向町カフェでランチをした後は、すぐそばの旧山中正吉邸へやってきた。
山中家は、静岡県の富士宮市で酒造業を営んでいた日野商人。
建物は、万延元年から昭和13年に渡り、増改築され、現在の形になったという。
門をくぐると、左手にドイツ壁の洋間の外観が見える。
玄関を入ると、江戸期に造られたという田の字型に並んだ四間が並ぶ。
釘隠しは蝙蝠。
それぞれ、形が違ったもの。
同じ蝙蝠で、それぞれ形を違えてるというような凝り方をしてるのは、初めてかも?
まだ他にも数種類。
毎年5月3日に行われるという日野祭を見物するための桟敷。
ぴったりビルトインされた金庫。
江戸末期から明治初期に増築された座敷のひとつ、だるま部屋と呼ばれた部屋は、丁稚見見習いに読み書きなど教育を行った部屋だそう。
欄間には、珍しく襖が入れられている。
梅が描かれていた。
季節毎に変えられると言われていたような?!
台所のおくどさんは昭和13年に改装されたもので、排煙設備も備えられている為、
全くすすけておらずきれいに保たれていた。
浴室、脱衣所は昭和初期に増築されたもので、
大理石の浴槽に亀甲型のタイル貼り、
椿と鳥が配されたステンドグラスが華やか。
当時、最新設備だったシャワーも完備していた。
脱衣所には、床面には、畳の下にコルクが敷かれていて、防湿面の配慮もされている。
天井は、網代貼りで照明もおしゃれなもの。
新座敷へ。
縁側の欄間には、結霜ガラスが入る。
昭和2年に建てられた新座敷。
お庭を一望できる部屋では、要予約でランチも頂けるそう。
次の間との境には、
細かい桟が入るおさ欄間が入れられている。
障子の引き手も様々で楽しい。
七宝焼で装飾されたものや、
船を引く人が描かれた地袋には、
櫂をモチーフにしたような引き手がついていた。
新座敷から庭園を望む。
次の間。
欄間には、鳳凰の透かし彫り。
結霜ガラスの入った廊下に入れられた建具
大正末期に建てられた洋間。
接客用に使用されていた洋間には、直接入れる専用の玄関もあった。
洋間に敷かれてた絨毯。
扉の向こうは、洋室専用の玄関。
洋館専用玄関と同じく、もう一方の出入り口にあったステンドグラス。
ガラスが膨れ上がって今にも割れそうだった。
増改築されながら、大事に使われてきたお屋敷を堪能することができた。