大相撲秋場所の千秋楽は、初土俵からわずか18場所の若い力士が優勝してしまう
のではないか、新大関の勝ち越しは…、前頭上位力士の小結昇進は…など久し振に
緊張した面白い場所でした。
ちょっと見慣れない言葉です。どこかに新しいスーパーマーケットが出来たみ
たいですが、そうではありません。 新しい未来型の情報ネットワーク、つまり
情報インフラのことなんです。
現在でもスマホなどで、情報は十分堪能できている‥という方も多いかと思い
ますが、例えば自動運転や遠隔医療、更にはメタバースなどがどこでもできるため
には、この情報インフラ「IWON(アイオン)」が必要だというのですね。
(NTT R&Dより)
こんなの当面自分には関係がないや!・・と思われるでしょうね。そうですね、
先に、拙ブログ「Society5.0」(2023.9.11 2週前)で少し触れましたが、内閣
府の政策閣議で決定された『第5期科学技術基本計画』の構想は、2050年頃の社会
のあるべき姿を描いていますから、もちろん私などがあちらに行ってからの話で
あるのですが、この未来社会を実現するための情報インフラとしてのIWONを構築
するための主要な技術的内容について(ほんのサワリですが)触れようとしてい
るのです。
これらの技術はおおむね2030年をメドに具体化しようというのが一つの目標なん
ですね。えっ、まだ7年もある! 私あたりは、この具体的な技術のハシリすら、
あちらから見ることになるのかもしれません。
IWONとは、Innovative Optical and Wireless Networkの頭文字をとったもの
でちょっと難しいですが、日本語の意味は、光や無線をベースとした、革新的な
ネットワーク構想といえるでしょうか。光や無線に着目して、①今よりも低消費
電力の実現、②データ(情報)伝送速度の向上、③データ伝送遅延を少なくする
など、より高規格なネットワークを目指しているのです。
①は今よりも100倍効率化、②は現在の速度を125倍、1つの光ファイバーで
1,000Tbit/sを目指す、③の遅延は200倍減らす などが目標だとあります。
これってどういうことかといえば、その前提として考えられているネット―ク
というのが、「デジタルツイン」つまり「双子のデジタル」と呼ばれる、いわゆ
る二重構造のネットワークなんですね。先の、Society 5.0のところの「サイバー
空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムに
より、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」を
目指すため、このネットワークは、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合
させた・・いわば双子のネットワークを構築しようとしているのですね。
総務省のHPからデジタルツインの概要を下記に引用します。
インターネットに接続した機器などを活用して現実空間の情報を取得し、サイ
バー空間内に現実空間の環境を再現することを「デジタルツイン」と呼び、現実
世界と対になる双子(ツイン)をデジタル空間上に構築して、モニタリングやシ
ミュレーションを可能にする仕組みの事を言うとあります。
デジタルツイン
(総務省HPより)
もう少し詳細な図として、NTT研究所のHPから引用しました。
IWON構想 (デジタルツイン・コンピューティング)(NTT研究所HPより)
デジタルツインによって、現実世界のリアルタイムな監視やシミュレーションを
サイバー空間と連動が可能になり、業務を効率化することができる。 たとえば、
デジタルツインを製造業や建築業の企画・設計段階に導入すれば、デジタル空間上
でシミュレーションできるため、実際にプロトタイプを製作しなくても各種試験の
実施ができるので、コスト削減と製品開発時間の短縮ができる・・などのイメージ
です。
このようなことを実現するため、上述した①低消費電力、今より100倍効率化は、
サイバー空間と現実空間を繋いで行く過程を考えても大幅な効率化が必要である
のです。SDGsの視点からも当然ですよね。②の伝送容量を向上(125倍)する は、
これだけ多くの通信のやり取りがあるのですから、より高速化、より多重通信化
する必要がある ③自動運転や遠隔医療を実現するためには、情報の遅延が極力
小さいことが必要でこれを現状の200倍短縮するとしているのですね。
イマイチぴんと来ない・・かもしれませんが、仮に、車の自動運転を想像して
みますと、車は、共に走っている他車のスピードの変化などの走行状況の他、周囲
の状況を常に監視し、安全を確保しながらハンドル操作や速度などを調整している
わけで、それこそたくさんのセンサーからの情報を受けて安全走行を実現するで
しょう。この時、多くのセンサーからの入力を即座に判断して走行指示を出すこと
になりますから、情報に遅延があると安全走行はできないですね。
車の自動運転の例
(政府広報オンラインより)
また、道路に自動運転車がたくさん走っている場合には、各車からの多くの情報
が同時に送受されていることになりますから、同時多重処理が必須となりますね。
現在、5Gの日本における人口普及率は、2022年で全国の人口カバー率93.2%
とあり、23年末で95%とされていますが、5Gの企業利用面でみると、あまり活用
(試行を含めて)されていないようですが、これは一つには、企業からのニーズが
高い低遅延通信などの技術が実用化できていないことがネックになっているとあ
ります。
この新しいネットワーク構想「IOWN」は、2019年5月にNTTが発表していて、
「beyond Internet」「beyond 5G」などとも呼び、インテルやソニー、との共同
研究を経て推進されています。NTTは、2028年までの5年間で、「IOWN」や
データセンター(DC)などの成長分野に約8兆円を投じる中期経営計画を発表
しています。今年は1兆円とあります。
IOWNの推進には、NTT、インテル、ソニー、トヨタなどの出資企業をはじめ、
NEC、富士通、マイクロソフト、エリクソン、三菱電機などの他、金融機関など
複数の会社が参加しています。
話は変わりますが、今からちょうど30年ほど前に、関西のK市の未来プロジェ
クト「30年後のK市の姿」にメンバーとして参加した時、情報通信の視点からその
未来を描いた作文を提案したことを思い出しました。このような新しい未来構想を
描く時って、30年後・・というのがやはり頃合いなんでしょうか。
記事の主な内容は以上ですが、ここで、ちょっと補足をしておきたいと思います。
<その1> IOWNと5Gの違いはなにか? まず、視点が違っています。前者はネッ
トワークのインフラ構想であるのに対して、後者は通信規格なんですね。1G、2G、
3G、4Gと進んで速度や通信方式を表しているのです。 5Gの次を目指す上で新し
い構想に基づく通信インフラによってこれまでの「限界」を打破しようとする構想
がIOWNなんですね。
<その2> コグニティブ・コンピューティング(CC:Cognitive Computing)
という言葉があります。難しいですが、学術的・方法論な意味合いとして「自律的
な推論と知覚によって脳のメカニズムを模倣した計算知能を実装するシステムと
方法論」を指し、AI(人工知能)やニューラルネットワークなどの技術も広く含ん
だ言葉として使われています。
また、技術の用途や目的に合わせた意味合いで、マーケティングツールやITサー
ビスとして「人間の意思決定を支援する人間とのコミュニケーションに特化した
知的システム」を指すことがあります。 「コグニティブ(Cognitive)」とは、
本来「認知」「認識」という意味で、ここでは「人間が行う認知的タスク」を支援
する技術として使われています。
何か凄いことになりそうな感じがしますね。(拙ブログ記事の中では、コグニ
ティブ・コンピューティングという言葉は出てきていません。)
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