御嶽山は、大変なことになっています。 私は、19年前(1995年)に登頂しましたので、他人事のようには思えません。
ただただご冥福を祈るばかりです。
うつ病というのは、症状は似たものであっても、その原因は多岐にわたるという。一般に医学の世界では、
原因が特定されて初めて病名が決められるそうですから、“うつ病” は、正しくは “○○病” ではなく、“○○症候群”
ということになるらしいのです。 しかし、ここでは、平たく “うつ病” ということにします。
で、この “うつ病” は、増えているのか?
普通に考えると、世の中の複雑性はますます厳しさを増していますし、生活スピードも早まっていて、ややもすると
ついて行けないことがあるなど、何かとやりにくい、うまく行かないことも多く、時には落ち込んで気弱になることも
やむを得ないのかも・・。 このような社会情勢では、増えて当然・・? スローライフ、やすらぎ、癒し・・などの言葉が
目につく裏側には、反面する事柄がそれだけ多いということかもしれません。
厚生労働省の統計データでは、図にありますように、国が3年に一度行う受療者数の調査では、確かにこの10年で
倍増しています。
うつ病・躁うつ病総患者数推移
(厚労省患者調査より)
(図の色別については気にしないで・・・)
しかし、これは受療した人だけを調べたものですから、それまで受診しなかった人のうつ病受診率が高まったから
かもしれません。 見かけ上増加したのであって本当に増加したのかどうかはこれからでは結論できず、
現在進行中の “地域疫学調査” の結果を見なければわからないという。
しかし、正確には把握できないかもしれないが、都市部の駅前には、大体 “メンタルクリニック” があり、
若い人たちも通っているらしいと聞けば、やはり感覚的には増えていると思わざるを得ないと思います。
樋口輝彦氏(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター理事長)によれば、“臨床現場の実感、企業の方々の
実感を併せ考えると、うつ病が増えていることは間違いないように思われる”。 この増加の原因は、“うつ病の概念
あるいは診断基準が変わったから”、“社会全体がストレス社会になり、うつ病に罹患しやすくなったから”、
“うつ病の啓発が進み、受診に繋がるようになったから” など色々と議論されているという。また、“うつ病による
コストを計算すると年間、2兆数千億円のコストが発生するので、国としても対策を考えなければならない。”
と警鐘を発しています。
最大の対策は、やはり企業社会において必要ではないかと思います。 私はどちらかというと楽観的な方
ではないかと思っているのですが、 過去の個人的な感想から、 “社内風土が、どちらかといえば、殺伐としてきている”、
“上司に余裕がない”、“本音で付き合えない” みたいな感じが否めないと思いますがいかがでしょうか?
少し短絡的ですが、このような風土から、うつ病患者は生まれやすくなってくるのではないでしょうか。
上司との問題で、うつ的な症状を呈する社員がいますが(昔もいましたが)、この場合のうつ症状は、“うつ病”の場合と
“適応障害” とがあり、これらは全く違いますから、対処方法も異なるので注意が必要です。
ここでは、うつ病について話を続けますと、社員がうつ病に患ったならば、“場合によっては、薬物の長期服用が
再発防止になる”、“また、心理療法、特に認知行動療法が再発防止に有効である” と述べられています。
さらに、“復職の前段で、リワークプログラムを受けることも効果的である” など、研究が進められているといいます。
また、先の国会で、“ストレスチェック義務化法”(改正労働安全衛生法)が成立したとのことで、今後、会社の
定期健康診断でストレスチェックを行うことが義務付けられるそうです。
成果主義も結構ですが、やはり、こころの健康を犠牲にすべきでは決してないのです。