温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

青森市国民保養センター花岡荘

2012年06月21日 | 青森県
※2015年4月に「健康の森花岡プラザ」として全面リニューアルしました。当記事ではリニューアル前の旧施設を取り上げています。


2回連続で花岡を称する温泉を取り上げます。前回の花岡は秋田県でしたが、今回は青森県青森市浪岡にある「青森市国民保養センター花岡荘」です。浪岡の街から東へ小高い丘を上がったところにある花岡公園の一角に建てられており、建物は昭和40~50年代の香りが漂うちょっと古びた雰囲気。


 
花の岡と称するように、公園内では5月初旬になるとソメイヨシノが絢爛に咲き誇ります。この画像は今年(2012年)5月5日に撮影したものです。津軽で桜と言えば、毎年5月の連休に満開を迎える弘前の桜が有名ですが、今年は厳しい冬が長引いて開花予想が例年より一週間遅れる→5月の連休後半に急に暑い陽気が続いていっきに開花してすぐに満開になる→満開になったにもかかわらず悪天(風雨)が続いてたちまち散る、という散々な状態に見舞われて、とてもお花見を楽しめるような状況ではありませんでした。ここ数年では最悪だったかもしれません。雨がしたたる弘前城では葉桜と人ごみしか見られず、せっかく川崎くんだりからやってきた私は不貞腐れながら「もしかしたら…」と微かな希望を抱いてこの花岡公園へとやってきたのですが、弘前では散ってしまった桜もこちらでは見事なまでに満開状態が保たれており、望みを捨てずにこの地へやってきたことに安堵するとともに、桜の花はわずかな環境や地理的条件の違いで開花の具合が全く異なる非常に繊細なものであることを改めて思い知らされました。


 
ちょうど4月下旬から5月初旬に桜のシーズンを迎える津軽では、満開の桜の中を鯉幟が優雅に泳ぐ光景が見られます。こうした情緒ある風景は北東北ならではですね。


 
さて温泉に入るべく「花岡荘」玄関へ。玄関の脇には、ここ1年で俄然注目されるようになった↑画像のような文言のプレートが貼られていました。原発事故以降、メディアによって原発マネーという言葉が取り上げられるようになりましたが、六ヶ所や東通・大間(建設中)を擁する青森県では全市町村にほぼ万遍無く原発マネーが行きわたっており、津軽・南部を問わず県内のほとんどの公共施設には原発(or原燃サイクル事業)関係の交付金を受けている旨のプレートが貼られています。もし青森県を訪れる機会があったら是非その施設の玄関や門柱などを注意してみてください。良し悪しは別にして、日本屈指の貧乏県である青森県にとってはこの手のお金がもはや必須なものとなっており、公共施設のみならずハード面もソフト面もどっぷり浸かっているわけでして、たとえばフクシマの事故後もいまだに日本原燃のテレビCMが(事故以前のように)絶賛放映中だったりします。こうした原発マネーが県民にあまねく届いて生活を豊かにしているのなら、よそ者の私があれこれ言う筋合いはありませんが、しかしながら、こうしたマネーは県の経済構造を変革するものではなく、むしろ役所依存体質を助長する方向に働いてしまったため、有効求人倍率は全国屈指の低水準から抜け出せず、民間の産業は育たず、新しい試みを図ろうとしても数年で頓挫し、出る杭は打たれるばかりで、交付金の恩恵というものは、民間レベルではほとんど感じられません。むしろ交付金によって身の丈に合わないハコモノをつくってしまったばかりに、その維持運営に行き詰まって、以前以上の惨憺たる有様を晒しているようなところもあったりします。たとえば我が第二の故郷である鰺ヶ沢町の「日本海拠点館」なんてその典型で、「拠点館」を実質的に見捨てた近年では低レベルの放射性医療廃棄物を受け入れる施設をつくって財政再建団体への転落から何とか逃れようと必死でもがいている始末です。長い物に巻かれて目先の安寧を得る代わりに、将来的な展望を見出そうとせずに、現状を諦観して目を瞑るばかりで、生活保護をもらいながら軽トラでパチンコ屋へ通い、晩は酒を煽って愚痴をこぼす毎日…。傍から見ていてもため息しか出ません。
青森県を愛するがあまりに愚痴が長くなってしまいました。まだまだ言いたいことは山ほどありますが、拙ブログの趣旨に反するので、無駄口はこれまでにして話を先にすすめます。


 
館内はいかにも昭和後半の公共施設らしい佇まいです。券売機で料金を支払い、受付の係員に券を手渡して奥へ進みます。こちらの施設は温泉のみならず貸切のお部屋もたくさんあって、この日は地元の老人の集会が催されており、館内は大賑わいでした。草臥れた施設ながら、お風呂場へとつながる通路の壁には「BATH」と縦に描かれたアバンギャルドなデザインが施されており、無機質な館内に唐突に現れるこのようなデザインがちょっとユニークです。


 
浴室は別棟になっており、館内表示に導かれるまま、青いカーペットが敷かれた長い渡り廊下を進んでゆくと、その突き当りに浴室がありました。男女別の内湯が一室ずつで、露天はありません。


 
館内のお座敷は爺さん婆さんで大盛り上がりでしたが、みなさん食事とカラオケに夢中なのか、お風呂には誰もいませんでした。まるで共同浴場のように簡素な造りの脱衣室には、ただ棚とプラ籠があるばかりです。「施設内にドライヤー設置できなくなりました」ってことは、以前はドライヤーが使えたってことかぁ…。何かあったのかしら。


 
棚の上に載せられていたデッキブラシにはなぜか「藤沢市下水」のシールが貼られていました。


 
かなり年季が入っている浴室内では、源泉がパイプから大量に落とされる轟音が湯気で反響していました。洗い場の床も浴槽の底も、六角形のタイルによって花のような模様が描かれています。浴槽にはお湯を排水する吸い込み口があるにもかかわらず、投入量が多くてその排水口だけでは間に合わず、浴槽縁からザバザバとオーバーフローしていました。


 
男女浴室の間に立つ円柱形の柱には、抱きつくようにU寺型の源泉枡があり、そこへ向けて塩ビのパイプからドバドバと源泉が落とされています。その勢いのあまりに枡のお湯は白く泡立っており、枡から浴槽へ落とされた後でも湯面には泡が浮いていました。
お湯は薄い褐色透明(薄い麦茶みたいな色)、口に含みしなはあまり気づかないものの、徐々に塩分が多いことに気付いていつの間にやら口腔内がしょっぱさで満たされるような、マイルドなようでワイルドな塩味が感じられます。またカーボンみたいなアブラ臭がほんのり嗅ぎ取れました。浪岡一帯にはモール系の温泉が点在していますので、この温泉もモール系かと思いきや、見た目こそそれに近いものの、味や匂いなど外観以外の知覚はそれほどモールっぽくはありません。知覚面のみならず、分析表を見ても炭酸水素イオンは124.8mgしか含まれておらず、ミリバル%ではたったの2.00mval%です。また遊離CO2はゼロなので、源泉枡や湯面でみられる泡は炭酸の気泡ではない事もわかります。入浴中、体への気泡付着もありません。ナトリウムイオンが2160mg(93.20mval%)、塩素イオンが3379mg(92.99mval%)というデータからして明白ですが、この温泉は琥珀色した純食塩泉なのであります。従いまして、モール泉のようにツルスベ浴感で湯上りはスッキリサッパリ、というお湯ではなく、冬の寒い日にじっくり浸かってホコホコに温まる熱の湯なのであります。人間同様、お湯も見た目だけで判断してはいけませんね。なお館内表示によれば「衛生管理のため塩素系薬剤を給湯配管に注入して浴槽水の消毒を徹底しています」とのことでしたが、消毒っぽさはほとんど感じられませんでした。



洗い場には押しバネ式の水栓が6基と、シャワー付き混合栓が4基設置されていました。すべてシャワー付き水栓にせず、4という中途半端な数でとどめているのは、予算の都合なのかしら。

湯船はやや熱めの湯加減となっており、しかも温熱効果の高い食塩泉ですから、湯上りはなかなか汗が引かず、まるで体の中心に熱せられたコークスが埋め込まれてしまったかのように、いつまで経っても体は火照りっぱなしでした。津軽の厳しい冬にはもってこいの、琥珀色した熱の湯なのでありました。なお当記事前半の青森県の現状に関する私見はあくまで県全体に対するものであって、決して「花岡荘」に矛先を向けているわけではありませんので、どうかご理解賜りますよう。


花岡源泉
ナトリウム-塩化物温泉 47.3℃ pH8.26 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質6.254g/kg 成分総計6.254g/kg  
Na+:2160mg(93.20mval%),
Cl-:3379mg(92.99mval%),
H2SiO3:167.8mg,
塩素系薬剤による消毒あり

JR奥羽本線・浪岡駅より徒歩15分(約1.6km)
青森市浪岡大字女鹿沢字野尻14-1  地図
0172-62-3023
紹介ページ(青森市サイト内)

7:00~20:00 第3水曜および年始休業
250円
備品類なし(基本的な入浴用具は販売有)

私の好み:★★
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花岡温泉

2012年06月20日 | 秋田県
私は小学生の頃に某大手進学塾Nに通っていましたが、社会科の授業では花岡・釈迦内・小坂・尾去沢・阿仁など秋田北部の細かな地名を学習した記憶があります。これはもちろん国内の鉱山を学ぶためでして、私が受験した学校の入学試験では出題されなかったためにそれらの知識は脳みその奥底へとお蔵入りされてしまったのですが、それから20~30年の年月が経って温泉巡りに目覚めるようになると、子供の時に頭へ叩き込んだ知識が長い眠りから覚めて日の目を見て大活躍するようになりました。というのも、上記の鉱山はいずれもグリーンタフ(緑色凝灰岩)の分布に沿って存在しているものであり、温泉という視点で考えれば、グリーンタフ型の温泉が湧出しやすい地域であるといも言えるからです。つまり鉱山地名を学習したことは、大人になって温泉探索をしてゆく上で非常に役立つ知識となったのでした。無駄な知識って無いんですね。
グリーンタフ型の温泉は硫酸塩泉か食塩泉となる場合が多く、秋田北部に限ってみると、大館周辺の無色透明な石膏(or芒硝)泉か、小坂(八九郎)から坂梨峠を越えて青森県の古遠部あたりまで分布する黄土色濁りの含石膏食塩泉のいずれかに二分できるかと思います(八九郎も古遠部もグリーンタフが胚胎する黒鉱鉱床を掘り当てようとして出てきた温泉)。
前置きが長くなりましたが、今回取り上げる花岡温泉は大館付近で良くみられる無色透明な硫酸塩泉の典型例でして、その花岡は言わずと知れた同和鉱業が黒鉱を採掘していた鉱山だったところであります。



すっかり日が暮れて辺りが静まり返った花岡の集落を車で南から北へ縦断していると、集落を抜けて川を渡ったあたりの路傍でこのような看板と遭遇しました。看板の矢印に導かれるまま、川の右岸の土手道を進んで行くことに。


 
温泉は花岡の集落から外れた川岸にポツンと佇んでいました。地味な平屋の建物です。川の対岸には民家がひしめき合っていますが、こちら側には温泉以外に何もない幽霊でも出てくそうな寂しい場所で、小さな看板を照らす街灯や建物から漏れてくる照明の明かり以外に光を発するものは何一つありませんでした。


 
「花岡温泉」は主に地元民が利用する共同浴場です。券売機で支払い、券を番台のおじちゃんに手渡して中へと入ります。番台の奥にはちょっとした休憩スペースが設けられており、その一角では常連と思しき爺様が碁盤を囲んで対局中でした。お風呂は男女別の内湯が一室ずつ。小さな浴場ですが牛乳の自販機があるのは嬉しいところです。



脱衣所は建材の素地がそのまんま剥き出しになっているような飾りっ気の無い簡素な造りで、あたかも地元民専用の共同浴場に入り込んでしまったかのような錯覚を覚えましたが、各棚にはプラ籠がひとつずつ収められていたり、コインで動くドライヤーが設けられていたり、洗面台が設置されていたりと、一応必要最低限の設備は一通り揃っています(コインロッカーは脱衣室外です)。



浴室の戸を開けた途端に石膏の匂いがふわっと香ってきました。浴室内には浴槽がひとつと、シャワー付き混合栓が5つ。水栓は隣同士の間隔に余裕があるので、ゆったりと使うことができました。台形の浴槽は8人同時に入れそうな大きさで、浴槽の縁からふんだんにお湯がオーバーフローしており、訪問時はそのオーバーフローしている洗い場で横になって寝湯を楽しんでいる常連さんがいらっしゃいました。



源泉は獅子の湯口の他、窓下から湯面下に潜っている塩ビのパイプ(エアコン用スリムカバーのエルボーで被覆)からも投入されていました。獅子の湯口といえば、ご近所の釈迦内温泉「泉湯」(訪問済ですが当ブログでは未掲載)もやはり同じように獅子の口からお湯が注がれていますね。花岡と釈迦内は、鉱山の他に獅子の湯口という点でも共通項があるわけだ…。
お湯は無色透明で、この地域らしい明瞭な石膏の匂いと味の他、微かなタマゴ的知覚と弱い金気が感じ取れました。その金気の影響か、オーバーフローが流れる洗い場の床やライオン湯口直下の浴槽底はほんのり赤く染まっています。また湯中での泡付きが強く、20秒もお湯に浸かっていたら全身が泡だらけになりました(特に湯口付近で顕著)。湯中で肌をさするとその泡付きによるスベスベ感と硫酸塩泉らしい引っかかりが混在する浴感が得られ、41℃という絶妙な温度で湧出する源泉をそのまま湯舟へ注いでいるおかげで湯加減も最高。非常に気持ち良く入浴することができました。

質素で渋い小さな浴場ですが、石膏感が強くてアワアワなお湯のクオリティは素晴らしく、しかも惜しげもなくお湯を掛け流す湯使いには惚れ惚れしました。グリーンタフ万歳。


カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 41.1℃ pH不明 成分総計等不明
Na+:247.9mg, Ca++:510.7mg,
Cl-:229.9mg, SO4-:1399.0mg,

秋田県大館市花岡町字長森65-2-1  地図
0186-46-1171

1月5日~3月31日→7:00~20:30、4月1日~11月30日→6:00~21:00、12月1日~12月30日→7:00~20:30、大晦日~1月4日→6:00~21:00、不定休
250円
ロッカー(100円有料)・ドライヤー(10円有料)、他備品類なし

私の好み:★★★
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塩原・福渡温泉 塩原グリーンビレッジ 福の湯

2012年06月19日 | 栃木県
 
ログハウスやキャンプ場などアウトドアを中心にしたリゾート施設「塩原グリーンビレッジ」内にある温泉入浴施設「福の湯」を利用してきました。福渡温泉の一番手前に位置しており国道沿いにわかりやすい看板も立っているので、以前から興味はあったのですが、ついその先の方の温泉に関心が向いてしまい、塩原で湯巡りするたびに目の前を通過するばかりで、なかなか訪れる機会をつくることができませんでした。しかし、半年前の某日に会津方面から自宅へ帰る途中、すっかり日が暮れて辺りが闇に包まれた時間帯にたまたま目の前を通ったので、高速へ乗る前にひとっ風呂浴びていこうと思い立ち、利用してみたわけです。
玄関では両側に置かれた石の招き猫がお出迎え。下駄箱のカギはフロントへ預けます。


 
3~4年前にグリーンビレッジの全面改装が行われたらしく、この「福の湯」の館内はフローリング床、格子状の衝立や壁面覆いなど木材を多用しつつ、コントラストをはっきりさせたとてもシックな内装となっていました。館内には休憩スペースや軽食の食堂が設けられています。



無料のロッカーがズラリと沢山並んでいる脱衣室。休憩室や食堂と異なり、こちらはあまり改装の手が加えられていないようですが、よく手入れされて清潔な状態が保たれており、快適に利用できました。



広い空間と大きなガラスのおかげで開放的な印象を受ける浴室。室内にはとっても広い大風呂とごく普通のサウナがそれぞれ1つずつ。



洗い場にはシャワー付き混合栓が7基と、立って使うシャワーが3基設置されていました。



窓に立てかけられたプレートには「温泉は、空気に触れない均等対流が効果的な為、浴槽中央の底部より噴出させております」と書かれている通り、浴槽の底から源泉が投入されており、湯面近くに口を開けた吸込口から排湯されていきます。槽内の一部には泡風呂の吹き出し口が底に埋め込まれていましたが、訪問時には使用されていませんでした(個人的には泡風呂が好きではないので、停止していてくれて助かりましたが)。また、お湯が汚れている場合は循環消毒するそうですが、それ以外は完全掛け流しの湯使いを実施しており、おそらく訪問時は掛け流し状態だったかと思われます。お湯は館内表示によれば自家源泉とのことで、見た目は無色透明、口に含むと微塩味・弱金気・弱石膏そしてほんのりとした甘さが、湯面に鼻を近づけると弱金気と石膏の匂いが、それぞれ感じられました。一応こちらは福渡温泉に含まれるエリアですが、重炭酸土類泉の特徴がはっきり出ている福渡温泉よりは、知覚面で若干マイルドになっているように思われます。


 
露天風呂は歪んだ小判のような形状で、底には鉄平石が敷かれ、その一角にはデカい岩が鎮座しています。また一部には屋根もかかっています。内湯同様、露天も内湯に近い底から源泉が供給されており、浴槽脇の排水口へと溢れ出てゆきます。この日は寒かったためか、外気の影響を受けて露天のお湯はややぬるくなっていましたが、おかげでじっくり長湯することができました。


塩原開発3・4号混合泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 47.5℃ pH6.5 溶存物質1.404g/kg 成分総計1.614g/kg
Na+:307.7mg, Ca++:96.1mg,
Cl-:286.7mg, SO4-:187.7mg, HCO3-:395.1mg,
H2SiO3:86.8mg, 遊離CO2:209.6mg,
源泉掛け流しの範囲では汚れが取りきれなくなった場合にろ過循環装置を使用。ろ過装置を使用する場合に限り塩素消毒(いずれも大風呂のみ)

栃木県那須塩原市塩原1230
0287-32-2751(塩原グリーンビレッジ)
塩原グリーンビレッジのホームページ

10:00~21:00
700円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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塩原・畑下温泉 ホテルぬりや (ついでに畑下を散策)

2012年06月19日 | 栃木県

箒川が大きく湾曲する内側の、半島のように突き出た一角に肩を寄せ合うようにして民家や小規模旅館がひしめき合う畑下温泉。その温泉街の中に位置する鉄筋造の小規模旅館「ホテルぬりや」さんにお邪魔してひとっ風呂浴びてきました。畑下温泉は立ち寄り入浴不可な施設が比較的多いのですが、湯巡手形を呈示して日帰り入浴をお願いすると、女将は愛想よく丁寧に対応してくださいました。浴室は1階帳場の奥にあり、男湯は右側です。


 
やや古めかしいながらもよく手入れされており綺麗な脱衣室。旅館らしくアメニティー類も一通り揃っています(もちろん宿泊客用なので私は使用を遠慮しましたが)。



川に面した浴室。窓を開けるとすぐ目の前に箒川が流れています。



洗い場には混合水栓が4つ設けられており、うち2つはシャワー付きです。なおお湯は真湯が出てきます。



浴槽は6人サイズで、湯加減はやや熱め。立方体のタイルを積み重ねたような湯口から源泉が注がれており、浴槽手前の切り欠けから排湯されています。源泉温度から察するにおそらく加水されているかと思われますが、湯使い自体はしっかり放流式で循環などは行われていません。



お湯はうっすらと橙色に笹濁り、湯口まわりにはトゲトゲした析出がこびりついています。浴槽全体や排湯の流路は赤く染まっており、析出によってところどころが凸凹になっていました。お湯を口にしてみると、微かな塩味とともに金気味や石膏味が舌に伝わり、金気臭や石膏臭、そして何かをローストしたような香ばしい匂いが嗅ぎ取れました。

お宿の名前は、かつて箒川に沿って塩原を抜けていった会津塗りの行商人たちがこちらへ度々泊まったことから名付けられたんだそうでして、建物こそ違うものの、草鞋がけで険しい峠道を歩きぬいた往時の行商人たちが、このお湯で長旅の疲れを癒したのかと想像しながら湯あみしてみたら、えも言われぬ風情と古の旅の面影が伝わってくるような気がきました。派手さも豪華さも無いものの、女将が温かく迎えてくれる、こじんまりした宿ならではの優しさが嬉しい施設でした。


畑下源泉
ナトリウム-塩化物温泉 77.8℃ pH6.5 224.0L/min(動力揚湯) 溶存物質2413mg/kg 成分総計2563mg/kg 
Na+:583.1ng(75.76mval%), Ca++:123.1mg(18.35mval%),
Cl-:860.0mg(70.16mval%), SO4-:266.3mg(16.03mval%), HCO3-:283.2mg(13.42mval%),
H2SiO3:179.3mg, 遊離CO2:150.2mg,

那須塩原駅もしくは西那須野駅からJRバスの塩原温泉行で「畑下」バス停下車、徒歩3~5分
栃木県那須塩原市塩原454  地図
0287-32-2340
ホームページ

日帰り入浴時間13:00~16:00
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品帳場預かり

私の好み:★★

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●ついでに畑下を散策

往来の激しい国道400号からちょっと離れるだけで、喧騒から無縁の世界へとエスケープすることができる鄙びた温泉街畑下。この地区にはたくさんの小さな地元専用共同浴場(以下「ジモ専」)があり、いずれも外来者は利用できませんが、生活と温泉が古くから結びついているその鄙びた佇まいを目にするだけでも温泉ファンとしては嬉しくなります。
国道からちょっと路地を入るだけでもこんな共同浴場(「高砂の湯」)を見つけることができました。草臥れていて風情たっぷり。あぁ、入ってみたいなぁ…。



湯屋にはお湯汲み場も付帯していました。


 
川の対岸にもジモ専の湯屋(「下田の湯」)を発見。屋根に湯気抜きがあるので、一発で湯屋だとわかりますね。



湯小屋から画面左下の河原へ、下膨れのJの字のように延びているコンクリの先にあるのは、おそらく源泉でしょう。


 
今回の目的地「ホテルぬりや」の斜め前にも小さな小さな湯屋を発見。本当にこの地区にはジモ専が多いですね。


 
「ホテルぬりや」裏手を流れる箒川には吊り橋がかかっており、対岸の橋の袂にはかつて無人の露天風呂「青葉の湯」がありました。


 
しかしながら、現在は「楓の湯」と改称されて宿泊施設所有のお風呂となっており、その施設の宿泊客以外は入浴できなくなってしまいました。残念です…。入口前には「不動の湯」や「岩の湯」で見られるような円筒形の料金入れが、口に封をした状態でまだ残されており、これがかつての「青葉の湯」の名残と言えるでしょう。
コメント (4)
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塩原・門前温泉 光雲荘

2012年06月18日 | 栃木県

塩原温泉郷のほぼ真ん中に位置する門前温泉の「光雲荘」で立ち寄り入浴してきました。大規模旅館「ホテルニュー塩原」のすぐ傍というロケーションなので、「ニュー塩原」と比較すると小さく感じられますが、それはあくまで相対的な問題であり、「光雲荘」単体で見ればかなり規模の大きな旅館です。私は大規模旅館にあまり関心が無いのですが、新湯の「湯荘白樺」で飲んだ地ビールがこの「光雲荘」源泉を使っていたため、どんなお湯なのか興味を抱き、立ち寄ってみることにしたのです。


 
広々としたロビーで湯巡手形を提示して立ち寄り入浴をお願いすると、とてもスムーズに案内してくれました。フロントから左手へ伸びる廊下をひたすら進んでゆくと、突き当たりに浴場の入口があります。「幸運の湯」とネーミングされているようです。



さすがに立派な旅館だけあって、脱衣室はとっても綺麗。


 
内湯は窓に面した大きなL字形。竹の屋根で覆われた湯口から源泉が湯舟へ注がれ、加水されているものの、その塩梅がちょうどよく、心地よい温度の湯加減になっていました。室内の一角には打たせ湯の形跡が残っていましたが、いまでは使われていないようです。
お湯はほぼ無色透明、微塩味の他、金気や石膏の味と匂いが感じられ、いかにも重炭酸土類泉らしい知覚でした。脱衣室には自家源泉と町営門前源泉という2種類の源泉の分析表が掲示されていましたが、この2種類をブレンドしているのでしょうか。あるいはお風呂によって使い分けているのでしょうか。そのあたりはよくわかりません。



洗い場にはシャワー付き混合栓が5基設置されており、その並びにサウナも設けられています。


 
日本庭園のような露天風呂は、まるで池みたいに巨大なもので、塩原屈指の大きさを誇っているんだとか。子供だったらついつい泳ぎたくなっちゃうかもしれませんね。全体的にはやや浅いものの、底はフラットな岩盤のような造りになっていて、足元が安定しているために安心して入浴することができました。


 
轟音を辺りに響かせながら、滝のように豪快に源泉が落とされています。内湯同様、源泉温度が高いために加水されているそうですが、それにしてもすごい量です。池のように広い露天風呂にお湯を張るのですから、投入量は相当多いのでしょうね。湯面に接する浴槽の岩には白い析出がビッシリとこびりつき、湯口や排湯流路まわりは赤茶色に染まっています。これらはいかにも重炭酸土類泉らしい現象ですが、その一方、内湯露天共に浴槽内には析出による着色があまり見られないので、成分付着を許さない程、かなり入念にお風呂の手入れが行われているのではないかと察せられます。



お風呂から上がって(着替えて)、露天風呂の奥の方にある離れの飲泉所へと向かいます。



男湯の露天風呂の脇を廻り込むように伸びる廊下を歩いてゆくと、その突き当たりに奥行きの長い足湯が、その先に飲泉所が設けられています。ちょうど露天風呂の滝のような湯口の真上に、この飲泉所が位置しているようです。


 
実際に飲んで見ると、微塩味と金気や石膏の知覚が確認できるのですが、内湯や露天より金気や石膏感がやや弱く、比較的容易に飲めてしまいました。ザックリ表現すると、塩気と金気がほんのり混じっている熱いエビアン、という感じでしょうか。入浴槽のお湯より知覚面でマイルドながらも、お湯の流路は赤茶色に染まり、サンゴみたいな小さなコブもたくさん発生していました。

大きな旅館のお湯は大抵循環消毒されていることが多いので、今まであまり信用してこなかったのですが、豊富な自家源泉を有しているこちらのお宿では、そんな不自然な処理とは無縁の、源泉の持ち味がしっかりと伝わる掛け流しのお湯を堪能することができました。また、広々とした露天でドバドバと落とされる大量の源泉を目にしているだけでも、十分爽快でした。


町営門前1号源泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 55.5℃ pH7.1 湧出量測定不能(動力揚湯) 溶存物質1.467g/kg 成分総計1.700g/kg
Na+:247.6mg(58.80mval%), Ca++:82.5mg(22.48mval%), Mg++:30.5mg(13.71mval%),
Cl-:404.1mg(64.64mval%), HCO3-:370.1mg(33.53mval%),
H2SiO3:244.5mg, 遊離CO2:232.4mg,

光雲荘源泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 73.2℃ pH6.8 200L/min(ホームページの表示より) 溶存物質1885mg/kg 成分総計2205mg/kg
Na+:320.1mg, Ca++:87.6mg, Mg++:31.2mg,
Cl-:498.2mg, HCO3-:516.0mg,
H2SiO3:310.7mg, 遊離CO2:319.8mg,

那須塩原駅もしくは西那須野駅からJRバスの塩原温泉行で「畑下」バス停下車、橋を渡って徒歩5分
栃木県那須塩原市塩原2340-1  地図
0287-32-2414
ホームページ

日帰り入浴時間14:00~20:00
600円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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