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今回のタイ旅行で是非行ってみたかったのがチェンダオ山の麓にあるチェンダオの土管温泉です。結論から申し上げますと、予想を裏切らない野趣あふれる温泉で、存分のその魅力を堪能できたのですが、いざ帰国して、今こうして自分のブログに記事をアップするに当たり、困った問題に直面してしまいました。あれ? この温泉の正しい名称って何なんだろう? 名前がわからないとタイトルを入力できないぞ…。私はこの温泉の形態から「土管温泉」という抽象的な名称で記憶していたのですが、正式な固有名詞がそんないい加減なはずも無く、ネットで調べてみても「バーンヤーンポーン温泉」(Ban Yang Pong Hot Spring)と称しているサイトもあれば、「バーンヤーンプートッ温泉」というように最後を促音便らしき小さな「ッ」で締めているサイトもあり、タイ語を全く解さない私にとってはどれが正しいのがちっともわかりません。従いまして今回の記事では、「チェンダオ温泉(土管温泉)」とやや曖昧で広汎な形で表記させていただきます。
チェンダオの107号線バイパスにある五叉路から、チェンダオ山を右前方に眺めつつ、南西方向へ伸びる道を進んでゆきます。五叉路には上画像のように「Hot Spring 3.5km」と記された看板が立っているので、それに従って行けば問題なし。
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道のどん詰まりにはチェンダオ野生動物研究所(Doi Chiang Dao Wildlife Research Station)のゲートがあるのですが、このすぐ左手手前が今回の目的地である土管温泉です。ワイルドな温泉はえてして発見しにくいものですが、ここはかなりイージーに見つけられ、しかも周辺には駐車できる空き地もあるので、アクセス面では結構恵まれているかと思います。
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道路のすぐ脇には川が流れており、川の畔にはこんな感じで土管の湯船がいくつも並んでいます。そもそも当地では自噴の温泉が未使用のまま垂れ流されていたんだそうですが、チェンダオにお住まいの邦人の方がこの温泉の存在を知り、関係者から許可を得た上で、自費を擲ってヒューム管や配管を運び込んで即席の露天風呂を作ったのが、この土管風呂のはじまりなんだとか。こんな場所に自力でお風呂を拵えてしまうなんて、さすが温泉をこよなく愛する日本人らしい望郷の念のなせるわざですが、以前は土管が一つしかなかったものの、その後は現地滞在の邦人のみならず地元の人や外国人観光客も利用するようになり、利用者の増加に伴って少しずつ土管の数が増え、現在では7つにまで増殖してしまったそうです。私が訪れた時にも地元の方がちょうど入浴なさっていました。そして清流の対岸では水牛の親子が羨ましそうにこちらを眺めながら、下流の方へのんびりと歩いていきました。
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源泉はちょっと高くなっている道路の路傍にいくつか点在しており、それらの源泉からお湯を集めてパイプで低い位置に据えられた土管風呂へと流し込んでいます。土管は川岸の斜面に沿って並んでおり、どの源泉からお湯が供給されているか、あるいは源泉からどのくらい隔たっているか、等の理由によって温度が異なっていました。見るからに手造り感が溢れていますね。
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上画像は研究所のゲート傍で湧出する源泉のひとつです。当記事では仮に源泉Aとしましょう。最上流ではチョロチョロと心細い湧出量にすぎないのですが、その数メートル下方には丸いコンクリートの構造物があり、この2つのポイントから湧出した温泉は、一筋の細い流れを作って川の方へと下り、パイプに落とし込まれて土管風呂へと引湯されていました。なおコンクリの構造物はおそらく源泉を保護しているものと思われます。ここの温泉は硫黄を含んでおり、流路下の泥や小石を白く染めています。できるだけ湧出点に近い所でデータを計測したところ、48.8℃およびpH8.9という数値が得られました。
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これも源泉のひとつでして、ここでは源泉Bと称することにしますが、こちらには人為的な措置は施されておらず、自然体のまま湧出していました(いや、周囲の石は人為的に「護岸」しているのかも)。47.8℃およびpH8.9という数値は、上述の源泉とあまり変わりませんが、画像ではわかりにくいのですが、意外にも湧出量が多くて安定しており、ここから伸びるパイプは4つの土管へお湯を供給していました。
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源泉Bで湧出したお湯は一本のパイプに集められ、まずは二手に分岐し、片方は最も東側に据えられた土管風呂へ直接落とし込まれます。7つあるうちでこの土管が最も熱く、43~4℃はありました。分岐した他方も別の土管風呂へと向かっているのですが、そこから更に下流側へ2つも土管が連続しており、当然の理として下流へ行けば行くほどお湯が鈍ってぬるくなっていました。画像に写っている海パンのおじさんはここから近いチェンダオの街に住んでおり、この温泉にもよく足を運んでいるんだそうですが、熱いお風呂が好きなんだそうでして、頻りに一番熱い土管に入って気持ちよさそうな顔をしていました。日本人がつくった温泉露天風呂を通じて、入浴文化は順調に現地の方々にも浸透しているようですね。
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画像左(上)で手前2つは、源泉Bから流れてきたお湯の最下流にあたり、お湯もぬるくて鈍り気味でした。一方その奥に見える土管はおそらく源泉Aから大きな岩の下を潜って引湯されているようでしたが、引湯距離にお湯が負けてしまうのか、ここもややぬるめでした。こんな感じで、土管によって湯加減が異なりますから、自分の好みに合う土管を選べるんですね。一般的にタイの方や外国人旅行者ですとぬるいお湯を好むのでしょうし、コテコテの日本人である私は当然ながら熱くて鮮度感の高いお湯の方が良い・・・
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というわけで、7つの土管のうち、源泉Bのお湯がダイレクトに流れこんで熱さと鮮度感が最も高かった土管に入ってみました。渓流のせせらぎを耳にしながら山の緑に抱かれて浸かるワイルドな露天風呂はとても気持ち良く、この地に多くに人が癒しを求めに来るのも頷けます。あまりの爽快さゆえ、気づけばこの温泉に2時間近くも居続けてしまいました。
お湯は芳醇なタマゴ味とタマゴ臭を有し、ほろ苦みや微かな塩味も感じられました。見た目は基本的に無色透明なのですが、上述のように土管によってコンディションが異なり、源泉からの距離に反比例して透明度は落ちてゆきます。また、湯船の中で舞う湯の華の量にもかなりのバラつきが見られ、白やグレーの羽根状の湯の華が大量に舞っているところもあれば、ほとんど見られないところもありました。湯の華に関しては源泉に近い土管ほど多いようでしたが、これは下流側の土管は上流側のお湯の上澄みを受けているため、重い湯の華は下流の土管まで流れていかないのでしょう。ここのお湯で特筆すべきは印象的な浴感でして、ウナギ湯と称したくなるほどヌルっとしたトロミを伴うツルツルスベスベ感が強く、まるでローションの中に浸かっているような感覚を覚えました。強いアルカリに傾いているのかと思いきや、私が計測したところpH8.9でしたので、確かにアルカリ性ではありますが、大して強いわけでもありません。ということは重曹かメタケイ酸などといった物質が多く含まれている(且つCa等の土類が少ない)のでしょうか。詳細に分析したら面白い数値が出てきそうです。
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ちなみに、土管風呂のすぐ隣には「ほたるのゆ」という有料の露天風呂施設があり、こちらは予約制なんだそうですが、お湯自体は土管風呂と同じ源泉を引いているらしく、しかも源泉から隔たっているために、湯船ではかなりぬるくなっているんだとか。でも私がちょっと覗いたときでも利用客はいましたから、ちゃんと需要はあるようです。土管風呂のワイルドな佇まいが苦手な方にはこちらの方が良いのかもしれませんね。
GPS:19.362707N, 98.922569E,
24時間利用可
無料
備品類無し
(渓流沿いという立地ですから虫に襲われやすく、私もブヨに何箇所か刺されてしまいました。虫には注意!)
私の好み:★★★