政府・与党は一昨日の政策懇談会で、来年度予算を、一般会計総額を101兆4567億円と
する予算案をとりまとめ、閣議決定の上、年明けの通常国会に提出する運びとなりました。
予算案は当初予算としては過去最大で、初めて100兆円の大台を超えますが、これは、
来年10月の消費税増税に伴う景気対策費約2兆円のほか、幼児教育・保育無償化や高齢化
に伴う社会保障費の増、さらに防衛費も700億円増の約5.2兆円となり、いずれも過去最大
となります。
2014.4.1に消費税は5→8%になりましたが、この時点で、消費税10%は、2015.10の
予定でした。それが、景気低迷等の理由で、2017.4実施からさらに延期されて、いよいよ
来年2019年10月実施となりました。
(ネット画像より)
5から8%に増税した時、GDPの6割を占めるといわれる個人消費が、実施直前3か月は、
駆け込み需要などで、プラス1.9%だったのが、増税後の3か月はマイナス4.6%に落ち込む
などの影響がありました。今回は、これを何とか是正するための景気対策が必要だとして
新たに予算化されているのです。 そしてそれは、来年7月の参院選をにらんで、消費増
税のイメージを少しでも和らげようとの“苦肉の策?”ともとれるような、チマチマと
した対策が並べられているのです。
消費税が10%に引き上げられますが、飲食料品など日常生活品などには、これまでの
8%とする軽減税率を適用することとするほか、キャッシュレスでポイント還元やプレミ
アム商品券など、いずれも混乱を招きかねないような策が検討されていて、とても一般
国民向けの対策としてふさわしくないように感じましたので、間違っているかもしれま
せんがブログ記事としてアップしてみました。
財務省HPに、軽減税率適用対象となる飲食料品の範囲が示されていました。
(財務省HPより)
図からわかりますように、普段購入している飲食料品やテイクアウトする飲食料品は
軽減税率対象(水色に塗られた部分)となりますが、外食、つまりレストランでの食事
やケータリングなど(白抜き部分)は、役務の提供なので標準税率(10%)となります。
また、セルフサービスや屋台でも椅子等がある場合や、コンビニのイートイン、カラ
オケボックス内での飲食、学生食堂も役務提供なので10%。 酒類は10%。
宅配、学校給食は外食に当たらないとあり、また、公園のベンチでの飲食、テイク
アウトも外食ではないとしています(8%)。
医薬品、医薬部外品等は標準税率(10%)です。栄養ドリンクは医薬品、医薬部外品の
ものは標準税率、単なる飲料水ならば軽減税率です。 また、贈答用の包装、保冷剤、
送料などは標準税率。
スーパーなど肉、魚の切り身などがトレイに入った状態では、軽減税率ですが、トレイ
だけを仕入れる場合は標準税率となります。 給食は、1日1920円までなら軽減税率ですが、
それ以上は標準税率となります。
新聞は、週2回以上発行されていて定期購読の場合は、軽減税率が適用されますが、コン
ビニ等での一部売りは、定期購読でないので標準税率。また、インターネット新聞はなぜ
か役務とみなされて標準税率です。
また、取引時の用途によって下図のように適用税率が異なっています。
(財務省HPより)
図では、食品表示法上の食品は、軽減税率適用ですが、同じ水でもミネラルウオー
ターは軽減、水道水は標準、アジ(魚)は軽減、熱帯魚は標準、食品用重曹は軽減、掃除
用重曹は標準であるということを示しています。
大変分かりにくいですが、実際、どのように運用されるのでしょうか? 店員さんも
勉強しないといけませんが、果たして十分やってゆけるでしょうか?
この他の対策がさらにチマチマしている印象があります。
キャッシュレス購入時のポイント還元です。クレジットカードや電子マネー、スマート
フォンなど現金を使わない「キャッシュレス決済」の場合、中小の店舗での買い物は5%分
のポイント、コンビニでは2%、百貨店や大規模店では0%(還元なし)で、これらが
適用される期間も限定され、来年10月1日から9か月間に限られます。
さらに、プレミアム付き商品券の発行が検討されているようです。プレミアム付き商品
券とは、自治体などが発行する商品券で、その購入額に一定のプレミアムを上乗せした
もので、例えば上乗せ率が3割の場合、1万円で購入した商品券で1万3千円分の買い物
ができるというものです。で、この商品券は、購入できる世帯年収を400万~500万円程度
を上限として(財政支出を抑えたい考え)、住民税非課税世帯などの低所得世帯ほど上乗
せ率が高くなるよう配慮するのだそうです。
上乗せ分の費用は国が31年度予算に盛り込むようです。
8%から10%への増税分(5兆円)の使途について、「財政健全化」に2兆円、「教育の
無償化」に2兆円、「社会保障(医療・年金・介護・子育て支援)の充実」に1兆円を割り
当てることが決まり、消費増税の使途変更(教育の無償化に2兆円)により、2020年度を
目標としていたPB黒字化については「困難」であると明言したとありました。
長々と、お付き合いくださいましたがもうちょっとです。
ネットを見ていますと、ウイキペディアに「日本の消費税の歴史」という項目があり、
詳細に記述されていて、その流れが興味深く読み取れますが長くなりますので割愛し、
要点だけをピックアップしました。
1969年に東京都知事に当選した美濃部亮吉が、高齢者の医療負担の全額無償化を行った
ことから、高齢者の医療費無償を求める運動が起こったのが始まりで、1973年、田中角栄
が70才以上の老人医療費の無料化を実施するなどして、以降、財政赤字から赤字国債発行
へとつながり、歴代総理大臣らは、消費税の導入を打ち出していたが実現せず、とうとう
1988年(昭和63年) に、導入論議から約20年後の竹下内閣の時に消費税法が成立するの
です(3%)。
翌年(1989年)村山内閣で消費税率を3%から5%へ増税提案があり、これを受けて、
ずっと後年の1997年の橋本内閣で5%が実施されるのです。 そして、2012年野田内閣で、
2014年4月1日に8%へ増税する法律が成立し、翌年、第2次安倍内閣で、閣議決定し、
2014年4月1日に消費税は8%となりました。
最後です。
20年以上も、何度か消費税導入について提案されるも、選挙で敗北する経験から、思い
切った政策がとれず、財政赤字が膨らむ一方で、いよいよ行き詰まり状態に入り、強い与
党の内に何とかするべき・・との決意は、分からぬでもないですが、何故ここまで、御身
大事で引き伸ばしてきたのか、底辺に流れるエゴによる結果なのでしょう。
世界的に見ても、日本の消費税率は、それ程でもないし、何も横並びが良いとはいいま
せんが、もっと、20年以上も時間があったわけで、正面からその必要性を訴え続ける勇気
と英断がそこにはなかったということなのでしょうか。