群馬県吾妻地方の尻焼温泉は、川がまるごと温泉になっているワイルドな露天風呂が、各種ガイドブックにも紹介されているほど非常に有名ですね。春夏秋冬で異なった景色が楽しめますのが、私としては新緑の5月(か紅葉の時期)がおすすめです。なぜその時期が良いのかという講釈は後回しにして、まずは露天へ向かいましょう。今回は実際に今年5月上旬に訪れた時の画像を掲載しながらレポートをすすめてまいります。
この看板のところから川岸へと下り、流れに沿ったトレイルを歩いて上流へ遡ります。車はここから200メートル手前にある無料駐車場にとめましょう(この看板の目の前のスペースは旅館の利用客専用です)。
看板から数十メートル、この掘っ立て小屋が見えれば到着。小屋の内部はとてもプリミティブな、湯船があるだけの共同浴場。半露天状態であるこのお風呂は後述する露天風呂(川の湯)を利用する人から丸見えですし、川の湯は水着着用可能ですがこちらは水着不可能ですから、女性の方にはちょっとハードルが高いかもしれませんね。この日のように天気に恵まれている時には、わざわざ屋根掛けされているこのお風呂に入ろうとする方はおらず、実質的な更衣室兼荷物置き場と化すことが多いようです。
長笹沢川を軽く堰き止めた川の流れがまるごと露天風呂になっている「川の湯」。みなさまご存知の通り、画面に見えている川の全てが入浴可能で湯加減もちょうど良いという、なんとも豪快な野湯であります。さっそく川岸でサクッと着替えて川へドボン! 陽気や川のコンディションによって湯加減は異なりますが、この日はぬるいところで約38℃、熱いところは約43℃と、ゆっくり長湯できるぬる湯派の方も、汗を書きながらキッと身を引き締めたい熱湯派の方も、万人が満足できる状態でした。私はぬる湯も熱湯も好きなので、落ち着きなくあっちこっちをウロウロしてしまいました。
なお上述の小屋以外に目隠しとなるようなものはありませんので、着替え用のポンチョや大きめのバスタオルなどを持参することをおすすめします。殿方の多くは川岸の岩の上で、目隠しなんて気にせずにスッポンポンになっていますが、私は念のため水着を着用の上で入浴しました。「川の湯」では全裸だろうが水着だろうが不問ですし、「全裸で入浴するのが日本の文化だから水着なんてけしからん」という保守的なご意見も当然あろうかと存じますが、あくまで私独自のbehaviorとして、不特定多数の異性がいて(あるいは来ることが想定される)、且つ水着着用が可能な入浴場所であれば、できるだけ水着を穿くようにしています。そのほうがお互いに余計な気遣いをしないで済みますし、混浴が苦手な方に対するexcuseにもなりますからね。本音を言えば、私は男のくせに混浴が苦手なのです…。
「川の湯」を上から眺めてみましょう。野趣あふれるワイルドな露天風呂ですね。何度来ても楽しくてたまりません。なぜ私は5月(か紅葉の時期)を勧めるのかと言えば、夏季は涼や水遊びを求める多くの客で混雑しますし、川の水が増えるためにお湯が全体的にぬるくなっちゃいます。また山の中の渓流ですから虻の猛襲にも注意しなければなりません。一方で冬季は路面が積雪&凍結するためにアクセスが難しくなりますし、根本的な問題として寒すぎます(雪見風呂は楽しめますけどね)。こうした理由により、陽気やお湯の温度がちょうど良く、しかも不快な虫もいない春や秋がおすすめなのであります。尤も、これらの事由は、ここのみならず他の露天風呂でも同じ事が言えますけどね。
入浴ができるエリアの河床は、手前側(左岸)がコンクリで固められており、奥側(右岸)は天然河床のままです。岩と岩の隙間、砂利の下、岩の割れ目など、河床のあちこちから温泉が湧出しており、何も知らないで川の中を歩いているとたまに足裏に熱さを感じて「あっ、ここで湧いてるな」なんてことを体感できるわけですが、手前側のコンクリ部分には数ヶ所の穴があけられていて、そうしたところからの湧出量が結構多いようでした。天然の湧出孔が埋もれないようにコンクリで保護してるのかしら。また対岸(奥側・右岸)の大きな岩の周辺もコンクリで護岸されており、案の定、その岩の下には大量のお湯を川の湯へ注いでいる塩ビのパイプが隠されていました。こうした人為的に保護されている湧出孔やそこらで勝手に湧いているお湯などのおかげで、全体的な温度の均衡が取れていました。上手くできています。
深さに関して、手前側はけっこう浅いのですが、天然河床の一部は身長165cmの私の胸まで浸かるほどの深さがありますので、お子さんは溺れないように注意して下さいね。また全体的に非常に滑りやすく、今回も(いままでも)私は何度もバランスを崩してコケそうになり、いや、滑って岩に弁慶を打って半ベソをかきそうになりましたので、川の湯の中を歩くときは慎重に歩みをすすめましょう。
お湯は無色澄明、岩下のパイプからお湯を掬ってみると、ほんのりとしたタマゴ臭と石膏臭が感じられました。なおお湯の湧出量が多いためか、川水らしい生臭さや不快感はほとんど感じられません。湯上りはとっても爽快です。この露天風呂に入っていると、まるで自分が周囲の自然と同化したかのような錯覚に陥ります。山や清流を眺めながら時間を忘れてのんびり過ごせる素晴らしいお風呂ですね。
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉
JR吾妻線・長野原草津口駅より中之条町営バス(六合地区路線バス・ローズクィーン交通)で花敷温泉下車、徒歩12分(約1km)
群馬県吾妻郡中之条町大字入山 地図
(中之条町観光協会)0279-75-8814
中之条町観光協会ホームページ
いつでも入浴可能
無料
私の好み:★★★