温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

船沢温泉

2013年10月24日 | 秋田県
※当記事をアップした後にリニューアルされたようです。当記事はリニューアル前の様子を取り上げています。

 
青森県から富山県にかけての日本海沿岸には、黄土色に濁るか或いはアブラ臭を放っている塩辛い温泉が点在しておりますが、秋田県能代の船沢温泉もその典型例です。こちらは2011年の冬に一旦は休業を決めましたが、その後震災で入浴が困難となった人々を受け入れるために時間限定で復活し、その後更にリニューアルを経て現在に至っております。



玄関を上がった先にある食堂のカウンターで料金を支払います。カウンターのまわりでは土産物や食品類などが陳列販売されているのですが、この時対応してくださった女性スタッフさんがまさに秋田美人で、お風呂のことをつい忘れ、思わず見惚れてしまいました。


 
公衆浴場的な利用を想定しているのか、脱衣室は棚や籠がたくさん並んでいて結構広く、真ん中には腰掛けが置かれ、この日は業務用の大きな扇風機がグルグル回っていました。浴室側はガラス張りとなっており、室内ながら明るくて開放的です。またリニューアルして間もないこともあってか、全般的に綺麗で明るい雰囲気です。


 
お風呂は内湯のみですが、綺麗な浴室は天井が高くて床面積も広く、換気の良さも相俟って、屋内空間にありがちな閉塞感はほとんどありませんでした。洗い場にはシャワー付き混合水栓が6基設置されており、お湯は真湯が出てきます。6基のうち、なぜか最右だけはパーテーションで区切られていました。


 
室内にはテレビ付きのサウナや水風呂も完備。



窓の外に小屋はボイラー室?
そしてその先に見えるのは源泉小屋?



温泉が張られている浴槽は余裕で10人以上同時に入れそうな大きさがあり、縁から洗い場へ向かってお湯が溢れ出ています。リニューアルされてまだあまり月日が経っていないにもかかわらず、オーバーフローが流れる床タイルは、温泉成分の付着によってオレンジ色に染まっていました。源泉温度が低いためにお湯は加温されていますが、れっきとした放流式の湯使いとなっています。


 
お湯は塩ビのパイプから瓶に落とされ、そこから更に湯船へと注がれています。瓶の中に詰め込まれている石にはサンゴのような形状をした析出が現れており、温泉成分の濃さがビジュアル的にも一目瞭然です。

お湯はやや緑色がかったオレンジ色の濁りを呈しています。加温によって濁りが強くなっているのでしょうね。浴室内にはお湯から放たれたヨード臭や臭素臭が漂っており、塩ビの湯口に鼻を近づけると、これらの匂いの他にツンと鼻孔を刺激するアンモニア臭も嗅ぎ取れました。また、お湯を口に含むと強烈に塩辛く、金気味や苦味も含まれていました。おそらくこの温泉にはいろんな味が混じっているものと思われますが、強烈な塩辛さが他の味をかき消しているようでした。

入浴中はツルスベ感に引っかかる浴感が混在しており、塩分の濃さゆえお湯に浸かっていると徐々に体力が奪われ、うっかり長湯するとたちまち湯当たりしてヘロヘロになること必至でしょう。また湯上がりには真湯で体についた温泉を洗い落とさないと肌がベタついてしまうでしょうけど、厳冬期にはむしろ熱の湯としての本領が発揮され、まるで体内に「あんか」が埋め込まれたかのように、いつまでも温浴効果が続くものと思われます。
非常に個性的且つ凶暴なお湯ですので、入浴方法にはひと工夫が求められますが、これだけ濃い温泉に入れるところは珍しいですし、お風呂自体も綺麗で使い勝手が良いですから、近くへお寄りの際には一浴をおすすめします。


ナトリウム-塩化物強塩泉 31.0℃ pH7.4 溶存物質34011.8mg/kg 成分総計34076.3mg/kg
Na+:12030mg(91.25mval%), NH4+:73.3mg(0.71mval%), Mg++:111.5mg(1.60mval%), Ca++:444.9mg(3.87mval%), Fe++&Fe+++:1.5mg,
Cl-:20040mg(98.78mval%), Br-:107.5mg(0.24mval%), I-:63.6mg(0.09mval%), HCO3-:309.9mg(0.89mval%),
H2SiO3:110.6mg, HBO2:150.6mg, CO2:64.5mg,
加温あり(入浴に適した温度に保つため) 
加水・循環・消毒なし

森岳駅もしくは能代駅より秋北バスの森岳駅前~(能代)組合病院線で小野沢バス停下車、徒歩4分(400m)(土日祝は便数僅少)
秋田県能代市浅内船沢73-125  地図
0185-54-4838
ホームページ

日帰り入浴10:00~21:00
400円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント (12)
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湯の沢温泉 藤里町農村環境改善センター

2013年10月22日 | 秋田県

秋田県北部の藤里町は、町域の約4分の1が白神山地の世界自然遺産登録地域にあたるんだそうです。そんな藤里町にも湯ノ沢温泉というお湯が湧いており、数軒の旅館や入浴施設が営業しております。今回はその中でも町営の「農村環境改善センター」で入浴してきました。名称から何となく想像できちゃいますが、所謂過疎地向けのハコモノの一種であり、すなわち地域の集会所的な役割に加えて宿泊機能などを兼ね備えた福祉施設でして、その機能のひとつとして温泉浴場も含まれているわけです。


 
平日の午前中に訪れたのですが、館内には管理人のお爺さん以外にどなたもいらっしゃる気配はなく、四方を取り囲む山から響いてくるセミの騒がしい鳴き声が、昭和の空気感漂う玄関ロビーで木霊していました。受付の事務室でお爺さんに料金を支払って中へと入ります。


 
いかにも昭和の公共施設らしく館内は地味で無味乾燥としており、浴室へと続く廊下はさながら30~40年前の学校のような雰囲気です。奥へ伸びる廊下をどんどん奥へと歩き、途中で左へ折れた突き当りにお風呂の暖簾がかかっていました。


 
お風呂は男女別の内湯のみ。脱衣室はこぢんまりとしており、棚・籠や洗面台など必要最低限の設備しかありませんが、ちゃんとお手入れされているので、ストレス無く利用できました。



浴室もコンパクトな造りで、これといった装飾もなく、モルタルの壁には白い塗装が施され、床はオフホワイトのタイル貼りという、極めて実用的な趣向です。室内にはお湯から放たれているほのかなアブラ臭がふんわりと漂っていました。


 
洗い場は浴室の左右に分かれて配置されており、その内訳は左側に3ヶ所、右側に1ヶ所で計4ヶ所なのですが、そのうちシャワー付きは3ヶ所です。カランから出てくるお湯はボイラーの沸かし湯(真湯)でして、(失礼ながら意外にも)お湯はすぐに吐出されました。


 

浴槽は縁取りが黒い御影石で槽内はタイル貼り、逆台形のような形状の5~6人サイズです。竹筒を模した横に潰れている楕円の湯口から、トポトポとお湯が注がれており、左側の洗い場に向かって静々ながらしっかりとお湯がオーバーフローしていて、私が湯船に入るとザバーっと豪快に溢れ出ました。

お湯は無色透明で、若干の出汁味が含まれている明瞭な塩味を有し、少々の渋みを伴うほろ苦みを伴っていました。臭覚に関してはアブラ臭と臭素臭を足して2で割ったような匂いを放っており、湯口に鼻を近づけるとアブラ臭の方が強く感じられました。なお館内表示によれば塩素系薬剤による消毒が行われているそうですが、特に消毒臭さは気になりませんでした。
湯船は41~2℃という丁度良い湯加減がキープされており、ややトロミを有するお湯の中では食塩泉的なツルスベ浴感が肌に伝わってきます。味や匂いともにマイルドですが、れっきとした食塩泉(熱の湯)であることには変わらず、湯上がりは汗が引きにくく、いつまでも温浴効果が続きました。厳冬期に入浴すれば熱の湯らしい恩恵をしっかりと享受できることでしょう。お風呂としては面白みに欠けますが、静かな環境で実力派のお湯を堪能できる、質実剛健な温泉浴場でした。


湯ノ沢温泉2号井
ナトリウム-塩化物温泉 43.6℃ pH8.7 20L/min
塩素系薬剤で消毒

能代駅・東能代・二ツ井駅より秋北バスの真名子行で「湯の沢温泉」バス停下車
秋田県山本郡藤里町藤琴字上湯ノ沢16
0185-79-1379

9:00~21:00
300円
コインロッカーあり、他備品類なし

私の好み:★★
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柏温泉

2013年10月20日 | 青森県

存在はとっくの昔から知っているのに、なぜか利用そびれ続けてしまう施設やお店って、誰しも何軒かはあるものですよね。私の場合は青森県旧柏村(現つがる市)の「柏温泉」がその典型でして、近所の「イオンモールつがる柏」や界隈のロードサイド店舗は何度も利用しているのですが、国道101号沿いのわかりやすい場所に位置しているにもかかわらず、なぜかこの温泉浴場だけは目の前を通過するばかりで、これまで全く利用する機会を得ませんでしたが、盛夏の某日、存在を知ってから17年目にしてようやく初めて入浴することになりました。


 
この浴場には石の置物が随所に飾られており、玄関脇では招き猫が、入口の上がり框では七福神が、来客を出迎えていました。


 
館内は青森県の温泉浴場でよく見られるタイプの造りでして、即ち番台前に広がるロビーが休憩スペースとなっており、そこにはたくさんの長椅子が置かれていて、自販機もずらりと並んでいます。浴室入口にはビールの自販機とポカリスエットの自販機が設置されているのですが、このポカリの自販機は後述するように、湯上がりにはとっても役立つのであります。


 
浴室も青森県の温泉銭湯では標準的な室内構成でして、広い室内の中央に大きな浴槽が据えられ、それを取り囲むように洗い場のカランがたくさん並んでいます。脱衣室から浴室へ入るガラスのドアを開けた途端、温泉から漂ってくる臭素臭がプンと鼻孔を突いてきました。

室内の左右両サイドに並ぶ洗い場のカランは、左側が16ヶ所、右側が12ヶ所で計28ヶ所。いずれもお湯・水・固定式シャワーの組み合わせとなっており、お湯のカランからは温泉が出てきますが、シャワーから吐出されるお湯は真湯でした。
大きな浴槽は前後に二分割されており、手前側は12人サイズで、仕切り塀付近ではボコボコブクブクと騒々しくジャグジーが稼働しています。一方、奥側はそれより一回り小さい8人サイズなのですが、湯口のお湯が直接注がれているためか、やや熱い湯加減となっており、こちらではジャグジーのような装置は設置されていませんでした。



浴室入口傍には小さな上がり湯槽が設けられています。一見するとお湯が黄色っぽく見えますので、温泉が用いられているように勘違いしてしまいそうですが、実際には温泉ではなく真湯が用いられていました。おそらく意図的に真湯を用いているものと思われるのですが、その理由(私なりの推理)は後述します。


 
浴室の奥には2室のサウナと、それに挟まれる形で水風呂が設けられており、右側のサウナにはテレビが取り付けられており、一方左側のサウナには扉に「高温サウナ」と書かれていました。尤も、私が利用したこの日は篦棒に蒸し暑く、サウナを敬遠したい気分でしたので、両サウナにはどのような差異があるのかよくわからず、寧ろできるだけ体を冷やしたかったので、ひたすら真ん中の水風呂に浸かっていました。


 
大国様が鎮座する横長の湯口からは温泉が滝のようにドバドバと浴槽へ落とされており、浴槽に湛えられたお湯は左側の洗い場に向かってオーバーフローし、その流路の床タイルは茶色に染まっていました。しかしながら、投入量に比べるとオーバーフロー量が少なくアンバランスなので、おそらく新鮮な源泉を常時投入しながらも循環を併用しているものと思われます(実際に浴槽の底で吸引口と思しきものを確認しました)。

お湯は鼈甲色の透明で、かなりしょっぱく且つ出汁味も含まれ、湯面からは臭素臭と共に都市ガスのような(腐ったタマネギのような)匂いが嗅ぎ取れます。入浴中は食塩泉的なツルスベ浴感が楽しめますが、湯上がりは火照りが強くて汗がなかなか引かず、お風呂から上がって何度もタオルで体を拭いましたが、いつまで経っても肌には玉のような汗が噴き出てきました。夏の暑い日は、温泉から上がる際に真湯で温泉を濯ぎ落とす等の対策をとらないと汗で体がベトつくこと必至ですが、逆に寒い冬には卓越した温浴効果が発揮されますので、それこそ外套要らずのポカポカ感が長時間持続することでしょう。津軽のしばれる冬のこころ強い見方ですね。このような温泉ですから、湯上がりには塩分や水分の補給が必須となり、上述のようにポカリの自販機が大いに役立つというわけです。


柏温泉2号泉(再分析)
ナトリウム-塩化物温泉 56.2℃ pH7.64 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質8.210g/kg 成分総計8.229g/kg
Na+:2936mg(95.19mval%), NH4+:5.9mg, Mg++:5.5mg,
Cl-:4312mg(93.60mval%), Br-:16.5mg, I-:1.5mg, HCO3-:488.0mg(6.15mval%),
H2SiO3:188.1mg, HBO2:79.1mg,
(分析表に記載されている源泉所在地は「つがる市柏稲盛岡崎1-4」となっており、この場所は浴場から数百メートル離れた五能線の線路の北側に当たります)

五所川原駅より弘南バスの鰺ヶ沢線や出来島線などで「柏温泉前」バス停下車すぐ
青森県つがる市柏下古川絹森55-3  地図
0173-35-20

5:30~22:00
390円
ロッカー・ドライヤー(無料)あり、基本的な入浴用具は番台で販売

私の好み:★★
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大沢温泉 つがる富士見荘

2013年10月19日 | 青森県
 
津軽平野の西部では藩政時代の新田開墾に伴って多くの溜め池が築かれましたが、その中でも最大規模である廻堰大溜池には津軽富士見湖という別称が付けられており、湖面に映る岩木山や青森ヒバで造られたアーチ橋の「鶴の舞橋」が織りなす景色は、まるでモネの絵画を想像させるほど美しく、私が大好きな津軽の風景のひとつでもあります。
そんな津軽富士見湖の湖畔かつ鶴の舞橋の袂に建っている宿泊施設「つがる富士見荘」ではクオリティの高い温泉に入浴することが出来ますので、先日利用してまいりました。



宿泊利用者は正面玄関から出入りできますが、日帰り入浴客はその左側にひっそりと開かれている専用の勝手口から入り、下足場でスリッパに履き替えます。


 
入口こそ宿泊客と日帰り客で分けられますが、館内に入ると両者は合流し、宿泊利用時のチェックインと同じフロントカウンターで入浴料金を支払います。施設内にはお風呂が2室あり、昼間の時間帯は日帰り入浴でも両方利用できますので、今回はまず日帰り入浴客の利用可能時間が短い「展望大浴場」から入ってみることにしました。


●展望大浴場
 
フロントの右手を進み、津軽富士見湖を右手に見ながら浴室へ。落ち着きのある暖色系の内装でまとめられている脱衣室は宿泊施設に相応しく良く手入れされており、空調も効いていて、快適に利用できました。


 
津軽富士見湖を臨む大きな窓から外光が降り注ぐ浴室は、窓の下に大きな浴槽が据えられ、ゆとりのある洗い場にシャワー付き混合水栓が計7基設置されています。


 
室内には源泉が注がれている上がり湯があり、そこから溢れ出るお湯によって流路に当たる床は黒く染まっていました。


 
縁が緩やかな曲線を描く浴槽は14~5人サイズ。窓から外を眺めますと鶴の舞橋が正面に映っていました。なおこの窓ガラスにはマジックフォルムが貼られているので、外側から覗かれる心配は御無用。


 

小さなドーム状の湯口から源泉が注がれており、湯船を満たしたお湯は惜しげも無く縁から溢れ出てゆきます。湯口付近の湯面は気泡に覆われ、あちこちでプチプチと泡が弾けていました。もちろん入浴中の肌にも気泡が付着してきます。
お湯は茶褐色の半透明で、口にすると塩味と出汁味の他、金気味と炭酸味、そして湯口限定で薄いタマゴ味といったように多様な味覚が感じられ、モール泉的な芳醇な芳香とともに金気臭が鼻孔をくすぐってきました。食塩と重曹のダブル効果によるツルスベ浴感の他、引っかかる浴感も拮抗しているようでした。また湯上がりは食塩泉的な温浴感と重曹泉的な爽快感が共存しているような不思議な感覚が全身を包んでくれました。


●多目的ホール大浴場
 
続きまして、フロント左側の階段でアンダーパスを潜った別棟にある「多目的ホール大浴場」へ向かいました。日帰り入浴で早朝や夜間に利用する場合は、「展望大浴場」は宿泊者限定となるため、こちらのみの利用となります。アンダーパスを上がった先には薄暗くて寒々しいホールが広がっており、その奥にちょこんと設けられている小上がりを挟んだ左が女湯、右が男湯です。


 
いかにも旅館らしい内装だった「展望大浴場」の脱衣室とは異なり、こちらは広いながらも実用的な雰囲気が強く、エアコンが無い代わりに扇風機がブンブン回っていたり、棚や籠がたくさん並んでいたり、調和よりも明るさを重視したカラーコーディネートが採用されていたり、なんとなく公衆浴場のような空気感が支配しているようでした。



2階層となっているお風呂がこの「多目的ホール大浴場」の大きな特徴でしょう。下段には大きな四角い浴槽が、上段にはやはり大きくて丸い浴槽がそれぞれ据えられており、上下両方に洗い場が設けられています。なお下段には9基、上段には8基のシャワー付き混合水栓が取り付けられており、お湯は沸かし湯が出てきます。


 
下段の浴槽はタイル貼りの長方形で14~5人サイズ、壁際の浴槽縁には装飾の石が並べられて視覚的なアクセントとなっています。斜め上を向いたパイプから温泉が噴き上がっており、湯船のお湯は他の浴槽と同様に縁からしっかりオーバーフローしています。後述する上段の浴槽よりもややぬるく、万人受けする湯加減となっていました。


 
一方、上段の浴槽は真円のほぼ10人サイズで、温泉は岩の湯口から落とされ、全ての縁より溢れ出ているお湯は洗い場の床を漱ぎ、その流路を焦げ茶色に染めていました。なお下段の浴槽より若干熱めの温度となっているように感じられました。
上下段の両浴槽ともにお湯は「展望大浴場」と同じ源泉を用いているのですが、湯使いが異なるのか、味や匂い、そして湯中における泡付きまで「展望大浴場」の方が優れているように、私には感じられました。



上段にはまん丸い浴槽のほか、サウナや水風呂も併設されているのですが、この水風呂が実に爽快なのです。おそらくこの水風呂で使われている水は単なる水道水ではなく、温泉とは別個に掘られた井戸水ではないかと推測されるのですが、冷たすぎない25℃前後のとても入りやすい水が蛇口からドバドバ注がれており、火照りやすいここの温泉に入った後でこの水風呂に入れば、どんなに暑い日でも湯上がりはすっきりさっぱり。私は丸い湯船とこの水風呂を何度も行き来して、冷温交互の入浴を楽しみました。


大沢温泉2号泉
ナトリウム-塩化物温泉 44.5℃ pH7.03 湧出量222L/min(動力揚湯) 溶存物質3.105g/kg 成分総計3.303g/kg
Na+:980.2mg(91.25mval%), Mg++:17.7mg, Fe++:1.0mg,
Cl-:1301mg(78.42mval%), SO4--:102.0mg(4.53mval%), HCO3-:481.5mg(16.86mval%),
H2SiO3:132.4mg, CO2:197.9mg,

五能線・五所川原駅もしくは陸奥鶴田駅より弘南バスの五所川原~鶴田線(廻堰経由)で「廻堰十文字」バス停下車、徒歩20分弱(1.5km)
青森県北津軽郡鶴田町廻堰大沢71-1  地図
0173-22-3003
ホームページ

展望大浴場9:00~16:00
多目的ホール大浴場7:30~21:00
350円
ロッカー(※)・シャンプー類・ドライヤーあり
 (※)100円リターン式、多目的ホール大浴場に設置。展望大浴場には無し

私の好み:★★+0.5
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つがる市木造 家族風呂やっぱりいい湯だな

2013年10月18日 | 青森県
 
温泉めぐりをしていると、しばしば他者を気にせず一人でゆっくりと湯浴みしたくなる衝動に駆られます。つがる市木造の中心部に近い場所で営業している温泉銭湯「あずましの里温泉 いい湯だな」は、大きな浴室の公衆浴場の他、別棟にある個室貸切の「家族風呂やっぱりいい湯だな」も併設されているので、今回はその家族風呂へ一人で利用することにしました。まずは公衆浴場の番台に出向いて受付を済ませます。



公衆浴場の左側にはカラフルに塗り分けられた個室の貸切風呂が並んでいます。
貸切風呂と棟続きでコインランドリーが営業しているのですが・・・



2011年時点でそのコインランドリーは「洗っていいとも」と名乗っていました。潔いほど思いっきり某長寿番組のロゴをパクってますね。私個人としては子供の頃に夢中になったファミコンソフト「さんまの名探偵」を思い出してしまいます。ちなみに、フジテレビ系がネットされていない青森県において、パクリ元のテレビ番組は夕方16:45からTBS系列の局で放送されていますが、冬になればもう薄暗い時間帯ですから、ちっとも「お昼休みはウキウキウォッチング」なんて言っている場合じゃないんですよね。なお現在コインランドリーからそのロゴは消されています。


 
さて話を本題に戻しましょう。今回番台で私に宛てがわれた個室は、コインランドリーの隣に位置するA室でした。番台で室名が書かれた札をもらい、その個室へと向かいます。


 
部屋に入ると、場末のスナックというか一昔前のカラオケボックスというか、将又ちょっと古いラブホテルというべきか、いわゆるその手の施設でよく漂っているような臭いが室内に充満していました。個室自体はちゃんと清掃されており、テレビも備え付けられていて、複数人で利用しても問題ないような広さを有しているのですが、なぜかカラオケ装置まで用意されており、果たして短時間の利用で風呂に入ってカラオケまで歌う客っているのか、私にはよくわかりません。なお室内にはエアコンがありますし、トイレも完備です。



入室とともに自動精算機が稼働し、時間のカウントが始まります。料金は後払い制で、退室時に機械で精算します。このマシーンって、まさにラブホで多く導入されているものですね。というかラブホ以外では見たこと無いぞ。温泉施設でお目にかかるとは思いませんでした。ここは大釈迦(青森屈指のラブホ集積エリア)なのか? いや木造だよな。もしこの貸切風呂をご夫婦で利用した際、ご主人が妙にこの機械の操作に慣れていたら、その段階で奥さんはご主人の不倫を疑った方がよろしいかと思いますよ。


 
入浴ゾーンも広いスペースが確保されており、室内へ入った途端に津軽平野の温泉でよくみられる臭素臭が香ってきました。室内にはなぜか浴槽が2つ据え付けられているのですが、両浴槽の間にはパーテーションがあり、サッシのレールらしきものも残っていますので、その造りから察するに、元々は片方が露天風呂だったのか、あるいはそのようにする構想があったものと思われます。浴室の窓直下に玉砂利が敷かれているのも、そこを坪庭っぽくするためだったのでしょう。



洗い場にはシャワー付き混合水栓が1基設置されており、お湯は源泉が出てきます。


 
手前側の浴槽は、縁は御影石貼りで槽内はタイル貼りです。貸切風呂には、利用の度にお湯を張り替えるタイプと、常時お湯を張りっぱなしにするタイプがありますが、こちらは後者となっており、温泉成分の付着によって白く覆われた水栓より源泉が絶え間なく注がれ、常時浴槽よりお湯がオーバーフローしています。


 
奥側の浴槽も手前側とほぼ同じ形状および大きさとなっており、横に配置していたものを縦に変えたような感じで据え付けられていました。手前側の浴槽はお湯・水ともにコックがあるので、利用者が各自で湯加減を調整することができますが、こちらの湯口では調整ができず、源泉がひたすらストレートに注がれるだけとなっていました。

お湯はちょっぴり緑色を帯びているように見える黄褐色の透明で、湯面はもちろん湯口からも明瞭にカーボンのようなアブラ臭や津軽平野の温泉らしい臭素臭が漂ってきます。お湯を口にするとしょっぱく、出汁味も効いており、それでいて僅かなほろ苦さも具有していました。入浴中はツルスベ浴感が気持ち良いのですが、湯上がりには食塩泉のパワーが発揮されて強力に火照り、汗がなかなか引きません。

1時間で平日なら1400円、土日なら1600円という料金設定ですから、それこそ3~4人かそれ以上で利用すればコストパフォーマンス的にも文句はないかと思いますが、さすがに今回の私のように一人で利用するにはちょっとお値段が高すぎるかもしれません。またこの料金でありながらお風呂にシャンプーやボディーソープが備え付けられていないのも残念です。
しかし、お湯の鮮度感やコンディションは公衆浴場より遥かに優っていますし、なにしろゆとりのあるお風呂で他人を気にせずゆっくりのんびり入浴できる贅沢って、なかなか得がたいものがありますので、もしお財布に余裕があるとき、あるいは複数人で他人を気にせずお風呂に入りたい時にはもってこいですね。


藤田源泉(再分析)
ナトリウム-塩化物温泉 59.5℃ pH7.51 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質10.23g/kg 成分総計10.28g/kg
Na+:3425mg(96.07mval%),
Cl-:4863mg(84.48mval%), Br-:18.7mg, I-:1.5mg, HCO3-:1424mg(14.37mval%),
H2SiO3:151.4mg, HBO2:75.2mg, CO2:54.6mg,

五能線・木造駅より徒歩20分(1.7km)、もしくは五所川原駅より弘南バスの鰺ヶ沢線・出来島線・南広森線・稲垣線で「木造青銀前」バス停下車徒歩7分(550m)
青森県つがる市木造藤田28  地図
0173-42-3232

平日12:00~21:00(受付終了)・1400円/1時間(以降30分延長で700円)
土日10:30~21:00(受付終了)・1600円/1時間(以降30分延長で800円)
ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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