毎日、エアコンのお世話になっています。
夜が涼しくなればいいですが、そうではなく熱帯夜が続いたりすると、もうエアコンはフル運転です。
このおかげで、先日、喉を傷めて、微熱が引かず、抗生剤を5日続けて飲んでようやく回復しました。
自身はこんな失敗談ですが、原発ストップのこの夏の電力は、本当に大丈夫なのか? 一時の緊迫した電力問題は、
最近では全く報道すらありません。
電力会社は、電力供給が滞らないための工夫と努力がなされているのだと思いますが、電気料金はどの電力会社も
先ごろ値上げして対策を取っているのですね。
何となく理解しているつもりでも、はっきりとなかなか分かりずらい電力供給の裏側について、例のH氏から配信された
情報に分かり易い解説と対策がありましたのでご紹介したいと思いました。
シェールガスについては、このブログにもmakの記事などに紹介されていますのでご参考にしてください。
本文に入る前に、ご参考まで・・・。(大部分のピンクがLNG、その上の紫が原子力です。)
(環境エネルギー政策研究所より)
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2014年7月29日号 p80-82
「電気料金を下げる新手法 LNGはスポットで買う」 岩間 剛一(和光大学経済経営学部教授)
【要旨】現状では、日本国内の電力供給の大部分は火力発電によるものだ。火力発電に使用されているのは、
そのほとんどが液化天然ガス(LNG)で、96%を輸入に頼っている。その輸入において、「高値づかみ」が問題視されている。
電気料金の高騰や貿易赤字の拡大につながるからだ。しかし、実は必要に応じてその都度購入するスポット契約での
LNG価格は世界中で下落傾向にある。安く買えるにもかかわらず、日本が高く買わざるをえないのは、
安定供給を見込んで、決められた価格での長期契約を結んでいるから。本記事は、そうしたLNGをめぐる海外と日本の
現況をリポートし、日本が安定供給の“神話”を捨ててスポット購入の比率を上げるべきと提言している。
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液化天然ガス(LNG)のスポット価格が下落している。LNGを海外から購入する場合、10~20年という長期間、
決められた価格で買う長期契約と、必要な量をその都度市場から調達するスポット契約の主に二つの調達方式がある。
そのスポット価格がいま急落しているのだ。2014年2月に100万BTU(英熱量単位)当たり20.5ドルという過去最高値を
付けたが、7月は逆に同11ドルとほぼ半値にまで暴落した。需要減退と供給増が同時に起こっているからだ。
しかし、日本の電力会社が輸入するLNGの8割は15~20年超の原油価格連動の長期契約。このためスポット市場での
安さを享受できない。もし電力会社が調達するLNGの大半をスポット価格で調達できれば、電気料金を大幅に下げられる
だけでなく、国全体で年間7兆円に達するLNGの輸入金額を大きく抑え、貿易赤字を減らすことができる。
LNGのスポット価格が低落している一つの要因は、欧州諸国における3年連続の天然ガス消費量の減少が挙げられる。
欧州の電力会社は太陽光など再生可能エネルギーの一定量の購入が政府に義務づけられている上に、景気低迷による
電力需要減退もあり、発電事業の採算性が悪化。このため、欧州の電力会社は燃料価格が天然ガスより割安の
石炭火力発電所の操業率を引き上げている。この結果、欧州諸国で天然ガスの需要が低迷しているのだ。
アジアでも需要減退が起きている。日本に次ぐLNG輸入国である韓国で、停止していた原子力発電所の再稼働が始まり、
今夏のLNGのスポット購入意欲が鈍化。中国も景気減速でLNGの積極的なスポット買いが減少している。
一方の供給面では、この5月にパプアニューギニアの日本向けLNG輸出が予想より早く始まっている。さらに
ナイジェリア、アルジェリア、エジプトなど欧州向け販売を見込んでいたアフリカ諸国のLNGも行き場を失い、
売り先を求めている。
他方、日本は天然ガスの96%を海外からの輸入に依存し、すべてがLNGである。その7割は発電用の燃料として
利用される。原発の稼働が14年7月時点でゼロであることから、LNG火力発電をフル稼働させてこの夏を乗り切ろうと
している。そのため、日本のLNG輸入量は急速に増加し、LNG価格は100万BTU当たり9ドルから同18ドルへと上昇した。
これと相まってLNGの輸入額は、東日本大震災前の3兆円から7兆円超へと拡大している。
資源エネルギー小国である日本は、LNGの安定供給を金科玉条として、15~20年を超える長期契約としている。
しかも、契約条項は原油価格連動となっている。
原油価格連動の長期契約としている理由の一つは、1970年代の石油ショックで、石油火力から天然ガス火力発電に
転換した歴史がある。当時はLNG市場価格というものが存在しなかった。そのために原油価格を指標としたのである。
もう一つは、LNGの安定供給という観点から、LNGプロジェクトの経済性を維持するために、原油価格連動が
妥当とされたのである。LNGプロジェクトは、上流ガス田の開発から液化プラントの建設、専用タンカーの建造、
受け入れ設備に至るまで、兆円単位の資金が必要だ。この巨額の資金調達を確実にするためにも原油価格連動の
長期契約が必要だったわけだ。
確かに、石油代替としての天然ガスの安定供給、LNGプロジェクトの安定的な推進から、原油価格連動は、
原油価格が低位安定していた時代には意味があった。熱量換算で比較しても、原油価格と天然ガスの価格は、
21世紀初頭にはほぼ等しかった。しかし、現在は原油価格が天然ガス価格(北米価格)と比較して5倍に拡大し、
LNG価格と原油価格をリンクさせる意味が事実上失われている。
この背景には、(1)輸送用燃料や石油化学原料として利用される石油と、発電用燃料が主となる天然ガスの用途が
完全に異なっていること、(2)すでに3年を超えて原油価格1バレル=100ドル超時代が続いていること、
(3)米国におけるシェールガス革命により、北米の天然ガス価格が下落したこと、などがある。
一方で、イラク情勢など政情不安が常態化する中東情勢から、今後も原油価格が大きく下落する可能性は低い。
当然、原油価格連動方式を取る日本の輸入LNG価格も上昇しており、14年8月時点で日本のLNG購入価格は
100万BTU当たり20ドルを突破した。
これに対して、LNGスポット取引は、LNG輸出国と日本との個別交渉とLNGそのものの需給関係で決まり、
原油価格の高騰はまったく関係ない。
米国のシェールガスを原料とした複数のLNG輸出プロジェクトがこれから操業を迎える。豪州のイクシスLNG、
ロシアのウラジオストクLNGなど、日本へのLNG輸出計画も目白押しの状況だ。17年以降には米国とカナダから、
日本が消費するLNGの3分の1に相当する年間2500万トンのシェールガス由来のLNGが日本に入ってくる。
これまでの「長期契約+原油価格連動=LNGの安定供給」という固定観念は、LNGの高値づかみにつながるだけである。
中国はこの5月、ロシアや石油メジャーの英BPとの間で、欧州諸国並みとなる同10ドル前後の価格で天然ガスや
LNGの購入契約を締結している。ロシアとの契約交渉は実に10年越しで、18年から30年間にわたり、日本の
長期契約の4割以上安い価格で購入する。つまりスポットでなく長期契約でも交渉しだいで安く買えるのだ。もはや、
割高なLNGを買っているのは日本だけだ。
LNGは、今後も余剰感がある。長期契約からスポット取引への転換を行っても、安定供給を損なう可能性は極めて低い。
確かに、LNGのスポット取引は、常にLNGの売り手を世界中で探し回り、個別の契約交渉を行うという手間がかかる。
その点では、15年の長期契約を行っておけば、毎月LNG輸出国との交渉に時間を割く苦労は省けるだろう。しかし、
日本の電力企業は、20世紀の遺物ともいえる、「長期契約=LNGの安定供給」という神話に安住すべきではなく、
企業と消費者の利益と国富の流出を縮小するために、今すぐにでも割安なLNGのスポット取引の割合を引き上げるべきである。 (週刊エコノミスト購入リンク http://www.weekly-economist.com/)
コメント: 日本の「LNG高値づかみ」は、単に(LNGに頼らざるを得ないことで)足元を見られているのではなく、
電力企業の取引が柔軟性を欠いているということなのだろうか。スポット取引によって安定供給が損なわれるというリスクと、
高値づかみによって経済に悪影響を及ぼすリスクがあるならば、両リスクを十分に吟味すべき。そのうえで長期と
スポットの比率を考え、リスクを分散するのは当然のことだろう。我々としては、米国のシェール革命などによる
安定供給も見込めるLNGについて、単純に「高いからダメ」と判断するのではなく、「なぜ高くなっているのか」という背景を
しっかり認識しておく必要があろう。
Copyright:株式会社情報工場
全くローカルな話ですが、私の住む集合住宅の管理費等の見直し、削減対策をチームで先ごろ検討することに
なりましたが、その中に、共用部分の電気料金(エレベータ、ポンプモーター、共用部照明などの電気料金)負担を
下げる項目がありました。
照明部分は、LED化することによる電気料金削減効果が認められますが、動力部分については、“電子ブレーカ” 導入に
よる料金削減を結論付けました。
電子ブレーカを設置することにより、電力会社との契約電力量が低く設定でき、その分料金削減につながるのです。
なぜ、電力量が低く契約できるのかといえば、これまでの契約では、動力部分、つまり、エレベータ、ポンプ、自動ドアなど
の所用電力をそれらが同時に起こる場合を想定して、すべての電力を合算した電力量での契約だったのですが、
しかし、これらがすべて同時に起こる確率はそれほど高くないため、合算した電力量の7~8割で契約する。
この低い電力量で契約することで料金削減が出来るのです。
で、この低い電力量で契約して、かりにこれらが同時に起こって、契約電力量を一時的にオーバしても、即ブレークしないように一定時間(短い)オーバフローを許すように設計されているのが “電子ブレーカ” なんですね。
電力量を削減する方法ではありませんが、料金削減の方法でした。