蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

集団的自衛権  (bon)

2013-12-03 | 日々雑感、散策、旅行

突然ですが、今般再び新しい局面を迎えようとしている話題から・・・

憲法9条(戦争放棄)の下で、いかに集団的自衛権を行使できるか? の解釈に向けて今般政府試案が
政府の有識者会議に提出されました。

現状は、1981年5月29日の政府答弁で、「憲法9条の下において許容されている自衛権の範囲を超えており、
憲法上許されない。」 と整理されています。 で、今回の試案は、従来の憲法解釈を真っ向から否定するのではなく、
最小限の解釈変更で対処できる案としている。

 

 このテーマについて、先月届いた会報に、「谷口将紀氏(東大大学院谷口研究室)」の論文
「集団的自衛権をめぐる政治家と世論」 が掲載されていました。 
10年に亘る衆参両院選挙ごとに、政治家と一般世論に対する調査結果示され、論評されていましたので、
以下には、論文の部分抜き読みの形で引用したいと思います。

 「国会議員全体としての政策位置の変動要因には、個々の政党内での変化による場合と、各党間の
力関係の変化による場合が考えられる。 例えば、図1は “当面は財政再建のために歳出を抑えるのではなく、
景気対策のために財政出動を行うべきだ” という質問に対する衆議院議員の賛否を示したものであるが、
同じ自民党であっても、2005年には財政出動反対派が賛成派を上回っていたのが、逆に2009年以降は
賛成派が反対派を圧倒しており、こうした自民党内の変化が国会議員全体の分布にも影響を及ぼした。」

         谷口将紀氏論文から)


 「集団的自衛権についてはどうか。 図2は、“憲法を改正するか解釈変更して集団的自衛権を行使できる
ようにすべきだ” という質問に対する回答の分布である。 基本的に自民党は賛成寄り、民主党は反対寄りの
議員が多く、それぞれの選挙期における国会議員全体の政策位置の変化は、主に各党の議席の増減を反映している。
ただし、自民党議員はもとから集団的自衛権を行使可能にすることに比較的前向きであったところに、
2009年調査以降は特に純化傾向を強めており、前回2012年総選挙の当選者では賛成266-反対1-中立9、
今回の参院選の当選者では賛成42-反対1-中立17 と賛成派が圧倒した。」
「だから、今回の参院選における自民党の大勝は、人々が集団的自衛権に関する憲法解釈変更にゴーサインを出したことを意味するのだろうか?」

「一方、世論調査も毎回実施している。(中略) 今回の調査結果は、集団的自衛権への賛成派39%に対し
反対派21%と賛成が上回った。(中略)  ところが、朝日、読売新聞らの独自の定例世論調査では、
集団的自衛権に関する憲法解釈変更に、賛成派27%、反対派59% と全く逆の結果が示された。(中略) 
恐らく、二つの異なる調査結果は、各調査の質問文の違いに由来する。そして、
この点こそが集団的自衛権に関する世論の所在を考察する上で、有益なヒントを提供してくれる。(後略)」


 「図3には、2012年衆院選から同一人物に対するパネル調査で、昨年末から約7か月の間に集団的自衛権に
関する人々の意見の変化を示している。 
集団的自衛権を行使可能にすることに賛成する人は、45%から
6ポイント減少した。 (中略) 賛成派が以前優勢であるが、意見の変化においては慎重な方向へ統計的有意な
動きが認められる。」

          (谷口将紀氏論文から)

「今回の参院選で自民圧勝をもたらしたのは、“ひとまずは数字を残した安倍政権に寄せる本格的な
景気回復への期待”であって、アベノミクス各論、まして集団的自衛権問題に対する関心、理解はいまだ
十分とは言えない。 さりとて、調査データが示しているところは必ずしも反対一色でもない。」
 「選挙結果からもはや結論が出たものとして扱うのではなく、賛成派、反対派それぞれの立場から討議を深め、人々の関心を高めて行くことが現下の要請、と考えるべきであろう。」 と結ばれています。

 

 中国、韓国の最近の傍若無人的な言動・態度から推し量れば、集団的自衛権の解釈に苦しいピッチングでしばらくは持ちこたえなければならないとしても、そろそろ憲法96条に始まる一連の処理は、やはり急ぐべきなのかもしれない・・。

 

  

 

 

 

 

 

コメント (1)
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