引き続き今回もタイの田舎に湧き出る温泉を訪れた際のレポートを取り上げてまいりますが、でもその前に、訳あって中国の近現代史について軽く触れてきましょう。1945年に日本が第二次大戦で敗北して中国大陸から撤退すると、今度は中国の国内で国民党と共産党が対立し、1949年まで国共内戦が繰り広げられるわけですが、結果的には毛沢東率いる共産党が中国大陸を制圧して、蒋介石の国民党は台湾へ逃れます。でも中国の雲南や四川あたりにいた国民党の人間たちは、遠く離れた台湾まで逃れることができずにタイやビルマ(ミャンマー)・ラオスなどへ散らばっていくこととなり、そこで大陸奪還を目指すべく反抗拠点を築くのですが、やがて現地の政府(特に共産国家となったビルマ)からも追い払われてしまい、更にタイなどへ逃げてゆきます。こうして現在タイの北部には国民党の落人の集落が点在するようになり、なかでもミャンマー国境付近のメーサローンは観光名所になっていますが、それ以外にも落人集落があり、今回取り上げるチャイプラーカーン郡の熱水塘村もそうした集落の一つです。名前が示すように、この村には温泉が湧いているんですね。温泉があって、しかも国民党の落人が暮らしているのですから、二重の意味で実に興味深く、今回の旅行では是非とも行ってみたい場所のひとつでした。しかしながら、こちらはメーサローンと違って観光地ではないので、ガイドブックに紹介されているはずは無く、ネットで検索してもどこにあるのかよくわかりません。事前に得られた数少ない情報によれば、国道107号を北上してチャイプラーカーン郡に入ると、やがて検問所が現れ、そこの丁字路を左に入って道なりに進めば辿り着ける、とのことでしたが、左に入って道なりに走っても、行けども行けどもそれらしき集落が見当たりません。
道に迷ったかと不安をおぼえてはじめたころ、検問所の丁字路からちょうど11kmの十字路に漢字の広告看板を発見! 走ってきた道に誤りは無かったんだ。ここまで来れば何とかなるだろう、そう思って安心し、看板が指し示す方向へと更に進みます。
やがて熱水塘村の中華風ゲートが現れました。屋根に吊り下がっている魔除けの赤い提灯がいかにも中華ですね。その下方には村名が記された碑が立てられており、タイ語や漢字表記の他、アルファベットで"Ban Mai Nong Bua"と書かれています。ということは、タイ語ではマイノーンブア村と称するんですね。ちなみに熱水塘とは、つまり熱い水の溜池という意味です(「塘」の字は一般的に「堤塘」というように堤防や築堤の意味で用いますが、堤で囲った池という意味もありますので、この場合は後者が相応しいでしょう)。
ゲートの下には村内の見取図が掲示されているのですが、こちらはタイ語オンリーなので何が説明されているかチンプンカンプン。しかも現在地がどこだかわかりません。実は「熱水塘村の温泉は水害に呑み込まれて消えた」という情報も得ていたので、温泉らしきものが描かれていないこの図を見た時には、せっかく村を探し当てたのに空振りで終わるのか、という不安を覚えたのですが、後日改めてこのマップをよく見たら、図の左端の中段にちゃんと後述する個室風呂が写真入りで載っていたことに気づきました。タイ語だから全然わかんなかったよぉ…。
ゲートを潜って道なりに進むと村の中心部となりました。タイの田舎だというのに、集落の建物は悉く漢字だらけで、ここは本当にタイなのか、実は台湾の山間部にワープしちゃったんじゃないかと疑わしくなるほどです。
一見するとごく普通の民家に見えるこの建物にも赤提灯がぶら下がっており、袖看板には「熱水塘青年会」と記されていました。そんな組織があるんですね。
さてこの集落の中心部をグルグルと回って温泉を探したのですが、それらしきものはちっとも見当たりません。しかも温泉の存在を示す案内看板すらありません。ネットで調べた情報によれば、お寺の傍に温泉があるとのことなのですが、少なくとも集落の中心部にはお寺もありません。そこで村の高台に登って、村全体を俯瞰したところ、メインストリートから左斜めにそれる道の先に、赤い屋根を戴く寺院らしき建物を発見。たまたまその高台付近の住民に中国語で「温泉在哪裡?」と訊いたら、やはりその人も私が見つけた赤い屋根の方を指さすではありませんか。ふと私の口から出た中国語がこの地で通じたことに驚きつつ、高台から下りてその赤い屋根へと向かいました。
赤い屋根を戴くこのお寺の名前は「観音寺」です。といっても決して香川県ではありませんよ。その名の通りご本尊は観世音菩薩なのでしょうね。本堂の右側には地母を祀る堂もありますから、中国人らしくここでは道教も信仰されているようです。
お寺の門前には巨大なガジュマルが茂っているのですが、ガジュマルの左側の斜面下を見ますと、そこには何やら怪しげな個室が並んでいるではありませんか。
ガジュマルの下が駐車場になっているので、そこに車を止め、大樹と反対側にある小屋で暇そうにしていたおじさんに「這裡有没有温泉?」と訊いたところ、おじさんは首を縦に振ってくれました。やったぁ! 遂に温泉を見つけたぞ! ここが熱水塘温泉(Mai Nong Bua Hot Spring)なのであります。
私が「多少銭?」と尋ねると、おじさんは「一百塊」と返してきます。こんな感じで会話がやりとりされたのですが、ここだけ聞いたら、タイではなく中華圏ですよね。年齢からしておじさんは中国から逃げてきた1世ではなく、その子の世代、つまり2世かと思われますが、いまでも子孫に対してはちゃんと母語を教えているんですから、語学を通じて奮励自強を促し、もしかしたら今でも密かに中国奪還を狙っているかもしれませんね(まさか…)。奪還は冗談にせよ、実際にこの村では今でも台湾の国民党から諸々の支援を受けているらしく、その証拠に村内の数ヶ所で「民国○○年 中華民国・・・」と彫られた碑や銘板を見かけました。
話を温泉に戻しますと、一百塊、つまり100バーツというちょっと高めの料金に、私は喉の奥に小骨が突き刺さったような不快感を覚えたのですが、でもやっと見つけた温泉に入れるのだからその位は気持ちよく払ってしまえ、という気持ちが背中を押したので、気づけば私の100バーツはおじさんに手渡されており、紙幣をポケットに突っ込んだおじさんは机の引き出しから鍵を取り出して「三號」と言って、案の定、ガジュマルの下に並んでいた個室へ行くよう指示しました。個室へ向かう通路には「吉祥」「六美」と大きく朱色の文字が浮かび上がっている門が立てられていました。吉祥はともかく、「六美」って6つの個室を指しているのかな?
「三號」つまり3号室には「菊花」という名前が付けられており、他の個室にも「牡丹」「百合」「玉蘭(ハクモクレン)」「荷花(ハスの花)」「桃花」というように、仏様が好みそうな花の名前が付けられております。小屋の周りにはイオウの匂いが漂っており、鼻をクンクン鳴らせてその匂いを嗅ぎながら南京錠を開けて中に入りますと、室内には浴槽がひとつ据えられ、壁はコンクリ打ちっぱなしで、床は木目の防水床材、水回りはライムグリーンに塗装されており、浴槽内はタイル貼りで、シャワーブースとの仕切りにはガラスブロックが用いられています。まだ竣工して間もないのか、どこもかしこも新品らしい輝きを放っていました。
個室内には無駄に広いシャワーブース(ぬるい水しか出ません)があったり、壁には扇風機が備え付けられていたりと、備品関係はそれなりに充実していました。また壁に沿って長い腰掛けも設けられているため、一息休憩したいときも、荷物をたんまり置きたいときでも、その腰掛けを使えば大丈夫。
入室時の浴槽は空っぽですので(つまり使用の度にお湯を張り直す)、まずはお湯のコックを開けて湯船にお湯を溜めます。吐出されるお湯の量は結構多いので、ものの数分で丁度良い嵩まで溜まりました。湯船にお湯を張るとこんな感じです。なんと乳白色に濁ったミルキーなお湯に入れるんですよ。その濁り方も比較的強く、槽内のステップが辛うじて見える程に濁っています。なお湯加減は日本人にはちょっと物足りないものでして、吐出口で38.8℃でしたから、湯船では37℃前後だったかと思いますが、常夏の地ですから、あまり熱い風呂は体に毒なわけで、寧ろこのくらいぬるい方が体への負担が少なくゆっくり入れますよ。ちなみに水素イオン濃度はpH7.7でした(つまり中性ですね)。
入浴してみました。湯船は1~2人サイズで、小屋の大きさの割に湯船は小ぶりです。でも深さは確保されており、肩までしっかり浸かることができました。お湯の見た目は灰白色のコロイド濁りで、透明度は30~40cmといったところ、湯の花らしきものは確認できませんでした。湯面からはタマゴ臭と砂消しゴム臭を足して2で割ったような硫化水素臭が漂い、湯口のお湯を口に含んでみると、タマゴ味と弱い苦味、そして石灰っぽい味が感じられました。もしかしたらカルシウムが多いのかもしれず、それゆえか、湯船に浸かって腕を撫でると、かなりギシギシと引っかかる感触が得られました。イオウの湯の香が温泉風情を高揚させてくれるとともに、37℃という不感温度帯に近い湯加減が私から時間感覚を奪い、気づけばかなり長湯してしまいました。なかなか良いお湯です。
6つの個室風呂の他、上画像のように大人数用の浴室も2室あり(男女別なのかも)、バルブを開けたらちゃんとお湯も出できました。でもこのプールのような大きい浴槽にお湯を溜めるには、一体どのくらいの時間を要することやら…。
奥には小川が左右に流れており、その対岸にも温泉関係の構造物がありましたので、川に架かる有蓋橋を渡ってみました。
橋を渡ってすぐのところには、上画像のような飾り気のない建物があり、天井下の壁面には換気用と思しき穴がたくさんあいていたり、男女別と想像される2つの扉がシンメトリに取り付けられていたりと、いかにも浴場チックな構造をしているのですが、青いペンキが塗られた2つの鉄扉はガッチリ施錠されており、中を見学することができません。でも扉の上部は格子になっていたので、その間にカメラを突っ込んでシャッターを押したところ、いかにも浴室っぽい館内の様子が撮影できました。あくまで私の想像ですが、個室で100バーツはいくらなんでも現地住民にとっては高すぎますので、あの個室はあくまで外来者用であり、この建物は地元の人が温泉を利用するための公衆浴場なのではないでしょうか。
有蓋橋の右側にはミルクのように乳白色のお湯が、コンクリの擁壁に守られながら湛えられていました。底からはプクプクと泡が上がっていますし、他から流入している様子も見られないので、ここが温泉の源泉なのでしょう。まさに村名の通りの熱水の塘です。
タイの温泉は無色透明のお湯が多いので、湯めぐりでアクセントを加えたくなったらここを訪れるのも良いかと思います。温泉のついでに中国近現代史の片鱗にも触れられるんですから、1回で2度面白い体験もできますしね。
GPS:19.714818N, 99.089156E,
営業時間不明
個室100バーツ(1人)
私の好み:★★+0.5
道に迷ったかと不安をおぼえてはじめたころ、検問所の丁字路からちょうど11kmの十字路に漢字の広告看板を発見! 走ってきた道に誤りは無かったんだ。ここまで来れば何とかなるだろう、そう思って安心し、看板が指し示す方向へと更に進みます。
やがて熱水塘村の中華風ゲートが現れました。屋根に吊り下がっている魔除けの赤い提灯がいかにも中華ですね。その下方には村名が記された碑が立てられており、タイ語や漢字表記の他、アルファベットで"Ban Mai Nong Bua"と書かれています。ということは、タイ語ではマイノーンブア村と称するんですね。ちなみに熱水塘とは、つまり熱い水の溜池という意味です(「塘」の字は一般的に「堤塘」というように堤防や築堤の意味で用いますが、堤で囲った池という意味もありますので、この場合は後者が相応しいでしょう)。
ゲートの下には村内の見取図が掲示されているのですが、こちらはタイ語オンリーなので何が説明されているかチンプンカンプン。しかも現在地がどこだかわかりません。実は「熱水塘村の温泉は水害に呑み込まれて消えた」という情報も得ていたので、温泉らしきものが描かれていないこの図を見た時には、せっかく村を探し当てたのに空振りで終わるのか、という不安を覚えたのですが、後日改めてこのマップをよく見たら、図の左端の中段にちゃんと後述する個室風呂が写真入りで載っていたことに気づきました。タイ語だから全然わかんなかったよぉ…。
ゲートを潜って道なりに進むと村の中心部となりました。タイの田舎だというのに、集落の建物は悉く漢字だらけで、ここは本当にタイなのか、実は台湾の山間部にワープしちゃったんじゃないかと疑わしくなるほどです。
一見するとごく普通の民家に見えるこの建物にも赤提灯がぶら下がっており、袖看板には「熱水塘青年会」と記されていました。そんな組織があるんですね。
さてこの集落の中心部をグルグルと回って温泉を探したのですが、それらしきものはちっとも見当たりません。しかも温泉の存在を示す案内看板すらありません。ネットで調べた情報によれば、お寺の傍に温泉があるとのことなのですが、少なくとも集落の中心部にはお寺もありません。そこで村の高台に登って、村全体を俯瞰したところ、メインストリートから左斜めにそれる道の先に、赤い屋根を戴く寺院らしき建物を発見。たまたまその高台付近の住民に中国語で「温泉在哪裡?」と訊いたら、やはりその人も私が見つけた赤い屋根の方を指さすではありませんか。ふと私の口から出た中国語がこの地で通じたことに驚きつつ、高台から下りてその赤い屋根へと向かいました。
赤い屋根を戴くこのお寺の名前は「観音寺」です。といっても決して香川県ではありませんよ。その名の通りご本尊は観世音菩薩なのでしょうね。本堂の右側には地母を祀る堂もありますから、中国人らしくここでは道教も信仰されているようです。
お寺の門前には巨大なガジュマルが茂っているのですが、ガジュマルの左側の斜面下を見ますと、そこには何やら怪しげな個室が並んでいるではありませんか。
ガジュマルの下が駐車場になっているので、そこに車を止め、大樹と反対側にある小屋で暇そうにしていたおじさんに「這裡有没有温泉?」と訊いたところ、おじさんは首を縦に振ってくれました。やったぁ! 遂に温泉を見つけたぞ! ここが熱水塘温泉(Mai Nong Bua Hot Spring)なのであります。
私が「多少銭?」と尋ねると、おじさんは「一百塊」と返してきます。こんな感じで会話がやりとりされたのですが、ここだけ聞いたら、タイではなく中華圏ですよね。年齢からしておじさんは中国から逃げてきた1世ではなく、その子の世代、つまり2世かと思われますが、いまでも子孫に対してはちゃんと母語を教えているんですから、語学を通じて奮励自強を促し、もしかしたら今でも密かに中国奪還を狙っているかもしれませんね(まさか…)。奪還は冗談にせよ、実際にこの村では今でも台湾の国民党から諸々の支援を受けているらしく、その証拠に村内の数ヶ所で「民国○○年 中華民国・・・」と彫られた碑や銘板を見かけました。
話を温泉に戻しますと、一百塊、つまり100バーツというちょっと高めの料金に、私は喉の奥に小骨が突き刺さったような不快感を覚えたのですが、でもやっと見つけた温泉に入れるのだからその位は気持ちよく払ってしまえ、という気持ちが背中を押したので、気づけば私の100バーツはおじさんに手渡されており、紙幣をポケットに突っ込んだおじさんは机の引き出しから鍵を取り出して「三號」と言って、案の定、ガジュマルの下に並んでいた個室へ行くよう指示しました。個室へ向かう通路には「吉祥」「六美」と大きく朱色の文字が浮かび上がっている門が立てられていました。吉祥はともかく、「六美」って6つの個室を指しているのかな?
「三號」つまり3号室には「菊花」という名前が付けられており、他の個室にも「牡丹」「百合」「玉蘭(ハクモクレン)」「荷花(ハスの花)」「桃花」というように、仏様が好みそうな花の名前が付けられております。小屋の周りにはイオウの匂いが漂っており、鼻をクンクン鳴らせてその匂いを嗅ぎながら南京錠を開けて中に入りますと、室内には浴槽がひとつ据えられ、壁はコンクリ打ちっぱなしで、床は木目の防水床材、水回りはライムグリーンに塗装されており、浴槽内はタイル貼りで、シャワーブースとの仕切りにはガラスブロックが用いられています。まだ竣工して間もないのか、どこもかしこも新品らしい輝きを放っていました。
個室内には無駄に広いシャワーブース(ぬるい水しか出ません)があったり、壁には扇風機が備え付けられていたりと、備品関係はそれなりに充実していました。また壁に沿って長い腰掛けも設けられているため、一息休憩したいときも、荷物をたんまり置きたいときでも、その腰掛けを使えば大丈夫。
入室時の浴槽は空っぽですので(つまり使用の度にお湯を張り直す)、まずはお湯のコックを開けて湯船にお湯を溜めます。吐出されるお湯の量は結構多いので、ものの数分で丁度良い嵩まで溜まりました。湯船にお湯を張るとこんな感じです。なんと乳白色に濁ったミルキーなお湯に入れるんですよ。その濁り方も比較的強く、槽内のステップが辛うじて見える程に濁っています。なお湯加減は日本人にはちょっと物足りないものでして、吐出口で38.8℃でしたから、湯船では37℃前後だったかと思いますが、常夏の地ですから、あまり熱い風呂は体に毒なわけで、寧ろこのくらいぬるい方が体への負担が少なくゆっくり入れますよ。ちなみに水素イオン濃度はpH7.7でした(つまり中性ですね)。
入浴してみました。湯船は1~2人サイズで、小屋の大きさの割に湯船は小ぶりです。でも深さは確保されており、肩までしっかり浸かることができました。お湯の見た目は灰白色のコロイド濁りで、透明度は30~40cmといったところ、湯の花らしきものは確認できませんでした。湯面からはタマゴ臭と砂消しゴム臭を足して2で割ったような硫化水素臭が漂い、湯口のお湯を口に含んでみると、タマゴ味と弱い苦味、そして石灰っぽい味が感じられました。もしかしたらカルシウムが多いのかもしれず、それゆえか、湯船に浸かって腕を撫でると、かなりギシギシと引っかかる感触が得られました。イオウの湯の香が温泉風情を高揚させてくれるとともに、37℃という不感温度帯に近い湯加減が私から時間感覚を奪い、気づけばかなり長湯してしまいました。なかなか良いお湯です。
6つの個室風呂の他、上画像のように大人数用の浴室も2室あり(男女別なのかも)、バルブを開けたらちゃんとお湯も出できました。でもこのプールのような大きい浴槽にお湯を溜めるには、一体どのくらいの時間を要することやら…。
奥には小川が左右に流れており、その対岸にも温泉関係の構造物がありましたので、川に架かる有蓋橋を渡ってみました。
橋を渡ってすぐのところには、上画像のような飾り気のない建物があり、天井下の壁面には換気用と思しき穴がたくさんあいていたり、男女別と想像される2つの扉がシンメトリに取り付けられていたりと、いかにも浴場チックな構造をしているのですが、青いペンキが塗られた2つの鉄扉はガッチリ施錠されており、中を見学することができません。でも扉の上部は格子になっていたので、その間にカメラを突っ込んでシャッターを押したところ、いかにも浴室っぽい館内の様子が撮影できました。あくまで私の想像ですが、個室で100バーツはいくらなんでも現地住民にとっては高すぎますので、あの個室はあくまで外来者用であり、この建物は地元の人が温泉を利用するための公衆浴場なのではないでしょうか。
有蓋橋の右側にはミルクのように乳白色のお湯が、コンクリの擁壁に守られながら湛えられていました。底からはプクプクと泡が上がっていますし、他から流入している様子も見られないので、ここが温泉の源泉なのでしょう。まさに村名の通りの熱水の塘です。
タイの温泉は無色透明のお湯が多いので、湯めぐりでアクセントを加えたくなったらここを訪れるのも良いかと思います。温泉のついでに中国近現代史の片鱗にも触れられるんですから、1回で2度面白い体験もできますしね。
GPS:19.714818N, 99.089156E,
営業時間不明
個室100バーツ(1人)
私の好み:★★+0.5