●雪の肘折希望大橋
2012年に山形県大蔵村の肘折温泉で発生した土砂崩れは、温泉街へアクセスするメインルートを崩壊させたため、肘折温泉へ向かうには狭隘路を迂回せざるをえず、そのルートは慣れない人にとっては不安感を抱かせるものであったため、旅館によってはお客さんの安全を考慮して泣く泣く予約を断っていたところもあったようですが、その後メインルートの復旧が急ピッチで進められた結果、土砂崩れが発生した箇所をループ状の高架橋でかわしてゆくルートが確立され、同年12月には仮橋梁が開通、2013年11月30日に本開通となりました。私が前回肘折を訪問した2012年の12月下旬には、雪の最中だというのに多くの作業員を動員して工事が行われていましたが(拙ブログでも2013年1月24日付で記事にしております)、ちょうど訪問した日に県知事によって「肘折希望(のぞみ)大橋」という新しい橋の名前が発表され、その数日後には仮開通に至りました。冬の肘折の魅力にハマッてしまった私は今年(2014年)の冬も当地へ出かけることにしたのですが、せっかくですから自分の車で新しい橋を走って、本開通したアクセス路がどのようなものであるのか、体験してみることにしました。
まずは「肘折希望大橋」の全景を見てみましょう。従来は山の斜面を急カーブを伴いながら長い坂道で登っていましたが、新しいルートではループによってグルグル回りながら高さを稼いでいます。
では実際に走行してみましょう。最上地方の中心である新庄市街から国道458号線で大蔵村をどんどん南下していきます。村の中心部を抜けると雪の深さが一気に増し、道路の両側には除雪によってできあがった雪の壁が高く聳え立っていました。
肘折のトンネルを抜けると、その先の国道458号寒河江方面は冬季通行止区間となりますので、その手前を右折して肘折温泉があるカルデラへと下りてゆきます。
道は間もなく希望大橋につながるのですが、さすがに日本屈指の豪雪地帯だけあって、道路両側に聳える雪の壁はとてつもなく高く、実際に私の車と比較してみますと、上画像のような感じになりました。それでも温泉街を支える生命線であり、且つ路線バスが通る道でもありますから、道路はしっかり除雪されており、幅員も確保され、何ら不自由なくスムーズに走行することができました。
雪の掘割のような区間を抜けると、いつのまにやら希望大橋の上に差し掛かっていました。道なりにグルグルと回りながら下ってゆきます。
橋の真ん中では除雪の真っ最中。こうした作業のおかげで無事に通行できるんですね。関係者の皆さん、ありがとうございます。ちなみに橋を横から見ますと、ラーメン構造であることがよくわかります。
何ら不安を感じること無く、安全に希望大橋を下りきりました。上画像は下りきったところから橋を見上げている様子です。
橋の取り付きからそのまま坂を下って温泉街に到着しました。私の車はSUVのくせにFF車でして、当初は橋の勾配が気にかかり、凍結時等はどうなることやら心配だったのですが(特に橋は凍結しやすいですからね)、実際に走ってみますと勾配はかなり緩やかになっており、こまめな除雪のおかげもあって、事前の不安は杞憂に終わり、怖い思いをすることなく通行できました(ここに限らず、路線バスが通るような道でしたら、そんなにビビる必要は無いんでしょうけど)。なお温泉街はしっかり融雪されています。
●三春屋旅館 お部屋と食事
さて今回の宿泊先は温泉街の中央に位置する「三春屋旅館」です。前回肘折を訪れた際に宿泊した「若松屋村井六助」(前編・後編)の真向かいにあり、外観こそいかにも肘折の湯治宿らしい渋い佇まいなのですが、温泉ファンからは高い評価を得ているお宿なのであります。
帳場にはジャズのCDがズラリと並べられており、私の訪問時にはその中の一枚がプレーヤーにかけられ、大人な雰囲気のサックスがスピーカーから響いていました。また館内廊下には沢山の蔵書が本棚に収められていました。
今回通された客室は2階の角部屋で10畳の和室です。湯治宿らしく年季が入っていますが、綺麗に手入れされており、居心地は一般的な旅館と較べても全く遜色ありません。それどころか、館内にはWi-Fiが飛んでいますので、PCやスマホを持参すればお部屋でネットが使えます。
今回は2食付きのプランでお願いしました。夕食・朝食とも部屋出しです。
まずは夕食から。生ビール(別料金)とともにいただきました。
中央に威風堂々と構えているのは、山形名物の芋煮鍋です。醤油に砂糖を入れたすき焼き風の汁に牛肉と里芋、そして長ネギ・ナメコ・千切りこんにゃくを入れて煮込んだもので、これが実に美味。砂糖が濃厚な味わいを生み出しているスープには牛の脂が溶け込んでより奥深い味となっており、トロットロのサトイモとの相性が抜群。余ったスープをご飯にかけても最高でして、お櫃のご飯はあっという間に空になってしまいました。
小鉢は膾とゼンマイの煮物。
朝食は味噌汁やおひたしといった「和」と、焼きハムやマカロニサラダといった「洋」が一つの盆に仲良くセッティングされている和洋折衷の献立で、見た目の彩りもさることながら栄養のバランスも良く、一日のスタートを気持ちよく踏み出せるお食事でした。
単に腹いっぱい食えるだけじゃなく、その飯がめちゃくちゃ美味いというのが素晴らしいじゃありませんか。こんな盛り沢山なお食事がついて、しかも後編で述べる2つの掛け流しの温泉にも入リ放題。1泊2食でなんと6,450円(2014年1月時点)なんですよ。驚くべきコストパフォーマンスです。
後編ではお風呂について見てまいります。
後編につづく
2012年に山形県大蔵村の肘折温泉で発生した土砂崩れは、温泉街へアクセスするメインルートを崩壊させたため、肘折温泉へ向かうには狭隘路を迂回せざるをえず、そのルートは慣れない人にとっては不安感を抱かせるものであったため、旅館によってはお客さんの安全を考慮して泣く泣く予約を断っていたところもあったようですが、その後メインルートの復旧が急ピッチで進められた結果、土砂崩れが発生した箇所をループ状の高架橋でかわしてゆくルートが確立され、同年12月には仮橋梁が開通、2013年11月30日に本開通となりました。私が前回肘折を訪問した2012年の12月下旬には、雪の最中だというのに多くの作業員を動員して工事が行われていましたが(拙ブログでも2013年1月24日付で記事にしております)、ちょうど訪問した日に県知事によって「肘折希望(のぞみ)大橋」という新しい橋の名前が発表され、その数日後には仮開通に至りました。冬の肘折の魅力にハマッてしまった私は今年(2014年)の冬も当地へ出かけることにしたのですが、せっかくですから自分の車で新しい橋を走って、本開通したアクセス路がどのようなものであるのか、体験してみることにしました。
まずは「肘折希望大橋」の全景を見てみましょう。従来は山の斜面を急カーブを伴いながら長い坂道で登っていましたが、新しいルートではループによってグルグル回りながら高さを稼いでいます。
では実際に走行してみましょう。最上地方の中心である新庄市街から国道458号線で大蔵村をどんどん南下していきます。村の中心部を抜けると雪の深さが一気に増し、道路の両側には除雪によってできあがった雪の壁が高く聳え立っていました。
肘折のトンネルを抜けると、その先の国道458号寒河江方面は冬季通行止区間となりますので、その手前を右折して肘折温泉があるカルデラへと下りてゆきます。
道は間もなく希望大橋につながるのですが、さすがに日本屈指の豪雪地帯だけあって、道路両側に聳える雪の壁はとてつもなく高く、実際に私の車と比較してみますと、上画像のような感じになりました。それでも温泉街を支える生命線であり、且つ路線バスが通る道でもありますから、道路はしっかり除雪されており、幅員も確保され、何ら不自由なくスムーズに走行することができました。
雪の掘割のような区間を抜けると、いつのまにやら希望大橋の上に差し掛かっていました。道なりにグルグルと回りながら下ってゆきます。
橋の真ん中では除雪の真っ最中。こうした作業のおかげで無事に通行できるんですね。関係者の皆さん、ありがとうございます。ちなみに橋を横から見ますと、ラーメン構造であることがよくわかります。
何ら不安を感じること無く、安全に希望大橋を下りきりました。上画像は下りきったところから橋を見上げている様子です。
橋の取り付きからそのまま坂を下って温泉街に到着しました。私の車はSUVのくせにFF車でして、当初は橋の勾配が気にかかり、凍結時等はどうなることやら心配だったのですが(特に橋は凍結しやすいですからね)、実際に走ってみますと勾配はかなり緩やかになっており、こまめな除雪のおかげもあって、事前の不安は杞憂に終わり、怖い思いをすることなく通行できました(ここに限らず、路線バスが通るような道でしたら、そんなにビビる必要は無いんでしょうけど)。なお温泉街はしっかり融雪されています。
●三春屋旅館 お部屋と食事
さて今回の宿泊先は温泉街の中央に位置する「三春屋旅館」です。前回肘折を訪れた際に宿泊した「若松屋村井六助」(前編・後編)の真向かいにあり、外観こそいかにも肘折の湯治宿らしい渋い佇まいなのですが、温泉ファンからは高い評価を得ているお宿なのであります。
帳場にはジャズのCDがズラリと並べられており、私の訪問時にはその中の一枚がプレーヤーにかけられ、大人な雰囲気のサックスがスピーカーから響いていました。また館内廊下には沢山の蔵書が本棚に収められていました。
今回通された客室は2階の角部屋で10畳の和室です。湯治宿らしく年季が入っていますが、綺麗に手入れされており、居心地は一般的な旅館と較べても全く遜色ありません。それどころか、館内にはWi-Fiが飛んでいますので、PCやスマホを持参すればお部屋でネットが使えます。
今回は2食付きのプランでお願いしました。夕食・朝食とも部屋出しです。
まずは夕食から。生ビール(別料金)とともにいただきました。
中央に威風堂々と構えているのは、山形名物の芋煮鍋です。醤油に砂糖を入れたすき焼き風の汁に牛肉と里芋、そして長ネギ・ナメコ・千切りこんにゃくを入れて煮込んだもので、これが実に美味。砂糖が濃厚な味わいを生み出しているスープには牛の脂が溶け込んでより奥深い味となっており、トロットロのサトイモとの相性が抜群。余ったスープをご飯にかけても最高でして、お櫃のご飯はあっという間に空になってしまいました。
小鉢は膾とゼンマイの煮物。
朝食は味噌汁やおひたしといった「和」と、焼きハムやマカロニサラダといった「洋」が一つの盆に仲良くセッティングされている和洋折衷の献立で、見た目の彩りもさることながら栄養のバランスも良く、一日のスタートを気持ちよく踏み出せるお食事でした。
単に腹いっぱい食えるだけじゃなく、その飯がめちゃくちゃ美味いというのが素晴らしいじゃありませんか。こんな盛り沢山なお食事がついて、しかも後編で述べる2つの掛け流しの温泉にも入リ放題。1泊2食でなんと6,450円(2014年1月時点)なんですよ。驚くべきコストパフォーマンスです。
後編ではお風呂について見てまいります。
後編につづく