温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

福祉健康新屋温泉

2012年11月25日 | 秋田県
 
新屋温泉といっても津軽の有名温泉銭湯ではなく、秋田市の新屋にある温泉が今回の主役であります。駐車場入口に建つベージュ色に塗られた鉄のゲートが印象的なこちらの温泉浴場は、元々この土地を所有していた地元の材木屋さんが私財を投じて建設したものなんだそうでして、専門家の反対を押し切って先代の社長が掘削してみたところ、平成8年に地下700メートルにて見事に温泉を掘り当て、その温泉を浴場として公へ供するにあたり、木材屋さんらしく現社長が設計して総木造の立派な建物を拵えたんだそうです。



館内へ入った途端に木の香りに包まれます。木へのこだわりは半端じゃなく、館内ではありとあらゆる物に対してふんだんに木材が使用され、特に柱や梁には樹齢200年以上の太く立派なヒバ材が贅沢に用いられており、徹底した木材へのこだわりにはただただ圧倒されるばかりです。日帰り入浴施設でここまで徹底した木造建築は他に例を見ないかと思われます。下駄箱のカギを料金支払い時に受付へ預けて脱衣室へと向かいます。脱衣室内も当然ながら総木造です。


 
広くて開放的な浴室も総木造であり、高い天井を太い梁や柱が支えています。あまりに立派なので、見上げてその木材を目にするだけでも感動してしまいます。お風呂は内湯のみで、男湯の場合は左側に槽が3つ据えられ、右側に洗い場のカランが一列に並んでいました。



洗い場にはシャワー付き混合水栓が14基設置されており、ありがたいことに各カランにはシャンプーやボディーソープが一組ずつ備え付けられていました。なお各カランの前に置かれている腰掛けも木製です。床はスノコ状になっているため、シャワーのお湯やアブクは床を彷徨い漂うこと無く、すぐにスノコの隙間から下へと流れ落ちてゆきます。木の床ゆえに濡れるとどうしても滑りやすく、後述する温泉の性質ゆえに更に輪をかけてスリッピーな状態となっているのですが、転倒防止のために床の一部には人工芝のような色のマットが敷かれていました。おのマットはせっかくヒバ材で統一されている室内にあってはかなり異質であり、安全のために必要であるとはいえちょっと艶消しであるようにも思えました。



3つある浴槽のうち1つは水風呂で残る2つが温泉槽です。温泉層はぬるめと熱めに分かれており、上画像の「ぬるめの浴槽」は源泉を加水して濃度を半分ほどに希釈しているんだとか。



一方、「ぬるめの浴槽」よりやや小さなサイズのこちらの浴槽は「あつめの浴槽」でして、加水なしの源泉100%のお湯が注がれております。両浴槽とも加温されており、且つ半循環の湯使いのようですが、薄い黄色で透明なお湯の中では黄褐色の湯の花が大小様々な形でたくさん浮遊していました。なおお湯は両浴槽の間にある三角屋根の下へと吸引されてゆき、オーバーフローはあまり見られません。

化石海水的な温泉のようでして、口にすると非常にしょっぱく且つ苦味もあり、化石海水的な有機的な匂いに土気と金気、臭素臭、そしてヨード臭を混ぜたような、とても個性的な知覚を有しています。知覚面ではそれほど強調されませんでしたが、分析表によればヨウ素イオンの含有量は37.6mgという高濃度であり、旧泉質名でしたら含ヨウ素-強食塩泉となるでしょうね。食塩泉的なツルスベ浴感がとっても良好で、床をツルツル滑らせているのもこの泉質由来なんだと思います。また濃い食塩泉ですから温まりが強く、なかなか汗が引きません。厳冬期には熱の湯として湯あみ客の体を芯から温めてくれるでしょう。

ヒバや杉を贅沢に使ったこの建物は、館内に入って雰囲気を味わうだけでもだけでも、充分に訪問する意義があるかと思います。こんな立派な木造建築の温泉なんて、余程の旅館じゃないかぎり、なかなかお目にかかれません。ちょっとわかりにくい立地ですが、お近くへ訪れた際には立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


ナトリウム-塩化物強塩泉 41.5℃ pH7.6 260L/min
Na+:9687.0mg, Ca++:543.6mg, K+:286.6mg, Mg++:118.6mg, NH4+:37.6mg, Ba++:5.5mg, Fe++:2.8mg,
Cl-:16210.0mg, HCO3-:244.1mg, Br-:142.5mg, I-37.6mg,

大浴槽のみ加水あり(強塩泉につき肌が刺激に弱い人のために希釈)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環利用あり(浴槽の水位が下がると自動的に源泉が足し湯される)
塩素系薬剤を使用(衛生管理のため)

羽越本線・新屋駅より徒歩8~9分(700m)
秋田県秋田市新屋大川町20-3
018-888-8800

10:00~21:00 毎週月曜定休(祝日の場合は翌日)
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント (6)
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毛馬内七滝温泉

2012年11月24日 | 秋田県

秋田県内にはアイヌ語由来の地名が多く存在していますが、鹿角地域の中心地である毛馬内もその一つでして、ワイルドな字面とアイヌ語らしい響きは私の心をつかんで離しません。
秋田県の小坂から花輪へ国道282号で南下する途中、毛馬内の市街地に入る直前で小さな川に沿った路地を東に入った先にある日帰り温泉入浴施設「毛馬内七滝温泉」を今回取り上げます。毛馬内の市街地や東北道の十和田インターからも近いために、旅行や出張途中でも利用しやすい立地といえるでしょう。かくいう私も何度か利用させていただいています。ログハウス調の建物は周囲の長閑な環境と調和しており、落ち着いた温かみのある雰囲気です。



券売機で料金を支払い中へと入ります。館内はとても綺麗でして、気兼ねなく利用できるほのぼのとした空気が横溢していました。休憩スペースの中を奥へと伸びる通路を進んで浴室へ。


 
通路最奥の浴室入口前には岩組みの上に神棚が祀られており、その右脇には飲泉所が設けられています。でもお湯はまるで1本の糸のように細々とチョロチョロとしか落とされていないため、ちょっと飲みづらかったりするんですが…。


 
天井が高い脱衣室。必要な設備はひと通り揃っています。室内に掲示されている湯使いに関する掲示は、文面がとっても誇らしげですね。


 
お風呂は内湯と露天があり、上画像は内湯です。曇って見難い画像で申し訳ありません。脱衣室同様にこちらも天井が高く、広さも十分に確保されているので、開放感溢れる環境の中でストレス無く湯浴みすることができました。私がこちらを利用するときは大抵夕方なのですが、そうした時間帯の問題なのか、あるいは意図的に設計しているのか、室内の照度はやや暗めになっており、人によって好みは分かれるかもしれませんが、私個人としては気持ちを鎮めてゆっくり入浴できる落ち着いた良い雰囲気ではないかと思っています。
浴槽は4~5メートル四方の方形で、浴槽自体はモルタル造ですが縁には木材が用いられています。湯加減は万人受けするような絶妙な温度です。洗い場にはシャワー付き混合水栓が7基設置されており、湯船から溢れ出るお湯が流れる床は成分の付着により赤茶色に染まってマーブル模様を呈していました。


 
露天風呂の頭上には屋根が庇のようにせり出ているため、多少の雨雪だったら問題なく入れるかと思います。浴槽は岩風呂となっており、外気による冷却の影響なのか湯加減は内湯よりややぬるく、どちらかといえば長湯向きかも。源泉が流されてゆく石組みの湯口は、お湯の流路が赤茶色に染まっていました。
お湯は泉質名としては含石膏芒硝泉ですが、重炭酸土類泉に近い知覚を有しています。具体的にはギシギシとした浴感が仇に伝わり、見た目は黄緑色と黄土色を足して2で割ったような色合いに濁っており、鉄錆系の匂いをプンプン放ち、薄塩味+石膏味+土気味+金気味が感じられました。内湯・露天とも熱交換器による加温は行われているようですが、加水や循環濾過は行われておらず、放流式の湯使いとなっています。


 
露天に浸かると目の前にはまるで庭園のような山の斜面が広がっています。自然豊かなロケーションゆえに露天風呂にはいろんなものが舞い込んでくるらしく、お風呂の塀にはその旨を知らせる掲示が貼ってありました。曰く、虫・木の葉・そしてタヌキやカモシカまでその登場人物として列挙されています。カモシカって本当ですか!? 最後の一文の「へっぷり虫」は即ちカメムシですよね。他の虫とは仲良くできても奴だけは例外らしく、奴に対しては「なかよくしましょう」ではなく「注意しましょう」なんですね。あいつは本当に質が悪いもんなぁ…。


源泉名:七滝
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉 42.9℃ pH7.6 260L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質3655.3mg/kg 成分総計3660.3mg/kg
Na+:813.8mg(68.86mval%), Ca++:231.7mg(22.49mval%), 
Cl-:119.8mg(6.47mval%), SO4--:2217mg(88.41mval%), HCO3-:156.8mg(4.92mval%)
H2SiO3:32.5mg,

秋田県鹿角市十和田毛馬内前舘53-7  地図
0186-30-3230

6:00~21:00
350円
ロッカー(100円リターン式)・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント (2)
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乳頭温泉郷 孫六温泉

2012年11月23日 | 秋田県

乳頭温泉の中では最も地味な存在ではないかと(個人的に)思われる孫六温泉。たとえ鶴の湯があるいは黒湯が、秘湯とはかけ離れた混雑を呈していようとも、こちらは大抵の場合、たとえ休日であろうとも数人が静かに湯浴みしているばかり。乳頭温泉郷の秘湯らしからぬ人ゴミからエスケープしたいとき、私はついついこちらを選んでしまいます。晩秋の傾きかけた陽の光がとっても似合う、東北の湯治宿らしいフォトジェニックな風情が何とも言えません。


 
茅葺き屋根の鄙びた建物がとってもいい雰囲気ですね。何度訪れても心に沁みます。確かに鶴の湯も黒湯も蟹場も妙乃湯も素晴らしいのですが、日本人の精神に予め組み込まれている判官贔屓的な我が思考回路は、どうしてもこの孫六を支持したくなってしまいます。


 
建物前の斜面ではお湯が勝手に湧出しており、そんな光景を目にするだけで温泉ファンの心は満たされてしまいます。
御存知の通り、孫六にはいくつかのお風呂が敷地内に点在していますので、それぞれをひとつずつ取り上げていきましょう。尤も、皆様よくご存知の温泉かと思いますので、私があれこれ述べたところで蛇足になるばかりですから、今回は簡素な文章に留めておきます。


●唐子の湯
 
まずは母屋に一番近い「唐子の湯」から。古い共同浴場のような外観の湯屋ですね。


 
浴槽・床とも打ちっぱなしのモルタル造。昔ながらの湯屋らしく室内にはカランなんてありません。浴槽は3~4人サイズで、仕切りの向こうの女湯と一体になっており、底には木の板が敷かれています。湯船のお湯は無色澄明、湯口には枠付の網が被せられていますが、それでも底には茶色あるいは灰色の綿屑のような浮遊物が塊となって沈殿しており、入浴して体を沈めるとそれらが一気に湯中へ舞い上がります。砂消しゴム的な硫化水素臭が仄かに漂い、口に含むと弱いほろ苦味が感じられます。匂い味ともにかなり繊細であり、癖がなく肌に優しく馴染んでくるようなお湯です。湯使いは当然ながら完全掛け流し。


●石の湯
 
「唐子の湯」の裏手に位置している「石の湯」。脱衣室こそ男女別ですが、浴室は混浴。


 
脱衣室から浴室へ出る扉を開けたところで男女が合流し、ステップを下りて湯船へと向かいます。浴室に出て初めて気づくのですが、この浴室はお湯を自然湧出させている大きな岩の上に小屋掛けして内湯にしているんですね。その岩の脇に湯船が作られており、半分はコンクリですが残り半分は岩肌をそのまま活用しています。「唐子の湯」同様に底には木の板が敷かれているのですが、その板が浮かぶ上がるのを防止するためなのか、白い漬物石が一緒に沈められていました。お湯は湯船へ注がれる直前で湯の花キャッチャーにより濾し取られており、このためか湯船の中で浮遊物はあまり見られませんでした。こちらのお湯も無色澄明であり、知覚面の特徴である仄かな砂消しゴム的な硫化水素臭や弱いほろ苦味は「唐子の湯」に似たような感じでした。

色に関して無色澄明と申し上げましたが、この「石の湯」は天候により変色することがあり、上画像で写っているような透明の日は翌日に晴れることが多く、青っぽく濁ると翌日は雨が降りやすいんだとか。自然って面白いですね。



湯小屋から屋外へ出るとすぐにこの露天風呂が入浴客を待ち構えています。露天風呂には女性専用もあるそうですが、石の湯の湯小屋から屋外へ出て利用するものは内湯同様に混浴です。混浴の露天は小屋前にひとつ、そして川岸にひとつの計2ヶ所あり、上画像は小屋前の露天風呂です。適温でとっても気持ち良いお風呂です。



一方こちらは川岸側の露天風呂です。渓流と山を一望する絶好のロケーションですね。でもお湯は小屋前の露天から流れてくるものを受けているため、下流にあたる川岸の露天の湯船はかなりぬるめでした。しかもこの川岸側には晩秋になると落ち葉が大量に入り込んでしまうため、私が訪問した某日には、湯船に身を沈めると、まるでカップの中で破けたティーバッグのように、湯船の中は腐食して茶葉のように粉々になった落ち葉が撹拌されてしまいました。


 
川岸側露天風呂の並びには打たせ湯専用の小屋もあるのですが、なぜか私が訪れる日には止まっていることが多いようです。この打たせ湯って最近使われている事はあるのでしょうか。



何だかんだとネガティブなことを述べてしまいましたが、それもこの温泉を愛するがゆえです。ぬるめの露天風呂はいつまでもゆっくりと長湯できちゃいますから、頭を空っぽにして時間を忘れるにはもってこい。あぁ、いい湯だ。


唐子の湯
単純温泉 49.9℃ pH7.4 湧出量不明(自然湧出) 蒸発残留物560mg/kg
Na+:102.1mg(59.60mval%), Ca++:52.9mg(35.44mval%),
Cl-:81.1mg(30.41mval%), SO4--:110.2mg(30.41mval%), HCO3-:175.2mg(38.11mval%),

石の湯
単純温泉 46.0℃ pH7.1 湧出量不明(自然湧出) 蒸発残留物550mg/kg
Na+:102.1mg(62.18mval%), Ca++:47.2mg(33.05mval%),
Cl-:72.1mg(28.39mval%), SO4--:110.2mg(32.03mval%), HCO3-:167.2mg(38.22mval%),

秋田新幹線(田沢湖線)・田沢湖駅より羽後交通の路線バス「乳頭蟹場温泉」行きで「乳頭温泉」下車、大釜温泉付近より川沿いの歩道を1km強ほど歩く。駐車場は休暇村から右へ逸れる道に入った突き当り(黒湯温泉駐車場の更に奥)。
秋田県仙北市田沢湖田沢先達沢国有林
0187-46-2224
ホームページ

日帰り入浴 8:00~17:00(冬季9:00~16:00)
500円
備品類なし

私の好み:★★★
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伊勢鉄道鈴鹿駅の補充券など

2012年11月22日 | 旅行記
久々に鉄ネタでいってみましょう。今回の内容は切符系のマニアの方でしたら「何を今さら…」的なネタですので、あしからず。私は古典的な手書きのきっぷが大好きなのですが、そんな趣味的欲求を満たすことが今回の記事の目的です。

鈴鹿市内の「天然温泉ロックの湯」での入浴を済ませて三重県での湯巡りを終えた私は、翌日所用があった大阪へ向かうべく、伊勢鉄道・鈴鹿駅から列車に乗車しました。三重県から大阪方面へ向かうのであれば近鉄を利用するのが一般的かと思いますが、ちょうどこの時は「青春18きっぷ」の利用可能期間でしたので、このきっぷを有効に活かしつつ、新幹線でワープできちゃう区間は別途料金を支払ってでも利用し、経済性と速達性を両立するプランを計画しました。具体的には下図のような感じです。


出発地 : 伊勢鉄道・鈴鹿駅 → 目的地 : 大阪市内
経路 : 鈴鹿(伊勢鉄道)河原田(関西本線)名古屋(新幹線)米原(東海道本線)大阪市内

上述のように青春18を使うため、鈴鹿からは近鉄ではなくJR経由とし、名古屋までは青春18が利用できる「快速みえ」に乗車、名古屋~米原間は時間短縮のため新幹線でワープ、米原以降は再び青春18を活用して在来線の新快速で大阪市内へ向かうという計画です。新幹線で京都や新大阪まで行っちゃおうかと思いましたが、できるかぎり別途で支払う料金を抑えたかったため、ケチくさく新幹線は米原までとしました。

ここで問題となるのが、この乗車区間で必要となるきっぷ類です。
まず鈴鹿~河原田は第三セクターの伊勢鉄道なので青春18は利用不可、新幹線に乗る名古屋~米原は乗車券と新幹線特急券が必要となりますので、次のようなきっぷが必要となるわけです。
(1)青春18きっぷ (これは既に持っている)
(2)鈴鹿~河原田の伊勢鉄道の乗車券
(3)名古屋~米原の乗車券
(4)名古屋~米原の新幹線特急券

このうち既に持っている(1)を除く(2)~(4)を入手すべく、乗車駅である伊勢鉄道・鈴鹿駅へと向かいました。
なぜ鈴鹿駅を選んだかといえば、この駅では補充券(いわゆる昔ながらの手書きのきっぷ)がごく普通に発券されているという情報を得たからです。尤もこの情報はマニアの間では超有名な常識なんだそうですが…。

 
昭和48年に国鉄伊勢線として開業した後、第三セクター化した伊勢鉄道。小規模な第三セクターらしくない立派な高架や線路敷きがこの路線の歴史を物語っているようですね。では鈴鹿駅の窓口にて発券をお願いしてみましょう。
窓口では気さくな口調が印象的なお爺ちゃんの駅員さんが対応し、(2)~(4)が欲しいと申し出ると、二つ返事で発券してくれました。



まず(2)鈴鹿~河原田の伊勢鉄道の乗車券ですね。あたりまえのように硬券が出てきました。ちゃんとダッチングを通して日付を入れています。入鋏省略なので鈴鹿駅の改札では何も処理されませんでしたが、「快速みえ」の車内検札にて伊勢運輸区のスタンプが捺されました。



次に(3)名古屋~米原の乗車券。伊勢鉄道の出札補充券なのに、JR線内完結の乗車券として発券されているのが面白いですね。



つづいて(4)名古屋~米原の新幹線特急券です。鈴鹿駅にはきっぷを発券させる端末類が無く、またマルス指令等へ電話して指定席を確保するような手続きも行っていないようなので、駅員お爺ちゃん曰く「うちは自由席だけだよ」とのことでした。従いまして今回は新幹線自由席券を購入しております。乗車券はJR線内完結でも伊勢鉄道の用紙でしたが、料補の場合はJR東海のものが使われるんですね。
ちなみに窓口には新幹線各駅への料金早見表が用意されており、お爺ちゃんはそれを見ながら老眼の目を細めて補充券に書き込んでいましたが、「米原なんて殆ど出ないから書き慣れないよ」と苦笑していました。お爺ちゃん、不慣れなことをさせてゴメンナサイ。



さて、鈴鹿駅にてどうしても指定席券の類が欲しい場合はどうしたらよいか? 実際この時の私は湯疲れのためにとっても眠たく、名古屋までの「快速みえ」では確実に座って寝たかったので、乗車券(あるいは青春18)のみで利用できる自由席ではなく、何としてでも指定席を確保したかったのですが、その要望に対するお爺ちゃん駅員の回答は「アピタに行って。2階に旅行会社があるから、みんなにはそこで買ってもらってるんだわ」とのことでした。そこでバカ正直な私はレンタカー返却直前にショッピングセンター「アピタ鈴鹿」2階のKNTツーリストまでわざわざ行って、この指定席券を購入したのでした。なお駅からアピタまでは約4km離れており、車が無いと移動は非現実的です。



ちなみに、こちらが今回使った皆様お馴染の「青春18きっぷ」。今回乗車分は4回目に当たります。私鉄である鈴鹿駅では日付が入れられないため、「快速みえ」の車内検札に来た車掌さんに日付を入れてもらいました。てっきりスタンパーかと思いきや、手書き&車掌氏の印鑑という方法によるバリデートとなりました。


 
手書きのきっぷを入手して大満足の私は、市内のレンタカー事務所へ車を返却後、鈴鹿駅のホームから「快速みえ」に乗車しました。アピタにて指定席を確保している私は、車内検札後は名古屋到着まで座席で爆睡。


 
名古屋から上で紹介した2種類の補充券を利用して新幹線に乗り換えて米原まで。
閑散としている米原駅前。滋賀県名物のサラダパンを買うべく、スーパーマーケットの「平和堂」へと向かったのですが、その前の交差点には滋賀県名物の「飛び出し坊や」が設置されていました。これはみうらじゅんが「0系」と称しているタイプですね。



米原からは新快速で大阪市内へ。列車は長浜始発でしたが、米原から増結される空車の後ろ4両に乗って確実に座席を確保し、再び熟睡…。



いろんなきっぷ類を紹介したついでに、この前日に利用した津駅西口発行の常備軟券もアップしておきましょう。津駅の西口は近鉄が管理しており、JRや伊勢鉄道の窓口や券売機はありませんが、近距離の乗車券なら特急券を販売している近鉄の窓口で購入することができるんですね(これもマニアの間では常識らしいです)。その乗車券も端末券じゃなくて古風な感じの常備軟券なんですから、アナログ志向な私には嬉しくてたまりません。この日は実際に紀勢本線の津~阿漕を乗車し、阿漕駅付近にあるレンタカーの事務所へと向かったのでした。

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鈴鹿市内 天然温泉ロックの湯

2012年11月21日 | 三重県
 
鈴鹿の主要幹線道路である鈴鹿中央通り(県道54号線)沿いに位置しているスーパー銭湯「天然温泉ロックの湯」では掛け流しのお湯に入れるという情報を得て、市内でレンタカーを返却する前に立ち寄ってみることにしました。通りには派手なネオン看板が立っており、駐車場も広いので車でのアクセスは容易なのですが、いざ車から降りて施設を目の前にしてみると、建物はひと昔前のスパ銭(サウナ)そのものであり、今までの経験則から判断するに、ここで良いお湯に巡り逢えそうな気がしないのですが…。



窓ガラスに貼られた「飲める温泉」という文言につい惹かれてしまい、当初は利用する気が起こらなかったのですが、気づけば中へと入っていました。


 
受付前ロビーはこんな様子。10~20年前の健康ランドそのものです。奥の方には「ロック茶屋」と称する食堂がありました。フロント前の設置されている券売機で料金を支払います。フロントでは下足箱のカギ(100円リターン式)と引き換えに脱衣室のロッカーキーを受け取ります。



ロビーの奥には岩盤浴場もあるのですが、今回は利用しませんでした。


 
脱衣室は広々としており、スチールロッカーがズラリと並んでいます。使用するロッカーは受付で渡されたキーの番号となります。室内は空調が効いており、また洗面台周りの備品類もそれなりに充実しているので、快適かつ便利に使えました。


 
浴室もかなり広く天井も高いために開放感がありますが、経年劣化により天井パネルの一部が剥がれていたり撓んでいたりと、全体的に草臥れている感は否めません。

広い室内空間を活かしていろんな種類の浴槽が設けられています。大きなガラス窓に面して小文字のbを横に伏せたような形状の湯船が据えられており、左からジェットバス・一般浴槽・ジェットバス・寝湯・電気風呂という順で配置されています。また浴室中央には正方形の木の浴槽(40℃くらい)も据え付けられています。各浴槽の湯口には浮遊物を濾し取るための晒しの布が巻かれており、その上には「天然温泉」と書かれた札が立てられています。表示によれば井戸水による加水を行い、循環濾過を併用しながら、新しい源泉も投入しているとのこと。実際に各浴槽内には循環装置の吸引・吐出口があって勢い良く稼働していましたが、浴槽上からのオーバーフローも常時見られたので、その説明に偽りはないかと思います。お湯は薄い黄色透明であり、布の目を通り抜けた小さな湯の花が湯中でちらほら舞っていました。



この手の温泉浴場によくあるケースとして、浴槽よりかけ湯やシャワーの方が(循環できないため)お湯が良いことがありますが、ご多分に漏れずこちらも同様でして、浴室入口にあるこの掛け湯のお湯は非常に鮮度感が良い熱めの源泉がドバドバ注がれていました。このお湯に入りたいなぁ…。



駐車場で見た「飲める温泉」とはこれを指していたんですね。保健所から飲泉許可を得ている飲泉場が利用できるだなんて、なかなか本格的じゃありませんか。飲んでみますと、重曹味+鉱物油的匂い+モール泉的な香ばしい風味が感じられました。三重県平野部の温泉らしい特徴ですね。



洗い場は3つのエリアに分かれており、計29基のシャワー付き混合水栓が設けられています。3つのエリアはそれぞれ異なったスタイルになっており、3つのうち左側は上画像のように∪字型に水栓が11基配置されています(真ん中のエリアは10基です)。


 
面白いのが右側の洗い場でして、水栓の数は8基なのですが、水栓の上には温泉が流れる水槽が設けられており、ここからお湯を汲んで使うこともできるのです。


 
露天風呂は屋根こそかかっていませんが周囲は高い塀で囲まれており、外の景色を眺めることはできず、一応岩などによって装飾されているものの、温泉風情に欠けた無機的な雰囲気です。また浴槽は広いのですが造りが浅いために少々寝そべらないと肩までお湯に浸かれません。しかしながら内湯と異なり、露天風呂は加水こそされているものの、加温循環濾過なしの放流式による湯使いですので、お湯の質感ははるかに良好です。湯口は温泉成分の付着により黒く染まっており、湯船の中には褐色の湯の花が無数に舞っています。浴槽縁の切掛けからはお湯が常時捨てられていました。お湯の色はかなり薄い茶色の透明ですが、内湯より色味が濃くなっているのは非濾過である証でしょう。加水されているもののやや熱めの湯加減でして、重曹泉らしいツルスベ感が楽しめました。


天然温泉鈴鹿の湯
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 50.1℃ pH8.6 870L/min(動力揚湯) 溶存物質1.15g/kg 成分総計1.15g/kg
Na+:343.4mg(95.28mval%),
Cl-:221.0mg(41.34mal%), HCO3-:506.0mg(55.01mval%),
H2SiO3:40.0mg,

内風呂
泉温が高いので常時井戸水を加水
衛生管理ならびに温度管理のため常時循環濾過装置を使用、常時新しいお湯を供給しながら循環濾過装置を稼働。
塩素系薬剤使用

露天風呂
泉温が高いので常時井戸水を加水
加温循環濾過なし


近鉄鈴鹿線・三日市駅or平田町駅より徒歩15分(1.2km)
三重県鈴鹿市三日市町1531  地図
059-382-8887
ホームページ

9:00~24:00
平日500円・土日祝600円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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