友人にピアノコンサートの情報をもらって、京都のアトリエ松田さんに伺ってきた。
以前、泰山タイルがすばらしいと聞き、
コンサートの折にでもお伺いしたいなと思っていた。
門柱は、それ自体もタイル貼りだが、
こんな透かし彫りの照明カバーらしきものが、L字型に入れられていた。
アールデコっぽい意匠だが、菊文の一部のようなワンポイントも入り、和の雰囲気もある透かし陶板が、すばらしい。
こちらの建物は、元彫刻家、松田尚之氏の自邸であった建物。
当時、建築にも需要のあった彫刻の仕事の為、武田五一により京都へ招かれた際に、建てられた自邸で、
現在は、お孫さんであり、演奏家、指導者である松田紗依氏によりピアノ教室として、コンサート会場として活用されている。
玄関周りもさまざまなタイルで覆われていた。
玄関に貼られた陶板は、元彫刻家の松田尚之氏が作られたものだそう。
玄関ポーチには、市松状に布目タイルが貼られ、立ち上がりには、布目の鉄赤っぽい釉薬が掛かったタイルが引き締めている。
軒を支える柱の根本には、小石が貼られてるのかと思いきや、こちらも小石のようなモザイクタイルだとか。
こんなタイルは、初めて見た。面白い〜
滑らかで形もさまざま。
玄関ホールは、また違ったタイルで彩られている。
正方形の大小組み合わせのタイルは、
乳白色の大き目タイルと、赤いタイルは辰砂釉?なのかとても美しい発色。
隅の排水口の蓋も美しくデザインされている。
腰壁に貼られたタイルは、地模様にやはり布目が入り、これまたとても美しい窯変が見られる。
朝焼けの空のような、複雑で深みのある色合い。
なんとも言えない美しさにうっとり。
こちらのお屋敷の中で、最も好きなタイルかも。
玄関は、華やかながら抑えめな色調のタイルが組み合わされ、上品に美しくまとまっていた。
お庭に片隅に置かれてたタイルは、お風呂を改装した際に、剥がされたタイルの一部だそう。
お風呂は、木製の浴槽に床や壁などにタイルが用いられていたという。
もう一方にあった出入口の脇には、このようなL字型の塀が設けられていて、玄関ポーチのタイルより少し明るめの透明感のあるブルーのタイルが貼られてた。
そして、コンサート会場になっている元アトリエへ。
8mの吹き抜けの天井、漆喰の壁に囲まれたホールは、アトリエとして使用されていた時から何の音響効果も施されてないそうだが、ピアノの音色もやわらかく響き、演奏者がすぐそばなので臨場感もたっぷり。
ホールの片隅にはタイルで囲まれた手洗いも残されていた。
ライトブルーのモザイクタイルも、一枚一枚表情が違っていて美しい。
ホール内には、松田尚之氏の彫刻作品も飾られていて、音楽を聴きながら
彫刻も愛でることができる芸術空間がすばらしい。
他にも立山の黒部ダムにある殉職者慰霊碑の彫刻も手掛けられたそうで、
アトリエには、その縮小モデルもあったのだが、撮影を失念;
演奏者はこちらのピアノ教室へ子供の頃から通われていたというお弟子さんである大学院生のピアニストのお二人。
会場もお客さまで満席、心温まる素敵なコンサートで、よい午後のひとときを過ごすことができた。
本来はアトリエとして造られたお部屋が、コンサート会場となり、又別の形で活かされているのも素晴らしく、タイルや彫刻と共に音楽も楽しめる空間が、本当に尊いと思った。
今後もこのようなサロンコンサートを開催されるそうなので、又機会があれば
お伺いしたいなと思う。
(写真掲載了承済み、通常非公開)