先日(9/16)の「NHKおはよう日本」で、エイジズム(ageism)というのが
取り上げられていて、しっかりと観ていなかったのですが、アシュトン・アッ
プルホワイトさん(1952年米国生まれ)がエイジズムの専門家として紹介され
ていました。広く活動されているそうです。
エイジズム‥何となく意味は分かりますが、ハッキリとしておきたくて、例
によってネット調べをしてみました。
ウイキペディアに『 エイジズム(英: ageism、agism)とは年齢に対する偏見
や固定観念(ステレオタイプ)と、それに基づく年齢差別を指す。国により意味
合いが異なる場合があり日本では年次主義も包含する。アメリカでは高齢者に
対する差別、老人蔑視・偏見を指す場合が多い。若者や中年など他の年齢層、
世代に対する偏見も含まれる。 日本では高齢者のみではなく、若者、女性に
対する扱いも年齢、年次により軽視される傾向がある。組織においては年功序列
制度がある。』とあり、エイジズムは広義と狭義の二つの視点から理解すること
ができ、広義では、年齢にかかわらずすべての世代に対する偏見や差別、つま
り
若者に対する偏見、中年層に対するものなどですが、ここでは、おおむね高齢者
に対する偏見や蔑視などの差別を取上げているようです。
アシュトン・アップルホワイト著
(ネット画像より)
エイジズムとは最近のことではなく、既に1969年にアメリカのロバート・バト
ラー氏が提唱した言葉で、当時、人種差別主義のレイシズムや性差別のセクシズ
ムに倣って、年齢差別(特に高齢者に対して)を指しています。当時はまだ高齢
者の割合が低かった時代ですが『年をとっているという理由で高齢者たちを組織
的に一つの型にはめ差別すること』と定義し次の3つの要素を複合した意味合い
でした。
・老人、老齢、老化についての偏見的な態度
・老人に対する差別的な習慣的行為
・老人に対するステレオタイプを存続させる制度やポリシー
具体的には『例えば、高齢者は性欲がなく性的な問題とは無関係であるといっ
た言説や、個々人の能力を鑑みず年齢を理由に役職を退くべき、運転免許を返納
させるべきといった言説がエイジズムに相当する』というものでした。
(ネット画像より)
今や、80歳以上が10人に1人となった時代には、当時に比して、高齢者が大
集団になって、これらの問題が当時よりも顕在化してきたと見るべきなんでしょ
うか。当時よりもはるかに大集団となった高齢者の力が、それだけ大きくなって
いるからエイジズムなんてどこかに押し流されている‥というのとは反対に、
むしろ現代の大きな問題事項であるとの捉え方なんですね。
私は、既に後期高齢者を過ぎて、今や末期?高齢者のグループに入ろうとして
いますが、ことさらに、エイジズムの偏見、差別をあからさまに感じたことは
幸いにしてありません。
(デーリー東北より)
確かに、ある年齢が来た時、まだまだ元気でやる気もありましたが、年齢故に
退職しました。 それは、特段差別とか偏見とかを想起することはなく、ただ、
「世の中の流れ・習わし」と受け止めていました。しかし、「年齢がゆえに職を
引くというのは、組織にとって大きな損失ではないか」などの意見は持っていま
したが、やはり若い人に譲るというのも組織活性化につながる‥との意見も又
しかるべし。
厚労省では、平成28年4月1日、「障害者差別解消法に基づく対応要領・対応
指針について」の中で医療関係事業者向けガイドラインを公開していますが、
その中で、看護師などの医療関係者が(病気やケガをしている=障害をもつ)
患者に対して、
- 本人を無視して、支援者・介助者や付添者のみに話しかけること
- 大人の患者に対して、幼児の言葉で接すること
- わずらわしそうな態度や、患者を傷つけるような言葉をかけること
- 診療等に当たって患者の身体への丁寧な扱いを怠ること
を差別と認め、法律違反とした。とあります。
病院などにおいて、看護師が高齢の患者に対して子供相手のように話しかけ
たりする場面が多くみられますが、場合によっては「言葉による暴力」と見做
されることがあるとあります。老人相手だからと看護師がタメ口や赤ちゃん言葉
を使ってよいと決めつけることは、典型的なエイジズムとされます。このような
言葉遣いは2010年代半ばの時点(厚労省の指針)で既に本来介護現場などであっ
てはならないことと否定されているのです。さらに、お年寄りだからといって
過剰に世話をし過ぎることによって、逆に患者の自主性を損ない、治療と回復
の妨げとなってしまう例なども挙げられていました。
仮に病院などで、“おじいちゃん、もうちょっと頑張りまちょうね”などと
優しく言われるとき、これって差別されているのか・・迷うかもしれませんね。
むしろ親しみを感じるかもしれませんね。
エイジズムの提唱者、ロバート・バトラー博士は、「老年学の父」とよばれ、
ILC 米国センター理事長をされていた2010 年 7 月 4 日に急性白血病で逝され
たとありました。享年 83 歳だったそうです。
老年学の父、ロバート・バトラー博士
(ネット画像より)
BEST OF ENNIO MORRICONE - The Maestro & The European Pop Orchestra