※残念ながら廃業しました。
前回に引き続き鳴子温泉です。今回は私が心の中で勝手に「鳴子温泉の九龍城」と呼んでいる「農民の家」で立ち寄り入浴したときのことを書き綴らせていただきます。なぜ九龍城なのかは後述しますが、農民の「家」と言っておきながら、家なんてものじゃなくほとんど要塞のような規模を擁する施設であります。
名前からして第三次産業に従事している私のような人間は門前払いを食らってしまいそうですが、職業を問わず誰でも利用可能な施設でして、日帰り入浴の場合は受付で入浴のみの利用であることを申し出て500円を支払います。カウンターでは年寄りばかりの「農民の家」に似つかわしくない若い女性が対応していらっしゃいました。なお初めてここを訪れる方は必ず受付で館内地図をもらいましょう。迷子になって泣きべそをかいても知りません。どういうことかと言えば・・・
増設に増設を重ね結果、構内は完全に迷路状態となっており、複雑怪奇に入り組んだ通路は訪問者の方向感覚を完全に狂わせてしまうからです。私は今回で2度目の利用なのですが、方向感覚には自信のあるこの私ですら、館内表示を頼りに目的の浴室へ向かおうとしても何故か違うところを彷徨ってしまい、館内表示と地図を見比べてようやく目的地へ辿り着いたような次第です。彷徨っているときに「農民の家音頭」の歌詞が書かれたプレートを発見。その姿をカメラにおさめていたら、傍で腰を掛けて休憩していたお爺さんが不思議そうな面持ちでこちらをぼんやりと眺めていらっしゃいました。
「農民の家」という名前の通りに宮城県の農協系列で運営している施設であり、そもそもは農閑期の湯治利用を主目的としているんでしょうけれども、長期間宿泊しても不自由しないよう、敷地内にはとても大きな売店、食堂、マッサージ室、大衆演劇、そして診療所までありとあらゆる施設が内包されており、売店前の廊下では露天販売のように服や靴まで陳列販売されていました。ばあちゃん向けの地味な服が並べられた一角で物憂そうにタバコをふかしていたおじさんは、きっとこれらを売っている業者の人なんだろうな…。そのおじさんの傍らでは、一昔前のアーケードゲームが耳障りな電子音をピコピコを発しています。無秩序無計画に増設を重ねた建物と古臭くて薄暗い館内、それらを連結するゴチャゴチャと入り組んだ通路、館内で生活できちゃうほど多様な店やサービスなどなど、あらゆるものが一か所に凝縮されてとってもカオスになっているこの状態は、まさにかつて香港に存在した魔境「九龍城」を彷彿させるのです。
館内には4つの浴室がバラバラに位置しており、すべてに入るのならばその都度着替えて長い廊下を歩かねばなりません。しかも混浴のお風呂には女性専用時間が設けられていたり、一部の浴室では昼間でも清掃を行っていたりするので、いっぺんに全てを制覇するのは意外と至難の業だったりします。そこでこの日は「硫黄湯」と「檜の湯」という2室に目的を絞って利用することにしました。
●硫黄湯
フロントから最も遠い位置にある浴室「硫黄湯」は、農民の家を代表するお風呂として位置づけられてるようです。脱衣室こそ男女別ですが浴室はひとつしかないため混浴です。浴室入口まわりは、いかにも湯治施設らしい渋くて装飾性の薄い様相です。脱衣室に設置されている棚はちょっと特徴的でして、棚の各スペースには下部に引き出し形のロッカーが取り付けられています。こうしたタイプの棚って他の施設では見かけませんが、「農民の家」のオリジナルなんでしょうか。
浴室は床が水色のタイル貼りで壁面はモルタル壁のペンキ塗り。高い天井の上の方ではステンレスの羽根の大きな換気扇がブンブン回っていました。また高い位置のみならず浴槽に近い低位置にも、硫化水素中毒を防ぐべく換気用のルーバーがあけられています。
男女両サイドへ延びるように横に長い四角形の浴槽も全面タイル貼りで、壁際中央の湯口から落とされたお湯は浴槽を満たした後、浴槽縁の左右にひとつずつある切り欠けから溢れ出てゆきます。湯口の段階でお湯は既に加水されているようでして、私が直接触った感覚ですと大体50℃ほどでした。源泉名は「農民の家1号」で、浴槽のお湯は薄く灰色を帯びながら底が霞んで殆ど見えないほどはっきりと白濁しています(槽内のタイルのために若干青っぽく見えることもありました)。病院の消毒液を思わせる刺激のある硫黄臭が鼻を突き、口に含むと硫黄味や痺れを伴う苦味、硫黄泉的な粉っぽさ、そして薄い塩味が感じられました。スベスベ感とサラサラ感を有するパウダリーな浴感です。湯上り後も体からは硫黄の匂いが放たれていました。
男女両脱衣室の入口付近にはシャワー付き混合水栓が1基ずつ取り付けられており、その金具は一部が硫化して黒く変色しています。
入室して10分程は私が独占しておりましたが、この「硫黄湯」は人気があるのか、程なくしてお爺さんが3人、お婆さんが2人やってきて、自然と室内は賑やかになっていきました。混浴のお風呂は男女が赤の他人だろうとお風呂という独特の空気のおかげで仲睦まじく談笑を楽しめるのが良いところでして、爺さん達は胡座をかいて手ぬぐいをお鉢に巻きながら掛け湯をし、婆さんたちは垂れ乳を放り出してトドになりながら、野良仕事のことや孫のことを機関銃のように途切れること無く喋り続けていました。その光景は富永一朗の漫画の世界です。
●檜の湯
続いて男女別の大浴場「檜の湯」へ。その手前には混浴の人気浴室「炭酸湯」があるのですが、たまたま利用した時間帯は女性専用時間だったため、残念ながら今回はパスすることに。
上述の「硫黄湯」と同じ施設とは思えないほど、ちゃんとした温泉旅館らしい佇まいの「檜の湯」入口付近。
今回はこの「檜の湯」をフューチャーしたくてブログの記事を書き起こしております。
ちなみに「檜の湯」を外(駐車場)から見るとこんな感じでして、一応棟続きながら独立した湯屋であることがわかります。建物の基礎に埋め込まれた竣工碑には平成5年と彫られていましたから、今年でちょうど20周年を迎えるわけですね。
湯屋内部の中央には太い大黒柱が一本立ち、それを軸にして八角堂のように八方へ梁が伸びており、そんな室内を半分に区切って男女に分けています。
洗い場にはシャワー付き混合水栓が5基設置されており、各ブースは仕切り板でセパレートされていて使い勝手良好です。
浴室に入って驚いたのが浴槽を湛えているお湯の色でした。数年前に訪問した時には黒い湯花が浮かぶ白濁湯だったように記憶しているのですが、この日のお湯は非常に美しいエメラルドグリーンだったのです。湯船の一番奥に据えられた岩の湯口はその流路が硫黄で白くなっており、かなり熱いお湯が流れているのですが、同時にここで加水も行われており、湯船では43~4℃くらいの湯加減になっていました。
お湯の翠色があまりに鮮やかなので、当初は入浴剤でも溶かしているのかと疑ったのですが、ためしに湯口のお湯を直接桶に受けてみたら、そのわずかな量のお湯ですら翠色であることは一目瞭然であり、そんなお湯が惜しげもなくザバザバとオーバーフローしているのですから、この色が源泉由来であることに間違いありません。色の美しさといい濃さといい、すぐさまドリフのコントに使えそうです。分析表によれば湧出時は無色透明なんだそうですから、源泉井で湧出して湯口へ引かれてくる間にこの色を帯びてゆくのでしょうね。なお湯中では薄いレモンイエローの湯花が無数に舞っていました。まさか鳴子で岩手県の国見温泉や信州の熊の湯に似た濃い緑色の硫黄泉に出会えるとは思ってもみませんでしたが、尤も、硫黄泉の濁りや色はその時々の光線の具合やお湯のコンディションによって変化しますから、もしかしたら私の訪問した時に偶々条件が重なってエメラルドグリーンになっていただけかもしれませんが…。
お湯からは硫化水素臭と病院の消毒液を思わせる刺激のある臭が嗅ぎ取れ、硫黄の味と爽やかなほろ苦味、石膏的な味、そしてわずかな塩味が感じられました。お湯に体を沈めるとローションの中に浸っているかのようなツルスベ感がとても気持ちよく、ちょっと熱めで長湯できない湯加減であるにもかかわらず、その浴感に後ろ髪をひかれて出ようにも出られなくなってしまうほどでした。良く温まりますが湯上りの爽快感も素晴らしく、熱が程よく体から抜けてゆくようでした。
駐車場の片隅にはコンクリの枡で囲まれた源泉が2つあり、中ではボコボコと音を立てて勢いよく温泉が湧出していました。
源泉のうち、ひとつは「檜の湯」の方へコンクリの溝が直結していました。その溝や周辺のアスファルト舗装は明らかに最近工事されたようです。あの美しいお湯は「農民の家3号」源泉とのことですが、ということはこの画像の源泉からエメラルドグリーンのお湯が湧いているのか。3号源泉の色が白濁から翠色へ変化した理由と、源泉周辺で最近行われた工事とは何か関係があるのか。そのあたりの詳しいことは全くわかりませんが、とにかくこの日の「檜の湯」のお湯が素晴らしかったので、今回ご紹介させていただきました。
硫黄泉
農民の家1号
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉(硫化水素型) 70.8℃ pH6.4 溶存物質2575.4mg/kg 成分総計2776.5mg/kg
Na+:496.6mg(67.23mval%), Ca++:151.3mg(23.50mval%),
Cl-:78.6mg(6.88mval%), HS-:6.9mg(0.65mval%), S2O3--:1.0mg(0.06mval%), SO4--:982.0mg(63.41mval%), HCO3-:570.0mg(28.96mval%),
H2SiO3:198.7mg, HBO2:29.3mg, CO2:170.2mg, H2S:30.9mg,
源泉温度が高いため加水
檜の湯
農民の家3号
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉 86.1℃ pH7.1 溶存物質2365.3mg/kg 成分総計2498.5mg/kg
Na+:481.1mg(71.43mval%), Ca++:118.0mg(20.10mval%),
Cl-:156.7mg(14.22mval%), HS-:25.7mg(2.51mval%), S2O3--:1.2mg(0.06mval%), SO4--:694.1mg(46.48mval%), HCO3-:696.0mg(36.70mval%),
H2SiO3:90.3mg, HBO2:48.9mg, CO2:110.0mg, H2S:23.2mg,
源泉温度が高いため加水
陸羽東線・鳴子温泉駅より徒歩6~7分(約500m)
宮城県大崎市鳴子温泉字河原湯5-6
0229-82-2121
ホームページ
日帰り入浴8:00~21:00
500円(鳴子湯めぐりチケット適用外)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
前回に引き続き鳴子温泉です。今回は私が心の中で勝手に「鳴子温泉の九龍城」と呼んでいる「農民の家」で立ち寄り入浴したときのことを書き綴らせていただきます。なぜ九龍城なのかは後述しますが、農民の「家」と言っておきながら、家なんてものじゃなくほとんど要塞のような規模を擁する施設であります。
名前からして第三次産業に従事している私のような人間は門前払いを食らってしまいそうですが、職業を問わず誰でも利用可能な施設でして、日帰り入浴の場合は受付で入浴のみの利用であることを申し出て500円を支払います。カウンターでは年寄りばかりの「農民の家」に似つかわしくない若い女性が対応していらっしゃいました。なお初めてここを訪れる方は必ず受付で館内地図をもらいましょう。迷子になって泣きべそをかいても知りません。どういうことかと言えば・・・
増設に増設を重ね結果、構内は完全に迷路状態となっており、複雑怪奇に入り組んだ通路は訪問者の方向感覚を完全に狂わせてしまうからです。私は今回で2度目の利用なのですが、方向感覚には自信のあるこの私ですら、館内表示を頼りに目的の浴室へ向かおうとしても何故か違うところを彷徨ってしまい、館内表示と地図を見比べてようやく目的地へ辿り着いたような次第です。彷徨っているときに「農民の家音頭」の歌詞が書かれたプレートを発見。その姿をカメラにおさめていたら、傍で腰を掛けて休憩していたお爺さんが不思議そうな面持ちでこちらをぼんやりと眺めていらっしゃいました。
「農民の家」という名前の通りに宮城県の農協系列で運営している施設であり、そもそもは農閑期の湯治利用を主目的としているんでしょうけれども、長期間宿泊しても不自由しないよう、敷地内にはとても大きな売店、食堂、マッサージ室、大衆演劇、そして診療所までありとあらゆる施設が内包されており、売店前の廊下では露天販売のように服や靴まで陳列販売されていました。ばあちゃん向けの地味な服が並べられた一角で物憂そうにタバコをふかしていたおじさんは、きっとこれらを売っている業者の人なんだろうな…。そのおじさんの傍らでは、一昔前のアーケードゲームが耳障りな電子音をピコピコを発しています。無秩序無計画に増設を重ねた建物と古臭くて薄暗い館内、それらを連結するゴチャゴチャと入り組んだ通路、館内で生活できちゃうほど多様な店やサービスなどなど、あらゆるものが一か所に凝縮されてとってもカオスになっているこの状態は、まさにかつて香港に存在した魔境「九龍城」を彷彿させるのです。
館内には4つの浴室がバラバラに位置しており、すべてに入るのならばその都度着替えて長い廊下を歩かねばなりません。しかも混浴のお風呂には女性専用時間が設けられていたり、一部の浴室では昼間でも清掃を行っていたりするので、いっぺんに全てを制覇するのは意外と至難の業だったりします。そこでこの日は「硫黄湯」と「檜の湯」という2室に目的を絞って利用することにしました。
●硫黄湯
フロントから最も遠い位置にある浴室「硫黄湯」は、農民の家を代表するお風呂として位置づけられてるようです。脱衣室こそ男女別ですが浴室はひとつしかないため混浴です。浴室入口まわりは、いかにも湯治施設らしい渋くて装飾性の薄い様相です。脱衣室に設置されている棚はちょっと特徴的でして、棚の各スペースには下部に引き出し形のロッカーが取り付けられています。こうしたタイプの棚って他の施設では見かけませんが、「農民の家」のオリジナルなんでしょうか。
浴室は床が水色のタイル貼りで壁面はモルタル壁のペンキ塗り。高い天井の上の方ではステンレスの羽根の大きな換気扇がブンブン回っていました。また高い位置のみならず浴槽に近い低位置にも、硫化水素中毒を防ぐべく換気用のルーバーがあけられています。
男女両サイドへ延びるように横に長い四角形の浴槽も全面タイル貼りで、壁際中央の湯口から落とされたお湯は浴槽を満たした後、浴槽縁の左右にひとつずつある切り欠けから溢れ出てゆきます。湯口の段階でお湯は既に加水されているようでして、私が直接触った感覚ですと大体50℃ほどでした。源泉名は「農民の家1号」で、浴槽のお湯は薄く灰色を帯びながら底が霞んで殆ど見えないほどはっきりと白濁しています(槽内のタイルのために若干青っぽく見えることもありました)。病院の消毒液を思わせる刺激のある硫黄臭が鼻を突き、口に含むと硫黄味や痺れを伴う苦味、硫黄泉的な粉っぽさ、そして薄い塩味が感じられました。スベスベ感とサラサラ感を有するパウダリーな浴感です。湯上り後も体からは硫黄の匂いが放たれていました。
男女両脱衣室の入口付近にはシャワー付き混合水栓が1基ずつ取り付けられており、その金具は一部が硫化して黒く変色しています。
入室して10分程は私が独占しておりましたが、この「硫黄湯」は人気があるのか、程なくしてお爺さんが3人、お婆さんが2人やってきて、自然と室内は賑やかになっていきました。混浴のお風呂は男女が赤の他人だろうとお風呂という独特の空気のおかげで仲睦まじく談笑を楽しめるのが良いところでして、爺さん達は胡座をかいて手ぬぐいをお鉢に巻きながら掛け湯をし、婆さんたちは垂れ乳を放り出してトドになりながら、野良仕事のことや孫のことを機関銃のように途切れること無く喋り続けていました。その光景は富永一朗の漫画の世界です。
●檜の湯
続いて男女別の大浴場「檜の湯」へ。その手前には混浴の人気浴室「炭酸湯」があるのですが、たまたま利用した時間帯は女性専用時間だったため、残念ながら今回はパスすることに。
上述の「硫黄湯」と同じ施設とは思えないほど、ちゃんとした温泉旅館らしい佇まいの「檜の湯」入口付近。
今回はこの「檜の湯」をフューチャーしたくてブログの記事を書き起こしております。
ちなみに「檜の湯」を外(駐車場)から見るとこんな感じでして、一応棟続きながら独立した湯屋であることがわかります。建物の基礎に埋め込まれた竣工碑には平成5年と彫られていましたから、今年でちょうど20周年を迎えるわけですね。
湯屋内部の中央には太い大黒柱が一本立ち、それを軸にして八角堂のように八方へ梁が伸びており、そんな室内を半分に区切って男女に分けています。
洗い場にはシャワー付き混合水栓が5基設置されており、各ブースは仕切り板でセパレートされていて使い勝手良好です。
浴室に入って驚いたのが浴槽を湛えているお湯の色でした。数年前に訪問した時には黒い湯花が浮かぶ白濁湯だったように記憶しているのですが、この日のお湯は非常に美しいエメラルドグリーンだったのです。湯船の一番奥に据えられた岩の湯口はその流路が硫黄で白くなっており、かなり熱いお湯が流れているのですが、同時にここで加水も行われており、湯船では43~4℃くらいの湯加減になっていました。
お湯の翠色があまりに鮮やかなので、当初は入浴剤でも溶かしているのかと疑ったのですが、ためしに湯口のお湯を直接桶に受けてみたら、そのわずかな量のお湯ですら翠色であることは一目瞭然であり、そんなお湯が惜しげもなくザバザバとオーバーフローしているのですから、この色が源泉由来であることに間違いありません。色の美しさといい濃さといい、すぐさまドリフのコントに使えそうです。分析表によれば湧出時は無色透明なんだそうですから、源泉井で湧出して湯口へ引かれてくる間にこの色を帯びてゆくのでしょうね。なお湯中では薄いレモンイエローの湯花が無数に舞っていました。まさか鳴子で岩手県の国見温泉や信州の熊の湯に似た濃い緑色の硫黄泉に出会えるとは思ってもみませんでしたが、尤も、硫黄泉の濁りや色はその時々の光線の具合やお湯のコンディションによって変化しますから、もしかしたら私の訪問した時に偶々条件が重なってエメラルドグリーンになっていただけかもしれませんが…。
お湯からは硫化水素臭と病院の消毒液を思わせる刺激のある臭が嗅ぎ取れ、硫黄の味と爽やかなほろ苦味、石膏的な味、そしてわずかな塩味が感じられました。お湯に体を沈めるとローションの中に浸っているかのようなツルスベ感がとても気持ちよく、ちょっと熱めで長湯できない湯加減であるにもかかわらず、その浴感に後ろ髪をひかれて出ようにも出られなくなってしまうほどでした。良く温まりますが湯上りの爽快感も素晴らしく、熱が程よく体から抜けてゆくようでした。
駐車場の片隅にはコンクリの枡で囲まれた源泉が2つあり、中ではボコボコと音を立てて勢いよく温泉が湧出していました。
源泉のうち、ひとつは「檜の湯」の方へコンクリの溝が直結していました。その溝や周辺のアスファルト舗装は明らかに最近工事されたようです。あの美しいお湯は「農民の家3号」源泉とのことですが、ということはこの画像の源泉からエメラルドグリーンのお湯が湧いているのか。3号源泉の色が白濁から翠色へ変化した理由と、源泉周辺で最近行われた工事とは何か関係があるのか。そのあたりの詳しいことは全くわかりませんが、とにかくこの日の「檜の湯」のお湯が素晴らしかったので、今回ご紹介させていただきました。
硫黄泉
農民の家1号
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉(硫化水素型) 70.8℃ pH6.4 溶存物質2575.4mg/kg 成分総計2776.5mg/kg
Na+:496.6mg(67.23mval%), Ca++:151.3mg(23.50mval%),
Cl-:78.6mg(6.88mval%), HS-:6.9mg(0.65mval%), S2O3--:1.0mg(0.06mval%), SO4--:982.0mg(63.41mval%), HCO3-:570.0mg(28.96mval%),
H2SiO3:198.7mg, HBO2:29.3mg, CO2:170.2mg, H2S:30.9mg,
源泉温度が高いため加水
檜の湯
農民の家3号
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉 86.1℃ pH7.1 溶存物質2365.3mg/kg 成分総計2498.5mg/kg
Na+:481.1mg(71.43mval%), Ca++:118.0mg(20.10mval%),
Cl-:156.7mg(14.22mval%), HS-:25.7mg(2.51mval%), S2O3--:1.2mg(0.06mval%), SO4--:694.1mg(46.48mval%), HCO3-:696.0mg(36.70mval%),
H2SiO3:90.3mg, HBO2:48.9mg, CO2:110.0mg, H2S:23.2mg,
源泉温度が高いため加水
陸羽東線・鳴子温泉駅より徒歩6~7分(約500m)
宮城県大崎市鳴子温泉字河原湯5-6
0229-82-2121
ホームページ
日帰り入浴8:00~21:00
500円(鳴子湯めぐりチケット適用外)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★