チョット発音しにくい感じですが、ペロ・ブス・カイトと何度か言ってみてくだ
さい。すぐに慣れてすらすら言えるようになります。 何のこと? 次世代太陽
電池を目指して開発中の技術・製品なんです。 なんだ・・太陽電池か! と払拭
しないでください。
2009年に日本で生まれた新しい技術で、現在実証実験中だそうです。成功すれば、
炭素資源にこだわる必要がなくなり、原子力発電に頼りすぎることもなくなるので
は? そして、この製品なり特許技術が世界に広まることにより、再生エネルギー
の比率が高まり、地球温暖化防止に大きく貢献できるのではないか。
ペロブスカイト太陽光発電
(ネット画像より)
現在は、性能の安定性や材料に鉛を使用しているなどの欠点があるようですが、
世界中で開発が進められており、日本でも経産省のグリーンイノベーション基金の
中で最大数百億円の予算が見込まれています。この新しいエネルギーが手に入る
なら、従来型エネルギーより安価になれば流れはぐっと変わってくるでしょう。
地球温暖化が防止できれば、これが原因で発生する巨大災害を減らすことが出来、
多くの命を救済できるとともに、災害復旧への費用と時間が軽減される。巨大豪雨、
干ばつ、大規模森林火災、高気温による被害の増大を防ぐことが出来れば、地球
全体でみれば大きな効果が期待できるでしょう。
この技術は、もともと日本で発明されたのです。ペロブスカイトは灰チタン石の
ことで鉱物ですが、この結晶構造を持つ素材を一般的な化学物質として合成して
作ることが出来、これを発電素子として、2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力教授ら
によって、新しい太陽光発電技術が発明されたのです。
薄型、軽量で材料を印刷技術で製品化できるので、製造コスト、設置コストが
大幅に削減できると共に、シート状に出来るので、よりフレキシブルな設置が可能
となるなど大いに期待され、現在世界で開発競争の状態にあるそうです。
ちょうど1年前の拙ブログ「次世代太陽電池」(2022.9.23)に記事投稿してい
ますが、あれから1年が過ぎ、様々な企業で実証実験が行われると共に、開発が進め
られている記事がネットに散見されましたのでここに取り上げました。
おりしも、今年、9月13~15日に幕張メッセで『新エネルギー総合展』が開催
されるようで、おそらくその場でも展示されることでしょう。また、9月19日には、
情報機構セミナー『ペロブスカイト太陽電池の最前線』があるほか、ペロブスカ
イト関連の多数のセミナーが企画されていました。
日本で、現在開発・実証実験を進めている企業のニュースリリースやその他関連
記事を以下に列記しますので、現状の流れなどを察知くだされば幸いです。
◎9月4日(スマートジャパン)『パナソニックがガラス建材一体型のペロブスカ
イト太陽電池を開発。「発電する窓」としてさまざまな分野への展開を目指し、
神奈川県藤沢市で実証に取り組む。』 パナソニックは2023年8月、ガラス建材
一体型ペロブスカイト太陽電池のプロトタイプを開発したと発表した。 今後、
技術検証を含めた1年以上にわたる長期実証実験を、神奈川県藤沢市のFujisawa
サスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)内のモデルハウスで実施する。
ガラス建材一体型 (パナソニックニュースより)
◎6月28日(スマートジャパン)『エネコートテクノロジーズとトヨタ自動車が、
車載用ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた共同開発を開始したと発表した。』
エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)とトヨタ自動車は2023年6月27日、
車載用ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた共同開発を開始したと発表した。
◎8月3日(Pregident online)紙のようにペラペラで曇りの日も発電可能…
日本人が開発した夢の太陽光電池「ペロブスカイト」の超技術 「従来型の太陽光
パネルと違って超軽量・超薄型であるため、どこでも設置可能で、曇天の弱い光
でも発電できる。日本政府はこの夢の新技術の開発・流通を急ぐと同時に、海外
への技術流出を防がなければならない」 6月17日、大阪府島本町に西村康稔経済
産業大臣の姿があった。「水無瀬イノベーションセンター」という積水化学工業
の開発研究所である。
◎7月6日(Telescope) ビルの壁や自動車の車体を発電機に変えるペロブスカ
イト型太陽電池 今、消費地で大電力を生み出すことができる「究極の地産地消」
を実現するための太陽光発電技術が実用化を見据えて進められている。ビルの壁や
自動車の車体など電力を消費するモノの表面に発電機能を付与できる可能性を秘め
た新型太陽電池(光電池)「ペロブスカイト型太陽電池」である。
◎5月24日 (日刊工業新聞) 東京都・積水化学、ペロブスカイト太陽電池の
実証開始 下水処理施設に設置 国内最大規模のフィルム型太陽電池を森ケ崎水
再生センターに・・
東京都・積水化学実証
(日刊工業新聞より)
◎5月25日(NHK)「実現すれば、これまでの不可能を可能にする太陽光発電だ」
資源エネルギー庁の幹部がそう語る技術に取材者として心が踊った。ペロブスカ
イト太陽電池。厚さ1マイクロメートルのフィルム型の太陽電池だ。 世界的な
エネルギー危機の中で、この太陽電池が何を変えるのか。 取材を進めると、日本
のエネルギーの弱点を克服しうる、いくつもの優れた特性が見えてきた。
◎NTTデータ は来年4月から東京・港区にあるデータセンターの壁にフィルムを
設置し実証実験を行うことにしている。会社では実用性が確認できれば、全国に
16あるデータセンターでペロブスカイト太陽電池の導入を目指すことにしている。
◎東芝 2018から産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発。 2021.9フィルム
型のペロブスカイト太陽電池で独自の成膜技術を開発し、2025年までに実用化を
目指している。
◎ホシデン 2021に本格参入 23年から量産体制
◎リコー 複合機の開発で培った技術を応用し開発した次世代太陽電池4種類を
店舗へ設置。セブン‐イレブン店舗での次世代太陽電池の実証実験は国内初。
店内照明や壁面、窓面でも新たなエネルギー創出が可能。 東京 大田区は、精密
機器大手の「リコー」と連携して、区内の小学校に「ペロブスカイト太陽電池」を
提供し、国連が掲げる持続可能な開発目標、「SDGs」などの学習を進めることに
した。 軽く長持ち薄型太陽電池、室内や壁に 23年度量産化
このように次世代型の有望視されている太陽光発電は、更に安定性の確認と、
発電効率の向上のほか、使用材料に鉛を含んでるため、そのままでは一般的な使用
が難しく、鉛を使用しない材料の開発などが急がれているとありました。
そして・・
◎5月17日(日経Xtech)に、次のような記事がありました。『敗色濃厚になった
日本のペロブスカイト太陽電池』 中国の積極的な特許出願があり、仮に後続発明
に成功したとしても、シリコン系太陽電池と同様の展開となり、中国勢に価格で
かなわないと判断したことが大きいと思われる。 特許出願の中身を見ると、その
ほとんどが装置(モジュール化)に係るものであり、素材そのものへの出願は多く
ない。このことは画期的な材料開発により、技術優位性の順位が変化する可能性
があることを示唆している。 一方で、素材開発が装置開発と表裏一体であり、
安定した性能を確保するためには、装置開発の技術が重要であるといえるだろう。
その点では、やはり特許出願で先行する国や企業が優位であり、中国の優位性は
揺るがないと思われる。
まだ発展途上でありますが、なんとしても実用化が行われ、現状の大きな課題
の解決に向けた一歩を踏み出せる日が来ることを願ってやみません。
厚さ1ミリ、折り曲げ可能!次世代の太陽電池「ペロブスカイト」とは?【Bizスクエア】 | TBS NEWS DIG