付カウンターのすぐ横に並ぶ一人用の28号室。


　
お風呂の造りは台湾の個室風呂によくあるタイプでして、一人用のお風呂ですが2人でも利用できるようなゆとりのある浴槽が据えられていました。利用の都度お湯を溜めたり抜いたりするお風呂ですから、部屋に入った時は当然空っぽです。でもいきなりお湯を溜めるのではなく、まず室内に用意されているデッキブラシを手にして水道のホースで水を出しながら浴槽内を掃除するのが、台湾の個室風呂を利用するにあたっての流儀であります。利用時間は40分ですから、入室と同時に手早く清掃を済ませ、ホースの水できちんとすすいでから、浴槽の排水口に栓をして温泉のコックを開けお湯を溜めます。このお風呂では塩ビのパイプを排水溝に突っ込んで栓の代わりにしており（画像左隅に写っていますね）、もしお湯を溜めすぎてもこのパイプがオーバーフロー管の役割を果たしてくれるので、お湯を出しっぱなしにしても浴槽の外へ溢れることはありません。この手の方法は台湾の個室風呂ではよく見かけます。


　
配管剥き出しの化粧っ気がまるで感じられない室内で、あまりお金をかけたくなかったのか、壁掛けの扇風機を天井の方に向けてまわして換気扇の代わりにしていたのには思わず笑ってしまいました。この扇風機の風が温泉の配管を直撃していたのですが、これによって配管表面で結露してしまい、雫が個室の荷物置き台へ滴っていたため、それに気づかず衣類を置いていた私の服は部分的にビショビショになってしまいました。このあたりのアバウトさがいかにも台湾らしいところです。ま、それはさておき、「熱」のコックを開けると加投温泉らしい金属臭を伴う刺激的な硫黄の匂いと共にお湯が勢い良く吐出され、温度計で測ってみたところ49.0℃でした。浴槽を早く満たしたかっために当初は水道のコックも一緒に全開にしていましたが、お湯がそのような温度ですからすぐにぬるくなってしまい、途中で水を止めてお湯のみの投入にしました。



それでも入室から10分強でお湯が満たされ、入浴可能な状態となりました。
お湯は一見すると無色透明ですがよく見ればほんのり黄色を帯びており弱く濁っているようです。秋田県の玉川温泉を連想されるような金属臭といかにも酸っぱそうな匂いが漂い、ちょっとでも口に入ると口腔が強く収斂して歯がキシキシするような強烈な酸味、そして塩味が感じられます。強酸性のお湯ならではのヌメリとツルツル感があり、恋の病以外はなんでも治してしまう草津の湯と似たような強酸性のお湯ですから、水虫や一部に皮膚疾患には覿面な効能を発揮するものと思われます。一方で、もし体に傷口などがあれば沁みて痛いでしょうし、浴室内には上がり湯が無いために肌へ付着した強酸性のお湯を真湯で洗い落とすことはできませんから、肌の弱い方は利用を控えたほうがいいかもしれませんね。
台北の北投温泉も強烈な酸味で有名ですが、この加投温泉も負けず劣らずの超アグレッシブな酸味であり、そんな個性的な温泉が市街地で湧出しているんですから、台湾って本当に不思議なところですね。


碳酸硫磺海底塩泉　50～60℃

MRT淡水駅より基隆行バス・あるいは基隆より金山・淡水方面行きバス（淡水客運・基隆客運）で「加投村」バス停下車徒歩1～2分。金山の中心部（金包里街など）から徒歩10分程度。
新北市萬里区加投路211　　地図
02-2498-5080

24時間営業・宿泊可能
単人池150元/40分・双人池200元?（その他各種個室風呂あり）
ドライヤーあり

私の好み：★★