温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鶴田温泉

2012年06月26日 | 青森県
※残念ながら閉館しました(2019年)。


前回取り上げた「山田温泉」から数キロしか離れていない鶴田の市街地に位置する「鶴田温泉」へ行ってきました。私は鄙びている物件は好きなんですが、外観からは鄙びを通り越した薄ら怖い佇まいがそこはかとなく漂っているような気がしたので、以前から存在は知っていたものの今まで入湯を敬遠しておりました。
通りから専用アプローチをちょっと入った奥まった場所にあるのですが、アプローチの入口などには存在をアピールするわかりやすいものが立っていないため(いや有るかもしれませんが、単に私が見落としているだけかも)、初見ですとちょっと迷ってしまうかもしれません。
正面の「鶴の湯」と書かれた建物は旅館棟らしく、玄関の扉には「入浴はその右方にある別の入口へ行ってほしい」という旨の張り紙が掲示されていました。その玄関の前は車寄せのようなロータリーになっており、もしかしたら以前はそれなりの風格を有するお宿だったのかもしれません。いまでも旅館の方は営業しているのでしょうか。



駐車場に浴場の外壁が面しているのですが、相当草臥れている様子です。


 
さて「浴場入口」と書かれた浴場棟へ。手前の紫色の暖簾は鉄板焼き屋さんです。銭湯に内包されている鉄板焼き屋さんというのも面白いですね。


 
玄関には子供用自転車が置かれていたり、家族の靴がズラリと並べられていたりと、まるで他人の家の勝手口に上り込んでしまったかのような生活臭が妙に強く漂っていました。小さな卓を並べただけの小さな番台には誰もいませんでしたので、台に料金を置いて中へ入らせてもらいました。やけに天井が低いのは、建物が古いからか、あるいは何か意図があって低くしているのか。



青森県の公衆浴場らしい造りの脱衣所で、真ん中には腰掛が用意され、画像手前側に棚が並び、左側には大きな鏡が貼りつけられていました。室内の隅っこの方からウジ殺しの臭いがプンと漂ってきたのは、近くにトイレがあるからなのかしら。


 
室内には古いマッサージチェアが3台置かれていました。料金は20円。現在有料のマッサージチェアは100~200円が相場でしょうから、今と比べて1/5~1/10という物価基準の時代に生産された準骨董品なのであります。メーカーは同器具の業界では有名なフジ医療器です。さすがに今でも作動するかどうかは不明。作動させようとして何か起きたらおっかないので、今回は見学だけにしておきました。


 
壁いっぱいに描かれた大きな壁絵が目立つ浴室。雪を頂く山が重畳しており、その麓の湖畔には欧州の古城のような赤いトンガリ屋根の建物が聳え立っています。ヨーロッパのアルプスをイメージしているのかもしれませんが、そのわりには白樺と思しき木々の奥に生える木が黒松っぽく、山の稜線もアルプスというより八甲田・八幡平・早池峰あたりの東北を連想させるなだらかな線が連続しており、完全な欧州風に描けないところは壁絵職人さんの限界なのかもしれず、どことなく和洋折衷な感じが独特の世界観を生み出していました。

浴室の左右の壁にシャワー付きカランが計12基設けられ、それに挟まれるような形で2つの島があり、その島に押しバネ式水栓が計12基設けられています。カランからは桶が泡立つほど勢いよく源泉が出てきます。



浴槽は主浴槽・副槽・打たせ湯・空っぽ槽の4つ。
主浴槽は42℃くらい。この時はたまたま運が悪かったのか、汚いゴミみたいな灰色浮遊物(あきらかに湯の華とは異なり、陰毛もたくさん混じる埃や水垢のような物体)がたくさん浮遊しており、ちょっと入浴をためらいました。主浴槽の裏(壁側)にある副槽は源泉がそのまま投入されているのか、お湯は46度近くあってかなり熱く、こちらも入浴できませんでした。館内表示によれば、加水・加温・循環・ろ過は行われておらず、消毒に関しては塩素系薬剤を用いているとのこと。また毎日清掃と換水を実施しているそうですから、やはり今回は訪問したタイミングが悪かったのでしょう。



打たせ湯は1本のパイプから源泉が落とされており、滝つぼにあたる箇所は泡だっていました。カランから吐き出されるお湯といい、この打たせ湯といい、ここのお湯は泡立ちやすい性質を有しているのかもしれませんね。
お湯の見た目は津軽平野の温泉によく見られるタイプで薄い暗めの黄色透明、しょっぱさ+出汁味+ほろ苦さ+舌のしびれを有し、揮発油的なアブラ臭と臭素臭が混じって香っています。特にカランから出てくるお湯でアブラ臭がはっきり嗅ぎ取れました。アブラ臭を有していることは板柳から鶴田にかけてに分布する温泉の特徴のひとつです。食塩泉らしいツルスベで気持ち良い浴感が得られ、湯上りはなかなか汗が引きません。

お湯の質自体は良いのですが、浴場のお手入れがいまひとつ行き届いていないような感があったのは残念でした。鄙び系やB級系が好きな御仁でしたら楽しめるかと思いますが、そうでなければちょっとお勧めしにくい雰囲気でもあります。尤も、時間の流れ方がゆったりしている青森県ですら、このような古い施設は姿を消しつつありますから、昭和の面影に包まれたいレトロ好きな方でしたら、ビジュアル的に興奮できちゃうかもしれませんね。


ナトリウム-塩化物温泉 65.6℃ pH不明 

JR五能線・陸奥鶴田駅より徒歩6~7分(約500m)
青森県北津軽郡鶴田町鶴田字早瀬168-1
0173-22-2176  

※残念ながら閉館しました(2019年)。
6月1日~9月30日→9:00~13:00, 15:00~22:00
10月1日~5月31日→9:00~21:00
300円
ドライヤー10円、一応基本的な入浴道具の販売あり

私の好み:★★
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山田温泉

2012年06月25日 | 青森県

久しぶりに鶴田町の山田温泉でひとっ風呂浴びてきました。平日の昼前という時間帯に訪問したためか、いつもは多くのお客さんで賑わっているこの温泉も、この時ばかりは閑散としていました。



旅館も兼業しており、立派な宿泊棟が浴場棟と並んでいます。


 
玄関に設置されている券売機で料金を支払い、プラスチックの券を受け取ります。玄関入って右が番台で左が浴室、奥が休憩スペースとなっており、青森県の公衆浴場らしく番台の前ではいろんなおつまみの類が販売されていました。


 
これまた青森県の公衆浴場らしいごくごく普通の脱衣所。室内にはコインロッカーが置かれていますが、すべてのボックスで鍵の部分が抜き取られており、ロッカーとしては使えない状態でした。


 
脱衣室内にはいろんな手書きイラスト類が掲示されており、これらを見ているだけでも結構面白かったです。画像左(上)は「山田温泉音頭」。替唄作詞した女の子の年齢が11歳と書かれていますが、小学生でこんな民謡調の詞が書けるだなんて、おそるべき才能ですね。画像右(下)は鶴田町の知名度を全国区にした(かもしれない)「ツル多はげます会」に関するもので、上は「はげます会」の幹事長である竹浪さんが取り上げられた北東北限定の雑誌『rakra』の記事の切り抜き、下は七福神と手を取り合いながら一緒に踊る「はげます会」のツルピカ爺さんたちを描いたイラストです。ピカピカというかホノボノとした、やんわり明るい雰囲気ですね。



こちらはマナー啓蒙のイラスト。絵のタッチが音頭と一緒なので、同じ方が描いたのでしょうね。丸い柔らかなラインが印象的な、ほのぼのとした作風に、思わずこちらも目尻が下がります。


 
浴室のレイアウトも青森県の標準的な公衆浴場スタイルそのもので、中央に大きな浴槽が据えられ、その周りの三方を洗い場が囲っています。また奥の上部壁面には、たくさんの風船が繋がれた気球で空を飛ぶ妖精のような子供たちのメルヘンチックな壁絵が描かれています。

洗い場には青森県らしく押しバネ式カランと固定式シャワーのセットがズラリと並んでいますが、シャワーのうち半数が壁に直付け、残り半数がホース付となっており、この2種類が交互に配置されています。なおお湯は源泉が出てきます。


 
浴槽は二分されており、中央の仕切りから両方へ向けて薄い山吹色で透明のお湯がふんだんに注がれており、いずれの槽からも惜しげもなく溢れ出ています。湯口の奥の方には布が被せられていましたが、その目の粗さゆえに湯中の固形物はスルーしてしまうでしょうから、湯の華キャッチャーとして果たしてどれだけ役に立っているかは不明です。

手前側(脱衣室側)の小さな槽には水色系のタイルが貼られているために、お湯はやや黄緑色っぽく見えます。湯加減は42℃くらいでしょうか。一方、奥側の大きな槽は赤系タイルであるためお湯はワインレッドを帯びているように見え、結構熱めの44℃くらいのお湯が張られていました。味としては出汁がほんのり効いた塩味と表現したら良さそうな津軽平野らしい食塩泉の味でして、お湯に鼻を近づけるとガスのようなアブラ臭と化石海水みたいな匂いが混じっているように感じられました。また食塩泉らしいツルスベ浴感が明瞭で、湯上りはとても火照りました。

青森県の温泉銭湯の教科書のような設備を有する、掛け流しの温泉が嬉しい浴場でした。


小泉温泉(再分析)
ナトリウム-塩化物温泉 65.2℃ pH7.92 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質5.761g/kg 成分総計5.761g/kg
Na+:1941mg(95.00mval%),
Cl-:2605mg(83.13mval%), HCO3-:606.3mg(11.25mval%),
H2SiO3:231.4mg,

JR五能線・陸奥鶴田駅より徒歩10分(約1km)
青森県北津軽郡鶴田町大字鶴田字小泉460-6  地図
0173-22-6666

6:00~22:00
350円
ドライヤーあり、ロッカーは故障中? 入浴道具の販売有

私の好み:★★
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掛落林温泉 あすなろ温泉

2012年06月24日 | 青森県

津軽平野のリンゴ畑の彼方に聳える春の岩木山。太宰治は『津軽』でこの霊峰について「したたるほど真蒼で、富士山よりもっと女らしく、十二単衣の裾を、銀杏の葉をさかさに立てたようにぱらりとひらいて左右の均斉も正しく、静かに青空に浮んでいる。決して高い山ではないが、けれども、なかなか、透きとおるくらいに嬋娟たる美女ではある」と形容し、とりわけ「金木、五所川原、木造あたりから眺めた岩木山の端正で華奢な姿も忘れられなかった」と述べていますが、さすがへそ曲がりながら郷土を愛する金木の津島家のお坊ちゃんの仰る通り、この山は北側から眺めると均整のとれた山裾が左右に美しく広がっており、独立峰であることも相俟って、その秀麗なる様は何度見ても飽きることがありません。



リンゴ畑が広がるばかりの長閑な田園地帯の片隅に、アブラ臭温泉ファンの聖地「あすなろ温泉」が佇んでおります。この周辺では他にも「ゆったり温泉(旧鶴寿温泉)」などでアブラ臭をクンクンすることができますが、やはり個性や強さではこの「あすなろ温泉」が群を抜いていますね。


 
高架水槽の下ではワンコがお休み中。



駐車場を中心にして旅館部、デイサービスセンター「ひばの里」、そして浴場棟の建物がコの字型に並んでいます。最近は温泉を付帯する老人福祉施設が増えましたね。


 
さて浴場棟へと入りましょう。訪問日は、受付奥の大広間にドキンちゃんのちいさなねぶたが鎮座していました。受付カウンターには故ナンシー関を20歳近く老けさせて、更に虫の居所が悪くて不機嫌にさせたような風貌のオバサンが新聞を開いており、客である私の来訪を意に関せずといった感じで、こちらへ一瞥もくれることなく、目で記事を追いかけることに必死のご様子でした。あれ?生前のナンシー関女史はいつも不機嫌だったか。ま、どうでもいいが。


●公衆浴場
「あすなろ温泉」には一般的な公衆浴場と家族(貸切)風呂の2種類を利用することができますが、両者は別料金です。まずは公衆浴場の方から取り上げていきましょう。といっても、いまから2~3年前に訪問した際の画像なので、もしかしたら現状とは若干異なる箇所があるかもしれません。


受付のホールのみならず、脱衣所にまでスピーカーから演歌が流れてくる、いかにも青森県の公衆浴場らしい佇まい。
浴室の造りも当県の公衆浴場の標準的なレイアウトとなっており、すなわち中央に大きな浴槽が据えられ、その周囲を洗い場の水栓がぐるっと取り囲んでいます。
浴槽に張られた掛け流しのお湯は薄黄色透明、ガソリンのような強い油臭が鼻を突き、マイルドな塩味が舌に残ります。食塩泉らしいツルスベ浴感ですが、湯上り後は肌につっぱりが感じられました。また熱めの湯加減ですので、かなり火照ります。



公衆浴場料金なのに露天風呂が利用できるのでちょっぴりお得な気分を味わえます。こちらは外気で冷やされているためか入りやすい湯加減になっていました。またコンクリ浴槽の縁は黄色く染まっていました。もちろんこちらも掛け流しです。


●家族風呂
 
さて先日(2012年5月)に訪問した際には、家族(貸切)風呂を利用しました。公衆浴場より貸切の個室の方が断然油臭が強いということを以前から聞いており、どんなものか一度体験してみたかったのです。上述のように受付のおばちゃんは新聞に夢中でしたが、そんな不穏な状況を察してか、まるでフォローを入れるかのように、奥の方から物腰柔らかく低姿勢なお婆ちゃんが現れ、「可及的速やかに」その場から離れて私を案内してくれました。受付右側の棟が貸切風呂ゾーン。廊下に沿って個室が並んでいます。窓の外を見ると、中庭の池では錦鯉が優雅に遊泳中。



個室には「王林」「紅月」「金星」「北斗」など、ふじやジョナゴールドが市場を席巻する以前のリンゴの品種が名づけられています。今回は「北斗」のお部屋へと案内されました。廊下で既に薄らと油臭が漂っていましたが、部屋に入った途端にその匂いが俄然強くなりました。まだ浴室へ足を踏み入れていないというのに、なんということでしょう。


 
戸を開けると、そこには6畳程の和室が広がっていました。お風呂だけじゃなく、お部屋も借りられるんですね。室内にはテレビ(アナログテレビをデジアナ変換で使用)、ちゃぶ台の他、床の間まであり、本格的な旅館の客室そのものです。制限時間は1時間ですが、この部屋なら十分寝泊りできちゃいますね。でも冷房が無いので、夏に火照るお風呂から上がった後はかなり暑いかもしれません。



浴室の隣にはトイレまで設けられていました。えらく便利な個室です。2時間借りても2000円てことは、使い方によってはラ●ホテルより安く済むぞ…なんて不埒なことを考えたりして。



浴室も貸切の個室風呂にしてはかなり広く、そんな空間の片隅に丸いFRPの浴槽がポツンと据え付けられています。一つ上の画像のキャプションでなぜ不埒なことを思いついたかといえば、こういう感じのお風呂って、一昔前の田舎の安いラ●ホテルで結構あったんですよ。青森県でいえば大釈迦あたりがその手の施設の一大「集積地」ですが、某世界的飲料企業の工場周辺ではなく、そこからちょっと原子(五所川原市)寄りに建つ古くて安い今にもお化けが出てきそうなホテルで、この手のお風呂をよく見かけた記憶があります(そうした施設はもう廃業しているんでしょうけど)。

脳天がクラクラしそうなほど濃厚な油臭に満たされた室内にはシャワー付き混合栓が1基設置されています。浴槽にはあらかじめお湯が溜められており、湯口となっている蛇口から源泉がチョロチョロと落とされていました。そのお湯はおそらく全く手が加えられていない源泉そのまんまのものであると思われ、投入量こそチョロチョロでしたが、源泉温度が60度近い高温で、湯船もそのままでは入れないほど激熱だったので、水で薄めて適温にしてから入浴することにしました。でもこの水もなぜかちっとも冷たくなかったので、仕方なくお湯を完全に止めて、ぬるい水の蛇口を全開にして時間をかけて温度を下げてゆきました。



お湯は薄い褐色(黄褐色)透明で、茶褐色で羽毛状の湯の華が浮遊しています。口に含むと塩をいれすぎた出汁スープのような味が感じられるとともにほろ苦さや舌を痺れさせる渋さも舌の上に伝わってきました。そして、どこかで油が漏れているんじゃないかと疑いたくなる程、揮発油のような強い刺激のある油臭がこれでもかというほど鼻孔を衝いてきます。匂いに過敏な人でしたら、眉間に皺を寄せたくなるような激しい頭痛に襲われてしまうかもしれません。水で薄めているものの、大浴場と違って誰の肌にも触れていないお湯の鮮度はすばらしく、食塩泉らしいツルスベ感がはっきり得られた他、全身を叩きのめすような凶暴なパワーも半端じゃなく、体が非常に火照ると共に、お湯の匂いと攻撃的性格のために、いとも簡単に私の体は朦朧としてしまいました。もちろん温泉に関してはドMなので、お湯の容赦ない猛攻は大感激であります。

噂通り個室のお風呂は、匂いは無論のこと、味もお湯の質感も公衆浴場とは比べ物にならないほどに個性的で際立っていますした。油臭を堪能するためにこちらを訪れる方は、ちょっとお値段が高めですが個室を利用すべきですね。青森県の温泉浴場で一人で1000円も支払うのはかなり躊躇してしまい、いままで個室は敬遠していたのですが、意を決して入浴して大正解でした。油臭に全身包まれながら、軽くラリって至福のひととき。最高です。恐れ入りました。なお家族風呂は部屋によって造りが違うそうです(他部屋は岩風呂などになっているそうです)。


ナトリウム-塩化物温泉 58.3℃ pH7.68 450L/min(動力揚湯) 溶存物質10.46g/kg 成分総計10.46g/kg
Na+:3700mg(96.18mval%),
Cl-:5191mg(89.16mval%), HCO3-:1012mg(10.10mval%),
H2SiO3:191.0mg, HBO2:132.7mg, 遊離CO2:11.5mg,

JR五能線・五所川原駅または板柳駅、もしくは弘前駅より弘南バスの「弘前~五所川原線」で掛落林下車、徒歩5分
青森県北津軽郡板柳町掛落林前田140-1  地図
0172-73-2567
ホームページ

公衆浴場→7:00~22:00 300円
貸切風呂→9:00~16:00 1000円/1h(4人まで)
公衆浴場:ドライヤーあり、各種販売あり
家族風呂:備品類なし、販売関係は同上

私の好み:★★★
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温湯温泉 飯塚旅館

2012年06月23日 | 青森県
 
黒石市の温湯温泉は、温泉街の中央にある共同浴場「鶴の湯」のまわりを取り囲むようにして客舎と称する宿が建ち並ぶ昔ながらの姿が残された湯治場でして、当ブログをご覧のみなさんでしたら、一歩温泉街に踏み込むだけでたちまち往古の温泉場にタイムスリップできちゃう風情に魅了された方も多いのではないでしょうか。
共同浴場「鶴の湯」は時間帯によって混雑しているのが玉に瑕。そこで混雑を避けるべく、今回は共同浴場の斜め後ろに位置する「飯塚旅館」で立ち寄り入浴をお願いしてきました。大正3年に建造された雪国らしい重厚感溢れる2階建ての木造建築は、見るだけでも十分に価値のあるもの。玄関で客を出迎える大きなこけしの提灯がチャーミングです。表には「こうじや」と書かれた屋号が見えますが、かつてはこちらで糀をつくっていたんだそうです。



玄関には胡蝶蘭とともに可愛らしい工芸品が飾られています。入浴を乞うと快く受け入れてくれました。


 
両側に客室が並ぶ廊下を進んでゆきます。



炊事場もありますが、あまり使われているような形跡は感じられませんでした。湯治宿として自炊がメインだったころと違い、現在は食事つきの宿泊が主流なのでしょう。


 
宿泊の形が昔ながらの湯治スタイルから変貌している具体例の一つとして、上述の炊事場の他、浴室棟が別棟となっていることも挙げられるでしょう。もともと温湯温泉の客舎には内湯が無く、湯治客はみな共同浴場へ通って入浴していたのですが、やがて内湯を持つ宿が現れ始めました。飯塚旅館もかつては内湯が無かったのですが、後年になって浴場棟を増設したんだそうです。別棟になっているのはこうした事情によるんですね。歴史の風格漂う本棟とは打って変わって、こちらは至って近代的な建物です。



シンプルながらとても明るく綺麗な脱衣所。


 
滑らかな曲線を描く美しい総檜造りの浴槽が目を惹く浴室。キラキラ輝く無色透明のお湯によって木肌の美しさがより際立っており、この木の浴槽によって温もりと味わい深さが醸し出されています。

湯口につながっているホースから源泉が注がれており、縁からしずしずとオーバーフローしています。口にすると薄塩味と薄タマゴ味に芒硝味が感じられ、湯面からは薄タマゴ臭と芒硝臭に御煎餅のような香ばしい匂いが混ざって漂っています。キリっとしたやや熱めの新鮮なお湯に脚を入れると、ピリっとした弱い刺激が走りました。なお湯口にホースがつながれている理由は、熱いお湯を底の方へ持って行って対流させるためかと思われます。湯口から直接注いじゃうと湯面ばかりが熱くなってしまいますからね。



洗い場にはシャワー付き混合栓が4基。本棟の古き湯治場風情とは対照的な、あまりに現代風な造りなので、そのギャップに意表を突かれる方がいらっしゃるかもしれませんね。



露天風呂は無いものの浴室から直接テラスへ出ることができ、そのテラスからは浅瀬石川の流れを間近に眺めることができました。雪解けと雨上がりのために川は濁っていましたが、お湯で火照った体を川の風でクールダウンさせ、ちょっと冷えたら再び湯船へ身を沈める、その繰り返しを楽しながら、美しい浴槽に張られる澄んだ新鮮なお湯をじっくりと堪能させていただきました。



温湯長槽源泉
ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 60.0℃ pH不明 溶存物質1117.8mg/kg 成分総計1117.8mg/kg 
Na+:382.7mg(91.96mval%),
Cl-:404.0mg(63.00mval%), SO4-:223.3mg(25.71mval%),
H2SiO3:61.06mg,
(昭和50年12月3日分析)

弘南鉄道黒石駅より弘南バスの温川行・虹の湖公園行・大川原行で温湯下車
青森県黒石市温湯鶴泉60  地図
0172-54-8303

立ち寄り入浴時間不明
300円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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和の湯

2012年06月22日 | 青森県
このところ前置きが長い癖に肝心の本論は短くて内容の無い竜頭蛇尾な記事が続いていましたので、藪をつついて出てきた蛇に足が生えてくることがないよう、今回は本論だけに絞って簡潔にまとめてみる所存です。

 
国道7号浪岡バイパスから県道27号線に入って青森空港方面へ向かう途中、旧7号との交差点を過ぎたあたりの右手(ザ・ビッグの手前)にある民営の温泉公衆浴場が今回取り上げる「和の湯」です。沿道には大きな看板が立っている上、県道沿いという好立地ですし建物自体も比較的大きいので、県道を走っていたら否応なしにその存在に気付くかと思います。なんて言いながら、私は津軽へ長年にわたって足繁く通っているにもかかわらず、つい最近までこんな温泉があったなんて知りませんでした。飛行機はANA派ですし(ANAは青森空港に就航していません)、青森県へ訪れる時は車か新幹線かのいずれかなので、空港アクセス道路であるこの県道を走る機会が数年に及んで無かったんです…。ま、そんな私事はさておき、さっそく中へ入ってみましょう。



調べたところによると、こちらの施設は4年ほど前にオープンしたそうですね。かつてこの場所には「赤川温泉」という浴場があり、その跡地と源泉を再活用したんだそうです。外観・館内ともまだ新しい施設らしい雰囲気が感じられます。便利な立地である上、この日は祝日だったため、館内は大盛況でした。規模としてはスーパー銭湯と街の公衆浴場を足して2で割ったようなもので、青森県内では比較的よくみられる庶民的なスタイルです。こちらには家族風呂もありますが、混雑している状況なのに一人で個室を貸し切るのは他の方に申し訳がないので、こんかいは公衆浴場のみの利用としました。券売機で料金を支払い、券を受付に渡すと、係員の女性の方はとっても明るくはきはきと挨拶してくれました。お風呂としてのみならず、スタッフの対応の良さも人気を集める理由になっているのかもしれませんね。



とっても広い浴室。男湯の場合、脱衣所から見て左側に洗い場が、右側に浴槽やサウナが並んでいます。浴槽類は手前側からサウナ・水風呂・主浴槽・ジャグジー槽・打たせ湯の順に並んでおり、他の温浴施設同様、こちらでもサウナは大人気でした。
主浴槽とジャグジー槽の間にある平たい岩が組まれた湯口から温泉が注がれ、浴槽縁から洗い場へ向かってしっかりとオーバーフローしています。主浴槽・ジャグジー・打たせ湯ともに源泉が用いられていますが、源泉温度(37℃)がやや低いために加温されています。特に主浴槽は加温の塩梅が強くて熱めの湯加減となっており、長湯することはできませんでした。加温した上で放流式の湯使いを実践しており、とっても贅沢な感じがしますが、燃料代がもったいないのでもうすこしぬるくしても良いのではないかと、私個人としては勝手に思っております。
お湯は浪岡の温泉らしくモール系でして、コーラを彷彿とさせる濃い琥珀色を有しており、浴槽の底が薄らとしか見えない程度に濃い色付きです。重曹味や弱いモール臭は確認できますが他の味や匂いはあまり感じられず、湯中における泡付きもありませんが、スベスベ浴感ははっきりと伝わり、気持ち良くて何度も肌をさすりたくなってしまいました。なお塩素っぽい匂いが感じられましたが、気のせいなのか、あるいは実際に消毒剤を投入しているかは不明。



こちらは打たせ湯です。2本設けられています。



洗い場は青森県らしく伝統的な押しバネ式カランと固定式シャワーの組み合わせとなっており、6組の水栓が設置された櫛状の半島が4本あって6×4=24、そして奥の壁面にも水栓4つ、という配置で計28箇所設けられています。お湯の水栓からは源泉が出てきます。桶はケロリン桶ならぬ「和の湯」オリジナル桶です。

こちらの施設で特筆すべきは露天風呂でしょうね。常に利用客がいらっしゃったので今回撮影は遠慮させていただきましたので、文章のみでご勘弁を。頭上には3階の位置の高さに大きなタンクがあり、その架台直下に4人サイズで長方形の浴槽が設けられています。頭上はそんな感じですし、周囲も塀に囲まれているので、露天と言っても開放感もへったくれもありませんが、源泉が大量に投入されてザブザブとオーバーフローしているのみならず、そのお湯は加温がほとんどされていない(あるいは非加温?)のか、不感温度帯(36~7℃)で浴槽に張られているため、身体への負担が少なく、際限なくいつまでも湯船に浸かっていることができるのです。また重曹パワーのおかげで湯上りは超サッパリ爽快! とっても気持ち良いためお客さんが集中しやすく、ぬるいお湯でみなさん悉く長湯する上に、一度に4人(つめても5人)しか入れないので、その混雑具合を目にして諦めて内湯へ戻ってゆく人も見られましたが、そんな人気ぶりも十分頷ける爽快なお風呂でした。


杉沢温泉(再分析)
アルカリ性単純温泉 37.0℃ pH9.20 167L/min(動力揚湯) 溶存物質0.505g/kg 成分総計0.505g 
Na+:107.2mg(93.58mval%),
Cl-:18.6mg(10.77mval%), HCO3-:179.7mg(61.08mval%), CO3--:27.3mg(18.84mval%),
H2SiO3:147.4mg, 遊離CO2:0.0mg,

JR奥羽本線・浪岡駅より徒歩20分(約1.7km)
青森県青森市浪岡大字杉沢井ノ下133-1  地図
0172-62-7322

6:00~22:00
390円
ロッカー(100円リターン式)・ドライヤー(有料・3分10円)あり、基本的な入浴用具の販売有

私の好み:★★
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