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前回取り上げた「ノーンクロック温泉」が徐々に荒廃へと近づく温泉であるならば、同じプラーオ郡にある「ポーン・ブア・バーン温泉」は、まさにその対極に有ると言っても過言ではない、地元密着型の素朴な温泉と言えそうです。「ノーンクロック温泉」から1150号線に戻って東進し、プラーオの街から1001号線をチェンマイ方面へ約14km南下すると、簡易的な検問所らしきポイントがあるので、その直前の十字路を右折し、橋で川の対岸へわたって道なりに進んでゆくと、間もなく左手の小高い丘の上に「ポーン・ブア・バーン寺院」が見えてきます。このお寺の下には上画像のようなゲートを戴く道が川に沿う方向へ伸びていますので、このゲートを潜って南下します。
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周囲は川の氾濫原となっており、けだし度重なる大水によって土壌が肥沃なのでしょう、見渡す限り耕作地が広がっていました。
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ゲートを潜って約200mで今回の目的地である「ポーン・ブア・バーン温泉」に到着です。路地の交差点の目立つ位置にはバナーが張られているのですが、全てタイ語なので私にはチンプンカンプン。でもその場の様子をひと目見ただけで、ここが温泉であることは一目瞭然です。ちなみにポーン・ブア・バーンという地名を訳すると「蓮の華が咲く」というとっても仏教チックな意味になるんだそうでして、タイ北部の温泉を知り尽くす「チェンマイ・田舎・新明天庵だより」のYさんはこの温泉を「花はす温泉」と呼んでいらっしゃますが、これはYさんの故郷である福井県南越前町の「花はす温泉そまやま」の名前を当地に当て嵌めているのではないかと、私は勝手に勘ぐっております。
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中央の最も目立つ位置では、自噴の温泉が花弁を開くように綺麗な放物線を描いて噴き上がっており、その傍にはコンクリのプールのような、実にプリミティブな造りの浴槽がひとつ設けられています。そして浴槽の上には屋根代わりのテントが張られていました。私はレンタカーをこの自噴源泉の傍に止めたのですが、車のドアを開けた途端、源泉から芳しいタマゴ臭がふんわりと香り、早くも良泉を予感させてくれました。
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全てタイ語なのでさっぱりわかりませんが、テントの梁に掲げられているバナーに記されている内容に関して、10.00-22.00はオープン時間のことでしょうし、その下の5や10は子供料金と大人料金を示しているであろうことは、いくら言葉が分からなくても見当がつきます。一人で海外旅行を繰り返していると、このあたりの勘がよく働くようになるのですが、そんな瑣末な自慢話はともかく、入浴料が僅か10バーツだなんて嬉しいじゃありませんか。今まで別の温泉で支払ってきた100バーツなどという料金設定がバカバカしく思えますが、10という廉価な設定こそ地元の物価基準に合わせたものなのでしょうね。
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敷地内は公園のようになっており、3つほどガゼボも設けられていますから、陽射しを避けて休憩することもできます。ガゼボのうちの一つ(画像右or下)には、柱に白い箱が取り付けられており、無人の時はそこへ各自が入浴料を投入するようですが・・・
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私の訪問時には管理人のおばちゃんがいたので、直接料金を支払ったところ、律儀にもこのようなチケットを手渡してくれました。でもその際に、おばちゃんはガボゼに張られていたマッサージの広告を指さしながら、頻りに私にマッサージを奨めてきたのはちょっと面倒でした。その広告には携帯電話の番号が印刷されていたのですが、タイ語のわからない私が按摩さんに直接電話したところで、どうにもなんねぇべさ…。
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源泉の傍にはこのような2つの小屋があり、右側は管理人室で、左側はシャワー室や掛け湯用個室が並ぶ棟です。左側の小屋に入ってみると、廊下を挟んで左右にそれぞれ4~5室ほど並んでおり、左側は掛け湯用の個室、右側はシャワーとなっていて、掛け湯槽にはお湯が満たされていましたが、シャワーはまだ使えないらしく、ハンドルを回しても何も出てきませんでした。なお私はこのシャワー室で水着に着替えさせてもらいました。
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源泉は露天風呂の傍以外に、路地の交差点付近や斜面を上った奥の方にも未使用源泉があり、もったいないことに湧きたてのお湯はそのまんま垂れ流され、流路の表面をイオウで白く染めながら、辺りを泥濘にしていました。
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中央の源泉はその先端が鋳物の花になっており、その先っちょから温泉が放物線を描いて噴出しているんですね。その途中からチーズで分岐させた配管より、お湯がパイプを伝って露天風呂へ投入されています。なお浴槽の縁にも配管が立ち上がっているのですが、これは加水用のものであり、温泉ではないようです。
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訪問時には源泉の供給量が最小限に抑えられており、湯船の温度も40℃あるかないかといった程度だったのですが、私が入浴してしばらくすると、管理人のおばちゃんが私の心を忖度してくれ、ニコッと笑みを浮かべるや、竹竿を源泉の開閉弁の金具に差し込んで、テコの原理で竿をクイッと動かすと、源泉のお湯がドバドバと大量に露天風呂へ注ぎ込まれました。おかげで湧きたての新鮮なお湯を堪能できましたし、湯加減日本人向けに上がりましたので、実に素晴らしいコンディションとなりました。おばちゃん、ありがとう!! これはきっと、現地に滞在する邦人の方々が何度もこの温泉を訪問しているおかげで、日本人は熱くて新鮮なお湯が好きだということを、地元の方々が理解してくださっているのでしょう。
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せっかく吐出量を増やしてくれたんだから、新鮮なお湯のデータを記録しなきゃ、ということで計測器の電源を投入してパイプ口にて測ったところ、55.6℃、pH7.2という数値が計測されました。無色透明の湯中には白い湯の華がちらほら舞っており、明瞭なタマゴ臭が嗅ぎ取れるとともに、はっきりとしたタマゴ味やほろ苦み、そして弱い芒硝味や石膏臭も感じられます。また湯船の中ではサラスベとした滑らかな感触の中に、透明の硫酸塩泉によくあるキシキシと引っかかる浴感も混在していましたので、泉質名としては硫酸塩泉か硫酸塩泉型の単純泉(中性低張性高温泉)に該当するのではないかと思われます。
タマゴ感を有する無色透明の硫酸塩泉や硫酸塩泉型の単純泉は日本でも多く見られ、特に長野県付近から東北にかけて広く分布しており、その多くは名湯の誉れが高いわけですが、この「ポーン・ブア・バーン」の湯も、日本の名湯と十分に比肩できるほどクオリティーが高く、しかも湧きたてのお湯が完全掛け流しなのですから、湯浴みしたら誰しもその素晴らしさを実感できるはずです。
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画像左(上)は管理人のおばちゃんに撮ってもらったもの、画像右(下)は三脚が曲がったため斜めになっちゃいましたが、私と同じタイミングで入浴しに来た母子と一緒に撮ったものです。小学校中学年くらいと思しきお姉ちゃんは多感なお年頃ゆえ恥ずかしがってカメラに背を向けてしまいましたが、お母さんと推定3歳の男の子は快く記念撮影に応じてくれました。皆さん着衣のまま、40℃以上の熱い湯船にしっかり全身浴をして、温泉を楽しんでいらっしゃいます。
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私が帰る頃には、地元のお母さん方がぞろぞろ次々とやってきて、足湯したり全身浴したりと、各々が好みのスタイルで露天風呂に入りながら、世間話に花を咲かせていました。地元の皆さんに愛されている憩いの温泉って素敵ですよね。長閑な田園風景の中にある、プリミティブでワイルドな露天風呂、しかも新鮮な源泉のお湯をそのまんまの状態で味わえるのですから、温泉ファンでしたら誰でも垂涎ものでしょう。露天風呂に満足した私が車を出してその場を離れようとすると、奥様方はその場でみんなで手を振りながら、英語で「また来てね」と言ってくれました。今回の旅で訪問したタイ北部の温泉の中でも、最もハートウォーミングな想い出となった温泉でした。
GPS:19.237142E, 99.178449N,
10:00~22:00(私の訪問時には左記の時間が掲示されていましたが、最近8:00~18:00へ変更になったようです。詳しくはこちらのブログ記事をご参照下さい)
10バーツ
備品類なし
私の好み:★★★