(bonnobさんからのu-tubeをとりあえずアップします。
大前氏の話は、よくわかりますし、いろいろと問題点が浮き彫りに
されています。単なる評論家ではないところも真実味を感じます。
それにしても、ひどい話ではあるんですね。現実は・・・。
しかし、我々にとってはどうしようもない事ばかりで・・どうすればよい?
シャーナイ? そんなあほな! むちゃくちゃやなぁ~もう・・。
山岡氏のレポート長いですがアップします。 )
地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後(大前研一ライブ579)
以下は、山岡氏のレポートです。
Kazuml Yamaoka 〈kyamaoka@affrc.go.jp〉wrote.
(2011/03/18 18:13)
福島原子力発電所の事故について、日本よりむしろ海外で、原子力分野の専門
家による科学的な解説がネットに投稿されています。添付したものはその一
部です。これらの情報をもとに、学生時代から原子力物理学の分野に関心があ
った(今は全くの別分野ですが)私が理解したことを以下に書かせていただき
ます。主要な解説点は、福島原発では今後なぜウランの核分裂連鎖反応が起き
る臨界にならず、チェルノブイリのような事故になる可能性がないのか、です。
まず、福島原発1~ 3号炉の炉心の核燃料棒も、4~ 6号炉のプールに貯蔵さ
れている使用済みの核燃料棒も、ウランの核分裂は完全に停止しており、 今
後ウランの核分裂が再活発化する可能性はゼロで、いわんや今後臨界に達して
核分裂の連鎖反応が始まることは絶対にあり得ません。その理由は、核分裂を
起こす燃料のウラン235は自然崩壊しにくい(半減期が7億年)放射性物質
で、その核分裂には「熱中性子」が必要です。ウランの原子核に 「熱中性子」
が命中すると、中性子を取り込んだ原子核が不安定になって核分裂し(二つの
別々の原子核に割れ)、そのときに中性子を2~ 3個放出します。その中性子
は極めて高速で、そのままでは他のウラン原子核に命中しても取り込まれずに
眺ね返つてしまうので、連鎖反応は起こりません。そこで、原子炉内では高速
中性子の減速材となる「純水」で核燃料間を満たしてやり、高速の中性子を意
図的に低速の「熱中性子」に変化させ、かつ核燃料棒を密集させて配置して、
「熱中性子」が効率的にウランの原子核に衝突するように設計しています。そ
のように人為的にきめ細かく条件を整えなければウランの核分裂反応(しかも
連鎖反応)は起こらないのです。
運転中に地震に遭遇した1~ 3号炉の炉心には燃料棒が密集していますが、中
性子を強く吸収する性質を持つ炭化ホウ素などでできた制御棒が地震の発生
と同時に自動的に燃料棒の間に挿入され、「熱中性子」が飛び交うことができな
い状態になり、ウランの核分裂は停上しています。また、点検中のため燃料棒
が抜き取られてプールに貯蔵されて↓ヽた4~ 6号炉では燃料棒が十分に間隔を
置いて配置されていて、当然ウランの核分裂は停止しています。 これらのウラ
ンは今後どんなに高温になろうと、仮に(あり得ませんが)着火しようとも、
核分裂はおこしません。
1~ 3号炉の炉心の核燃料棒も、4~ 6号炉のプールに貯蔵されている使用済
みの核燃料棒も、現在の燃料棒からの発熱は、ウランからのものではなく、原
子炉の運転中に副産物として発生した放射性のセシウムや放射性のヨウ素など
の中間生成放射性物質の原子核が「自然崩壊」して発熱しているものです。自
然崩壊は、放射性物質の原子核がより安定な物質に変化しようとして起こるも
ので、自然崩壊の進行に伴って放射性物質の量は減少していき、その分だけ熱
を発生しない安定した物質が増えていきます。ですから今日よりも明日、明日
/岸キナ斉告色角ちりよりも明後日は、燃料棒からの発熱量は放つておいても
減少していきます。
地震時に運転中であつた1~ 3号炉の燃料棒の現在の発熱量は、多く見積もつ
ても原発運転時の7%以下のレベルで、反応炉を点検するために燃料棒をかな
り以前からプールに貯蔵していた4~ 6号炉の場合は、発熱量はもつと低レベ
ルです。したがって、チェルノブイリ原発事故のように、大火災によってウラ
ン燃料に出来する高濃度の放射性物質が大規模広範囲にに拡散する危険性は全
くありません。ウラン燃料(及びウランの核分裂で生成するプルトニウムなど
の不揮発性の中間生成物)は福島原発の敷地内から漏れ出しません。
一方、揮発性がある放射性セシウム、放射性ヨウ素などの中間生成放射性物質
が大気中に放散されており、その漏溢量は多少増減しつつも長い目で見れば減
少する方向です。もし無風ならば拡散した放射性物質の濃度は福島原発から距
離の3乗に反比例します。風向きによってある地域の浮遊放射性物質の濃度
(放射線量)が一時的に増えたり、減ったりすることがあります。燃料棒の発熱量
は放っておいても徐々に減少していきますが、長期間放っておくことは、その間
放射性物質を微量と言えども放散し続けて好ましくないし、火災で鉄筋コンクリート
の強度が落ちて原発の建屋が崩壊するようなことはないけれど、火災が起きれ
ばより多くの放射性物質を放散するし、現場での作業をより困難にするので、
放水など様々な方法で燃料棒の冷却を試みているのです。
福島原発の事故は、現在、チェルノブイリのような重大事故につながる瀬戸際
でもなければ、ましてや制御不能の方向に向かう可能性があるものでもなく、
大きな流れでは確実に収束に向かつているのだけれども、発熱が減少しつつも
続いていることから小規模な火災等いろいろな小競り合いを生じていて、
一時的に周辺地域の放射線量が上昇したりしているのです。
報道は、現在起こっていることにばかり焦点を当てて、専門家もその部分しか
解説しないので、全体が大きくどちらの方向に向かつているのか、国民が一
番知りたいことが見えにくくなっているきらいがあります。事態は収拾の方向に
向かつていますが、20km圏から避難した人たちが元の生活に戻れるまでに
はまだ相当の期間が必要でしょう。その期間を一日でも短くしようと、東京電
力の関係者、自衛隊、機動隊は許容限度内の被曝を受けながら活動を続けてい
ます。さらに東北地方の被災地では、肉親を失い家を失い、途方に暮れ、多く
の関係者が必死に救助活動や生活支援活動を続けている最中です。直接何も支
援出来ない私たちにせめてできることと言えば、冷静に落ち着いて日常生活を
送ることで「私たちの心は被災者とともにある」姿勢を見せることではないで
しょうか。
米国大使館の家族など、在日外国人は、日本語のニュースや新聞記事を理解で
きず、CNNなど海外メディアの情報に頼っているので、浮き足立った避難行
動をとりたくなるのも理解できます。でも、私たちは東北地方の被災者と同朋
の日本人です。自分(の家族)さえ助かればよいとも受け取られかねない在日
′
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外国人の浮き足立った避難行動の真似は、日本人としては避けたいところです。
もう少し、福島原発とチェルノブイリ原発の事故の違いの詳細を知りたい方は、
さらに以下を読んでください↓
まず、福島原発の原子炉の構造は、天然ウラン(核分裂しやすいウラン235を
0,7%、核分裂しにくいにくいウラン238を99.3%含む)を化学処理したガス状
の六フジ化ウランを放射性物質であるウラン235の比率を高めるよう濃縮し、
これを再度化学処理して回形化した酸化ウランが「核燃料」となります。この
ペレット状の酸化ウランをジルコニウム合金製の細長い筒(長さ4m)の中に詰
めた物が「燃料棒」で、核燃料はこの筒で密封されています。この燃料棒を束
ねたものがユニットで、それが何十本も反応炉に入れられており、その全体を
「コア」と呼びます。
まず、核燃料の酸化ウランは一種のセラミック、陶磁器のようなもので、融点
が2800℃ と高く、鋼(1273℃ )、鉄(1447℃ )、 ウラン(1898℃ )、ジルコニウム
(2001℃ )などの金属の融点よりも逢かに高く、2800℃ までは団体の状態を保
ち、核燃料そのものが溶けることはありません。
一方、核燃料の入れ物であるジルコニウム合金は、融点は2500℃ くらいですが、
約1200℃ で酸化触媒反応によつて損傷を受けます。
また、ジルコニウム合金が接触している水は高温下で酸素と水素に分解されます。
(→水素爆発の原因)融点が極めて高くなかなか溶けない酸化ウランのセラミック
そのものが、放射性物質(核燃料のウラン)の放出を防ぐ第一の砦になっています。
ジルコニウム合金の筒が第二の砦で、これらを入れている厚い鉄製の圧力容器が
第二の砦となっています。この圧力容器は、7メガパスカル(=約70気圧=タイヤの
空気圧の30倍程度)の内圧に耐えられるよう設計されています。これがさらに厚さ
15cmの鉄製の格納容器に収められ密閉されています。 格納容器は、さらに一体的
に鉄筋コンクリートの壁で覆われ、これら全体がやはり鉄筋コンクリート製の建屋
(1及び3号炉の水素爆発で吹き飛んだ)で覆われてぃます。
そもそも、コアには炭化ホウ素など中性子を強く吸着する素材で作られた無数
の制御棒が差し込まれているので、その状態で連鎖反応は止まっています。核
分裂の連鎖反応は、ウラン235の核(陽子と中性子の集まり)カミ核分裂して中
性子を2~ 3個放出し、その中性子が次のウラン235の核に衝突して核分裂を
誘発するということがねずみ算的に連鎖的に起こることによつて続行するもの
ですが、放出した中性子が減速して「熱中性子」となり、 燃料棒全体の平均で
1個の原子核から飛び出た中性子のうち1個以上が次の原子核に命中する状態
(これを臨界に達したと呼ぶ)にならないと、連鎖反応は継続しないのです。
もし、コアの温度がジルコニウム合金製の筒が完全に溶ける2500℃ 以上になり、
酸化ウランのペレットの一部が離脱して圧力容器の底に溜まる事態となっても、
〕r;
その部分で2800℃以上にならなければ酸化ウランのペレットが溶けることはあ
りません。鉄製の圧力容器自体の熱伝導で酸化ウランペレットの熱が奪われる
ので、相当大量のペレットが離脱して一か所に溜まらない限り2800℃以上には
なりません。仮に圧力容器が破れたとしても、 その外には厚さ15c mの鉄製の
格納容器とそれを覆う鉄筋コンクリート製の壁があります。
だから、核燃料の酸化ウランそのものが格納容器の外部環境に放出される可能
性はありません。
チェルノブイリ原発の大事故は、その構造が格納容器のない「黒鉛炉」であつ
たため、起こつたものです。黒鉛炉は、減速材に大量の黒鉛を用います。 この
黒鉛は高温下で可燃性のため、これに引火して大火災を起こし一週間燃え続け
たうえに、格納容器がなかつたために圧力容器の爆発によって核燃料がいきな
り外界に剥き出し状態になったことから、大量の放射性物質が上昇気流に乗つ
てまき散らされたことが大惨事となった原因です。
福島原発は炉心周りに可燃性の物質がほとんどないので、すぐに鎮火できない
ような大火災になる可能性はありません。
一方、一時、圧力容器内の圧力が高くなりました。本来は減速材の純水を循環
させたり(その過程でタービンを回して発電する)、冷却装置で冷やすことによ
つて圧力の調整を図りますが、福島第一原発の1~ 3号炉ではその両システム
が機能しなくなったので、その圧力を減圧するために圧力容器内の水蒸気混じ
りの空気を放出しています。この空気には、核燃料のウランではなく、ウラン
が核分裂したときに発生する微量の放射性セシウムやヨウ素、 あるいは半減期
が極めて短い放射性の窒素などが混入しています。最初、東京電力はこれらの
放射性物質を外界に放出することをためらい、ある程度建屋の中に閉じ込めよ
うとしたものと思われます。その結果、圧力容器内で発生した水素が建屋の屋
根裏に溜まり、それに引火して水素爆発を起こしたと見られます。
通常の原発運転時には、圧力容器内で発生した水素と酸素を反応させて再び水
に戻すシステムが機能していたのですが、事故の発生によりこれが機能しなく
なったか、あるいは減速材の純水が減少してコアの上部が水面から露出したた
め、高熱の水蒸気がジルコニウム合金管に接触して水素の発生が活発化して予
想以上の水素が建屋の屋根裏に溜まってしまったものと思われます。
最初から多少の放射性物質の放出をやむなしと判断していれば、建屋の内部を
外界に開放して水素爆発は防げたものと思われます。
この微量の放射性セシウムやヨウ素、あるいは放射性の窒素などが混入した空
気の放出の目的は圧力容器内の減圧ですから、減圧に成功すれば放出を止める
ので、放出自体が長期化することはありません。大事なことは、ウラン燃料本
体を外界に出さないことで、ここがきつちり守られていれば、水素爆発で建屋
けイーが吹き飛んでも、一時的に放射性物質が漏れても、やがて事態は収束に向かう
ので騒ぐ必要はないのです。
最後に海水の注入についてですが、これももつと早く決断すれば燃料棒が水面
から露出せずに、効果的に冷却して圧力容器内の圧力を容易に制御できたと思
われます。通常、炉心を冷やす水(=減速材を兼ねる)は不純物ゼロの「純水」
が用いられます。それは、炉心から出てくる中性子線という強い放射線が水の
中を買くとき、不純物のない純水ならば水分子しかないので、様々な放射性物
質が作られることがないけど、不純物が混じつているとそれに中性子線が当た
つて様々な放射性物質が生成されるからです。海水は、塩分はもとより不純物だら
けなので、炉心への海水の注入は大量の有害な放射性物質を作ることになって
しまいます。その海水が外界に漏れれば国や世間の批判を浴びるでしょう。ま
た、圧力容器内の多くの部品が海水(と高温)によつて錆びて使い物にならな
くなるでしょう。それらのことを恐れて海水の注入を躊階したと考えられます。
史上最強クラスの巨大地震、さらに未曽有の被害をもたらした大津波による冷
却システムや電源システムの破壊、さらに少量でも「被曝」を絶対悪とみなす
世間からの圧力、政治的な(あるいは省庁再編で原子力を推進する立場の経済
産業省資源エネルギー庁の下部組織となっていた原子力安全・保安院カミ監督官
庁としての機能を十分に果たせなかったという行政的な)対応の未熟さ、対応
策の判断の若子の遅れ、がんじがらめの様々な基準、そういたネガティブな要
素がいくつも重なつたことが、不幸と言えば不幸だったのだと思います。
今現在の作業や状況の多少の変化に一喜一憂することはやめて、また、現場の
東京電力関係者の努力に力を合わせていくためにも、情報開示が遅いなどとい
ちいち批判することはやめて、さらに、不要不急の関西方面や海外への退避な
どは謹んで、事態の推移を冷静に見守りながら、落ち着いて日常生活を送ろう
じゃありませんか。
* 一* 一* ― * 一* 一* ― * 一* 一* 一* 一* 一* 一* 一* ― * 一* ― * ― * 一* 一* 一*
山岡 和旅屯 (Kazumi Yamaoka, PhD)
国際農林水産業研究センター(」IRCAS)
研究戦略調査室調査コーディネーター
〒305-8686つくば市大わし1-1
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