前回記事「ミャンマー 国境の街タチレクへ2時間の小旅行 その2」の続編です。
トゥクトゥクでタチレクの定番観光コースを1時間周遊しましたが、この手の街は観光名所ではなく生活感あふれる路地裏を歩いたほうが断然面白いはず。残りの1時間は自分の足で若大将よろしく散歩してみることにしました。
●マーケット

国境のイミグレを過ぎてすぐ右手に広がるマーケットの中へと入ってゆきます。さっそくタバコ売りが声をかけてきますが、私はタバコが苦手なのでひたすら無視。私にタバコは売れないとわかると、続いてやってきたのは遣手婆ならぬ遣手おじさん。中には「オキヤ」なんて日本語を放つ人もおり、それだけ邦人需要があることも窺えますが、時間も無いし不衛生もイヤなので、この手も一切無視。更にはバイアグラやドラッグの声もかかりますが、もちろん完全無視です。というか、まだバイアグラに頼るような歳じゃありませんけど!(一人で勝手に怒ってます…)。

マーケット内を彷徨く売り子の他、こうした屋台の店頭でもマルボロやケントなどの偽タバコが陳列されており、鬱陶しいほど声を掛けられますが、こうした偽タバコは北朝鮮あたりから流れてくるものなんだとか。その傍のお菓子屋さんでは偽コアラのマーチが売られていました。コアラのマーチの偽物はアジア圏に何種類もあり、旅行者にとっては最早おなじみですよね。

マーケットで売られているDVDやブランド物のバッグ・時計など、その全てがバッタ物。店頭に陳列されていた某ブランド風のバッグなんて遠目でもヨレヨレでしたから、子供が見たって怪しいと判断できるはずです。イミテーションのオンパレードというのは、決して褒められたもんじゃありませんが、でも意外と壮観なものです。そうそう、申し忘れていましたが、タチレクで流通している通貨は、ミャンマーのチャットではなく、全てタイバーツでした。

パラソルで覆い尽くされているマーケットを抜けると、コロニアル様式の建物が目に入ってきました。先程のトゥクトゥクに乗っていた時には気づきませんでしたが、これって自分の足で歩くからこそ気づく風景なのでしょうね。なかなか良い風情じゃありませんか。
●メインストリートと路地裏

メインストリートを走行する三輪車は、規定積載量なんか関係無ぇと言わんばかりにうず高く荷物を積んでいますが、この過積載はいかにも東南アジアっぽい光景ですね。メインストリートから一本裏の路地に入ると、リヤカー屋台があちこちで商いをしていました。

街の埃っぽさ、斜めに立つコンクリの柱、色あせた感じ、そして女の子の後ろ姿。この街角の景色をセピア色にしたら、昭和30年代の東京と大して変わらないかもしれません。そう思いつつカメラを構えていたら、前方から花を飾り付けられた車がやってきました。

花電車ならぬ花車が走っていたのは、付近で結婚式が挙行されていたからでした。新郎新婦に幸多かれ。

華やかな結婚式場のすぐ隣りの路地では、天秤棒を担ぐおばちゃんが商売に励み、その傍を日傘をさしながら2人の若い僧侶が闊歩してゆきます。


タイを除く近年のインドシナ各国では韓国車の進出が目覚ましいわけですが、貧しい国ですから新車なんて買えるはずもなく、この街で見られる車は日本の中古車ばかりであり、しかも日本で使われていた頃の面影をしっかりと残していました。たとえば上画像ですと、トラックの助手席側ドアには「自動車用室内芳香剤」の文字が見えますし、別のトラックの後部には「ネッツトヨタ北大阪」のシールが貼られたままでした。そしてLAV4の後部には「トヨタカローラ中京」とやはりディーラー名が残っているとともに、車庫証明のステッカーまで貼りっぱなしでした。左側通行の国で日本の中古車が走っているのは珍しいことではないのですが、ミャンマーはイギリスの植民地だったのに何故か右側通行を採用しており、にもかかわらず日本の右ハンドル車が走っているのですから、危ないったらありゃしない。
●2時間でサヨナラ、ミャンマー!

散歩しているうちに、タイムリミットの2時間が近づいてきました。国境付近のカフェでアイスコーヒーをいただいて一休み。この店はタイ・チェンライ県の名産であるドイチャンコーヒーを謳っていましたが、本当にドイチャンコーヒーなのかな? なお実物のドイチャンコーヒーは本当に美味しく、私も馴染みのコーヒー専門店を通じて購入し、自宅で淹れています。
さて、アイスコーヒーで落ち着いてから、イミグレへ。

その1で申し上げましたように、入国時にエントリーパーミットは発行されませんでしたが、イミグレの官吏に私のパスポートを見せたら、出国のスタンプが捺されていることを確認し、笑顔でBYE!とパスポートを私に返して手を振ってくれました。この笑顔のおかげで、ミャンマーに対する好感度が俄然急上昇です。いままで散々な悪口を言ってゴメンナサイ。そういえば一昨年に中国の深センから香港に渡る際も、中国の女性イミグレ職員は笑顔でパスポートを返してくれたっけ。まだビザが必要だった昔の中国で、ビザ申請したらパスポートをポイっ投げ返された悪しき想い出がある私としては、その笑顔があまりに意外で嬉しかったのですが、翻ってアメリカや欧州諸国のイミグレ職員はみんな無愛想ですし、日本もみんな仏頂面ですから、最近は非民主国家のほうがなんだかんだで愛想良いんじゃないの?と勘違いしたくもなります。

右側通行のミャンマーから左側通行のタイへ戻ります。ミャンマー、あばよ!
タイ入国に際してはエントリーカードに必要事項を記入するのですが、このカードの入手方法がわからなくてちょっと難儀しました。どこかに積まれているわけではなく、窓口で受け取るでもなく、駅の改札みたいなカウンターで受け取るんですね。何でそんなややっこしい方法にするんだろう?
ちなみにこのタチレクはタイで長期滞在する旅行者にとっては、あることで有名であったんだとか(過去形である点が重要)。と言いますのも、ビザなしで空路からタイヘ入国すると30日間(陸路だと15日間)滞在可能ですが、もっと長く滞在したい場合は、期限が切れる日ギリギリに一旦他国へ出て、再び入国すればその都度30日(もしくは15日)の滞在許可が得られましたので、タイ北部で長期滞在する外国人は、滞在期間を延長させるため、わざわざバス等でメーサイへやってきて、一旦出国してミャンマーのタチレクへ入ってから、すぐにミャンマーを出てタイに戻り、再びイミグレを通過して陸路入国の期限日数である15日の滞在許可をゲットしていたんだそうです。尤も、以前は無制限に往復できたんだそうですが、最近では回数制限が設けられ、しかもつい先日(2014年5月10日頃)からタイへの再入国はたった1回のみに制限されてしまったんだとか(まだ状況は流動的のようですので、詳しくは現地に詳しい情報サイトでご確認ください)。いわゆる「外こもり」や「沈没」といったことも、これからは難しくなってゆくのでしょうね。
トゥクトゥクでタチレクの定番観光コースを1時間周遊しましたが、この手の街は観光名所ではなく生活感あふれる路地裏を歩いたほうが断然面白いはず。残りの1時間は自分の足で若大将よろしく散歩してみることにしました。
●マーケット


国境のイミグレを過ぎてすぐ右手に広がるマーケットの中へと入ってゆきます。さっそくタバコ売りが声をかけてきますが、私はタバコが苦手なのでひたすら無視。私にタバコは売れないとわかると、続いてやってきたのは遣手婆ならぬ遣手おじさん。中には「オキヤ」なんて日本語を放つ人もおり、それだけ邦人需要があることも窺えますが、時間も無いし不衛生もイヤなので、この手も一切無視。更にはバイアグラやドラッグの声もかかりますが、もちろん完全無視です。というか、まだバイアグラに頼るような歳じゃありませんけど!(一人で勝手に怒ってます…)。


マーケット内を彷徨く売り子の他、こうした屋台の店頭でもマルボロやケントなどの偽タバコが陳列されており、鬱陶しいほど声を掛けられますが、こうした偽タバコは北朝鮮あたりから流れてくるものなんだとか。その傍のお菓子屋さんでは偽コアラのマーチが売られていました。コアラのマーチの偽物はアジア圏に何種類もあり、旅行者にとっては最早おなじみですよね。


マーケットで売られているDVDやブランド物のバッグ・時計など、その全てがバッタ物。店頭に陳列されていた某ブランド風のバッグなんて遠目でもヨレヨレでしたから、子供が見たって怪しいと判断できるはずです。イミテーションのオンパレードというのは、決して褒められたもんじゃありませんが、でも意外と壮観なものです。そうそう、申し忘れていましたが、タチレクで流通している通貨は、ミャンマーのチャットではなく、全てタイバーツでした。


パラソルで覆い尽くされているマーケットを抜けると、コロニアル様式の建物が目に入ってきました。先程のトゥクトゥクに乗っていた時には気づきませんでしたが、これって自分の足で歩くからこそ気づく風景なのでしょうね。なかなか良い風情じゃありませんか。
●メインストリートと路地裏


メインストリートを走行する三輪車は、規定積載量なんか関係無ぇと言わんばかりにうず高く荷物を積んでいますが、この過積載はいかにも東南アジアっぽい光景ですね。メインストリートから一本裏の路地に入ると、リヤカー屋台があちこちで商いをしていました。


街の埃っぽさ、斜めに立つコンクリの柱、色あせた感じ、そして女の子の後ろ姿。この街角の景色をセピア色にしたら、昭和30年代の東京と大して変わらないかもしれません。そう思いつつカメラを構えていたら、前方から花を飾り付けられた車がやってきました。


花電車ならぬ花車が走っていたのは、付近で結婚式が挙行されていたからでした。新郎新婦に幸多かれ。


華やかな結婚式場のすぐ隣りの路地では、天秤棒を担ぐおばちゃんが商売に励み、その傍を日傘をさしながら2人の若い僧侶が闊歩してゆきます。



タイを除く近年のインドシナ各国では韓国車の進出が目覚ましいわけですが、貧しい国ですから新車なんて買えるはずもなく、この街で見られる車は日本の中古車ばかりであり、しかも日本で使われていた頃の面影をしっかりと残していました。たとえば上画像ですと、トラックの助手席側ドアには「自動車用室内芳香剤」の文字が見えますし、別のトラックの後部には「ネッツトヨタ北大阪」のシールが貼られたままでした。そしてLAV4の後部には「トヨタカローラ中京」とやはりディーラー名が残っているとともに、車庫証明のステッカーまで貼りっぱなしでした。左側通行の国で日本の中古車が走っているのは珍しいことではないのですが、ミャンマーはイギリスの植民地だったのに何故か右側通行を採用しており、にもかかわらず日本の右ハンドル車が走っているのですから、危ないったらありゃしない。
●2時間でサヨナラ、ミャンマー!


散歩しているうちに、タイムリミットの2時間が近づいてきました。国境付近のカフェでアイスコーヒーをいただいて一休み。この店はタイ・チェンライ県の名産であるドイチャンコーヒーを謳っていましたが、本当にドイチャンコーヒーなのかな? なお実物のドイチャンコーヒーは本当に美味しく、私も馴染みのコーヒー専門店を通じて購入し、自宅で淹れています。
さて、アイスコーヒーで落ち着いてから、イミグレへ。


その1で申し上げましたように、入国時にエントリーパーミットは発行されませんでしたが、イミグレの官吏に私のパスポートを見せたら、出国のスタンプが捺されていることを確認し、笑顔でBYE!とパスポートを私に返して手を振ってくれました。この笑顔のおかげで、ミャンマーに対する好感度が俄然急上昇です。いままで散々な悪口を言ってゴメンナサイ。そういえば一昨年に中国の深センから香港に渡る際も、中国の女性イミグレ職員は笑顔でパスポートを返してくれたっけ。まだビザが必要だった昔の中国で、ビザ申請したらパスポートをポイっ投げ返された悪しき想い出がある私としては、その笑顔があまりに意外で嬉しかったのですが、翻ってアメリカや欧州諸国のイミグレ職員はみんな無愛想ですし、日本もみんな仏頂面ですから、最近は非民主国家のほうがなんだかんだで愛想良いんじゃないの?と勘違いしたくもなります。


右側通行のミャンマーから左側通行のタイへ戻ります。ミャンマー、あばよ!
タイ入国に際してはエントリーカードに必要事項を記入するのですが、このカードの入手方法がわからなくてちょっと難儀しました。どこかに積まれているわけではなく、窓口で受け取るでもなく、駅の改札みたいなカウンターで受け取るんですね。何でそんなややっこしい方法にするんだろう?
ちなみにこのタチレクはタイで長期滞在する旅行者にとっては、あることで有名であったんだとか(過去形である点が重要)。と言いますのも、ビザなしで空路からタイヘ入国すると30日間(陸路だと15日間)滞在可能ですが、もっと長く滞在したい場合は、期限が切れる日ギリギリに一旦他国へ出て、再び入国すればその都度30日(もしくは15日)の滞在許可が得られましたので、タイ北部で長期滞在する外国人は、滞在期間を延長させるため、わざわざバス等でメーサイへやってきて、一旦出国してミャンマーのタチレクへ入ってから、すぐにミャンマーを出てタイに戻り、再びイミグレを通過して陸路入国の期限日数である15日の滞在許可をゲットしていたんだそうです。尤も、以前は無制限に往復できたんだそうですが、最近では回数制限が設けられ、しかもつい先日(2014年5月10日頃)からタイへの再入国はたった1回のみに制限されてしまったんだとか(まだ状況は流動的のようですので、詳しくは現地に詳しい情報サイトでご確認ください)。いわゆる「外こもり」や「沈没」といったことも、これからは難しくなってゆくのでしょうね。