実は祭りの多くは民のガス抜きで始められました。今でいうデモ行為が始まりで、
民衆の不満や中央への抗議を込めて神輿やらで行進したのですが、疫病やら圧政やら
租税など直接物申せぬ相手に行動で抗議したわけですが、時が経て現代ではそんな祭りも
観光的意味合いの方が増してなんだか意味の解らないことになっています。
ただ、こういうことを気にしない人やSNSで触れても抗議や文句の出ない素材として
地域の振興とかプラスのものととらえられていますが、はたしてどうでしょうか。
私は税の使い方とか本当の信仰と権力とか潜む問題を皆共有したうえでやってねという
思いは毎回募ります。
今回のように変則開催になったときにこそその問題点とか考えるべきことが顕わになった
感じです。というのはそもそも疫病退散とか天候不順に対しての祭りだったのにそれを
中止してどうするという気もしましたが、今回の祭り中止は神事としての祭りごとが行われなかった
のではなく、露天商とか花火とかのもともと付帯的に起きる事象を中止したものです。
ですが、一般の人々にはこの付帯事項こそ祭りであり、目的なのです。
というわけで色々な思惑から花火は打ち上げられるらしいのですが、いつもの祭り前の
いや本来の12月入りとは違う雰囲気で至って静かなスタートです。
そんな12月はいつも『第四楽章』の登場です。
毎回どんなブレンドか書いているのでもうご存じの方も多いのですが、
それでもこのクライマックスに登場するブレンドがなぜ第四楽章なのかは
書いておきます。よくある質問でどういうブレンドですかと問う方がいます、毎回
書きますがそういう質問をする人ほど自身がどういう味の珈琲を求めているのか
を明確に表明できないという混迷の部分に突入するのです。
つまりそんな状況の中にある人にこのブレンドの説明がどのように響くのかと
いうことになってしまうのですが、毎回書きますがその時の空気感とか季節の
取り巻くものが醸す気分とそれにマッチした味が今月のブレンドのテーマです。
12月というおしまいの月というのは何かとあわただしい季節というほかに第九の
合唱を聞くという習慣の日本人も多くそのクライマックス感を楽しむ人も
多くいます。そんな一年の最後を飾る本格的な寒さに突入する時に香る華やか
でゆったりと豊かな感じを大事に演出し長く余韻を残すそんな味を大切にしたのが
このブレンドです。音楽のソナタ形式とか第四楽章まである協奏曲の構造と同じに
最初のテーマに戻るという意味合いを込めての命名でもあります。この説明を
書くとさあ12月だという気持ちがこもります。そんなものも込めて豆を焼きます。