温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

羽根沢温泉 共同浴場 2014年冬再訪

2014年05月28日 | 山形県
 
久しぶりに羽根沢温泉へやって来たのですから、温泉ファンから熱い支持を集める共同浴場へ数年ぶりに再入浴してみることにしました。共同浴場は多目的集会所の1階です。なお拙ブログの立ち上げ初期にもこの共同浴場について取り上げております(こちらをご参照あれ)。


 

久しぶりに再訪してみると、以前と比べて若干物々しい雰囲気に変貌していました。具体的には、入口周りには監視カメラが取り付けられており、近づくとセンサーが反応してチャイムが鳴り、続いてピコンピコンとサイン音が鳴り響きました。そして料金入れには某大手警備会社のシールが貼られていました。この共同浴場は無人施設でありますが、それが仇になって無銭入浴が相次いだのかもしれませんね。


 
脱衣室は以前と同様に棚と鏡と腰掛けしかない簡素な造りのままでした。壁の張り紙によれば、保健所から飲泉を控えるよう指導されたらしく、浴室の湯口に置かれていたコップは撤去されちゃったようですが、そんな指導なんかどこ吹く風と言わんばかりに、先客のお爺さんは焼酎用の大きなPETボトルを2本持ち込み、お湯を汲んで持ち帰っていました(当浴場の利用規則によればポリタンク20リットルまで持ち帰り可能です)。


 
浴室には湯気が立ち込めていたため、見難い画像になってしまい恐縮です。一応浴室には高い位置に窓があって自由に開閉できるのですが、窓を開けると屋外の重い寒気が入り込んで余計に曇ってしまい、これ以上はどうにもなりませんでした。
浴室内も以前訪問時の記憶と殆ど変わっておらず、白く塗られたモルタルの壁に、アイボリー系の床タイル、そして縁が黒い御影石で容量が3~4人の浴槽といった室内構成は以前のままでした。

浴室内には洗い場としてのシャワーやカラン等は無く、洗体だろうが洗髪だろうが桶で湯船からお湯を汲むことになるのですが、そんな室内にあって唯一の水栓が「飲料水」と書かれたオートストップ水栓であり、傍にはコップがぶら下がっていますので、文字通りに入浴中に水分補給をするためのものなのでしょう。羽根沢のしょっぱいお湯は、火照りやすくて汗が止まらなくなりすから、この水栓は入浴者、とりわけこの浴場に多い高齢者にとっては重要な設備ですね。


 
ニュルニュル感を伴う羽根沢のお湯のため、浴槽内はとても滑りやすく、入浴の際にお尻を底へ付けようとしたら、バランスを崩してお尻をツルンと滑べらせ、溺れそうになってしまいました。泳ぎには自信のある私でも、不意をつく水難には太刀打ちできずに大慌てしてしまったのですが、幸いにしてこの時は他にお客さんがおらず、マヌケな醜態を晒さずに済みました。こういう時って、痛さや苦しさよりも、羞恥心のほうが優先されてしまうものですね。余談はさておき、お湯はタイルが貼られた蓋を被せている湯だまりから投入されており、湯加減は体感で44℃前後とやや熱めでした。


 
塩ビの湯口先には黄色いネットが被せられていますが、ネットの目が粗いためか、湯船の中ではとろろ昆布のような形状の、茶色を帯びた灰色の湯の華がたくさん浮遊しており、桶でお湯を汲んだら湯の華も容易にキャッチすることができました。湯口傍には犯行声明のような不気味なカタカタで「パイプ サワルナ」と書かれているのですが、パイプが外れやすかったりするのでしょうか。

お湯は若干黄色を帯びているようにも見えますが、実際はほとんど無色透明であり、お湯から放たれるアブラ臭が浴室内に充満しています。羽根沢温泉は大正時代に油田を見つけようと試掘している時に発見されたもので、その経緯を踏まえますとアブラ臭が強いのは当然といえるでしょう。保健所の指導に従って飲泉こそしませんでしたが、湯口のお湯を口に含んでみますと、塩辛さと薄い出汁味、そして焦げたような苦味と重曹的な清涼感を伴うほろ苦みが感じられました。また、さきほど底でお尻を滑らたことを述べましたが、本当にニュルニュルとしたローションのような滑らかさが強く発揮されており、湯中で肌を擦ると、擦った方の腕がその勢いのままどこかへ飛んでいってしまいそうになるほど、ツルッツルな感触が楽しめました。美肌の湯であるとも言えそうです。

とても気持ち良い浴感や芳しいアブラ臭のために、いつまでも長湯していたくなるのですが、温泉に含まれる食塩の影響で、数分もしないうちに体がお湯に負け、ボディーブローを食らった後のように疲労感がジワジワと効いてきます。このため長湯したくても体が音を上げてしまい、短時間で湯船から出ざるを得なくなるのですが、でも既に浴感の虜になっているため、数分のインターバルを開けた後に再び湯船に戻り、でも長湯はできないからすぐに上がる・・・今回の私はこの一連の動作を繰り返していました。
湯上がりも火照りが続いて発汗も止まりませんでしたが、一旦汗が引くと、今度は重曹パワーが発揮されるのか、粗熱が抜けて爽快感すら覚え、しばらくは適度な保温効果と清涼感が共存し続けてくれました。何ともありがたいお湯であります。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 47.2℃ pH8.4 蒸発残留物2957mg/kg 溶存物質3848mg/kg
Na+:1204mg,
Cl-:915.5mg, Br-:2.4mg, I-:0.6mg, HS-:1.9mg, HCO3-:1636mg, CO3--:31.1mg,
H2SiO3:26.5mg,

山形県最上郡鮭川村大字中渡3260  地図

4月~9月:8:00~18:00 10月~3月:8:00~17:00
200円
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (5)
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