温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

箱根湯本温泉 大和館

2013年05月11日 | 神奈川県
 
箱根湯本でクオリティの高い掛け流しのお湯に入れるという情報を入手し、湯本温泉街の細い路地に面している「大和館」(大和旅館)へ日帰り入浴でお邪魔してまいりました。こぢんまりとした鄙びた佇まいの、昭和の面影が強く残る旅館です。



袖看板の脇には「ご休憩ご入浴 随意」というプレートが埋め込まれているのですが、「随意」という表現が私はとっても気に入りました。


 
玄関脇の壁には「小田急協定旅館」の小さな看板が2枚提げられていました。それぞれ年代が違うのでしょうね。左側は「小」の字を温泉マークっぽく意匠化したものでしょうし、右側はオレンジバーミリオンとグレーという配色からロマンスカーSENSEをイメージしているものと思われますが、いずれにせよこれらが玄関の最も目につきやすい場所に掲げられており、他社のものが見られないということは、この箱根というエリアが小田急と一蓮托生であることを象徴しているかのようでもあります。



玄関に入ってお邪魔すると、私と同じ位の年齢の若女将が快く入浴を受け入れ、お風呂へと案内してくださいました。
玄関すぐ右手の短い廊下に沿って浴室が3つ並んでいます。



3つのうち手前側2つは貸切で利用するタイプの小さな浴室となっており、上画像は一番手前側のお風呂の様子です。特に目立った特徴は無いものの、槽内の穴から源泉のお湯が絶え間なく供給されており、縁から静々とオーバーフローしていました。


 
こちらは真ん中の浴室で、入口には「家族風呂」という札がかかっており、浴槽自体は手前側のお風呂より一回り小さいものの、浴室自体のスペースとしては若干広く確保されているようでした。こちらは獅子の口からお湯が注がれています。なお今回これらの2つの小さな浴室は見学だけに留め、入浴利用しておりません。


 
若女将曰く「昼間でしたらこちらの方が気持ち良いですから」と勧められ、一番奥の大浴場を貸切で利用させていただきました。大きなお風呂を一人で占有しちゃっていいのかなと一瞬躊躇いましたが、ここはご好意に甘えて独り占めさせていただくことに。大浴場とはいえ扉が施錠できるので、貸切利用も可能なようです。
棚に籠がたくさん並んでいる脱衣室にはレトロなタイル張りの洗面台が据え付けられていました。



水分を吸ってふやけて開きにくくなっている木の扉を押して浴室に入ると、目が覚めるような鮮やかな浴槽のブルーが目に飛び込み、温泉由来の石膏臭が鼻孔をくすぐってきました。2方向がガラス窓であるため、若女将が仰っていたように昼間は外光がガラス越しに降り注いで明るく爽快です。床や浴槽はタイル貼りで、側壁は淡い水色の化成防水建材によって被覆されています。また浴室右側には桶や腰掛けがきちんと整理して積み上げられており、古い造りのお風呂ながらちゃんとお手入れされていたので、気持ちよく利用できました。


 
シャワーは室内の手前と奥にそれぞれ1基ずつ(計2基)取り付けられており、お湯はボイラーの沸かし湯が出てきます。


 
ひょうたんを半分に割ったような形状の浴槽は全面タイル貼りで、槽内はお湯の透明度が強調される鮮やかな水色、縁は槽内の水色と床の白色のコントラストをより際立たせる紺色のタイルが敷き詰められています。
底部の穴からは泡とともに源泉が供給されており、縁から静々とオーバーフローしています。私が湯船に体を沈めると一気にお湯が溢れて洪水状態になってしまいました。小さな黒い浮遊物がチラホラしている無色澄明の清らかなお湯からはふんわりと石膏の匂いと味が感じられ、またアルカリ性単純泉によく見られる微収斂も感じられました。湯口の穴を直接触るとやや熱めですが、湯船では丁度良い湯加減がキープされており、加水は全く必要ありませんでした。循環消毒は一切行われておらず、おそらく加温加水も無いかと思われます。
トロミを有しつつもとても軽やかで柔らかい浴感が非常に心地よく、肌に伝わるツルスベ感も良好でして、しかも湯上りは温もりが維持されるのにサッパリ感も素晴らしい。本来なら相反しそうな温浴感と爽快感が共存できるのは、良質なお湯ならではの魔力なのかもしてません。コアな温泉ファンからは敬遠されがちな箱根の湯ですが、「大和館」のお湯には本当に感動しました。まだまだ探せばブリリアントなお湯に出会えるんですね。


温泉分析表確認忘れ(おそらくアルカリ性単純温泉)

箱根登山鉄道・箱根湯本駅より徒歩6分(約500m)
神奈川県足柄下郡箱根町湯本655  地図
0460-85-5746

日帰り入浴時間不明
600円
シャンプー類・ドライヤー(大浴場のみ)あり

私の好み:★★★
コメント
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