蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

無電柱化  (bon)

2018-03-26 | 日々雑感、散策、旅行

  突然ですが、電柱を地下化したりして空間から無くすことなんですが、かなり以前から
叫ばれている一つの事案で、国交省によれば、1986年に第1期計画(5年)が始められ、
これまで 6期まで進めて、約10000km弱の地中化をしてきたとあります。 3~400km/年で
進められてきましたが、2009年からは 約260km/年とぺースダウンしています。

    
                              (国交省HPより) 

 無電柱化を推進する派がどこかにいらっしゃるのか、2016.12.9には、「無電柱化の推進
に関する法律」が成立し、これに基づいて、このほど(平成30年2月19日)「無電柱化推進
計画( 案)」が策定され、年度内に正式決定する予定とありました。 

 法律の無電柱化目的は、『災害の防止、安全・円滑な交通の確保、良好な景観の形成等
を図るため、無電柱化の推進に関し、基本理念、国の責務等、推進計画の策定等を定める
ことにより、施策を総合的・計画的・迅速に推進し、公共の福祉の確保、国民生活の向上、
国民経済の健全な発展に貢献』とありました。
 諸外国の状況を見ても、日本のそれは大変遅れていることが分かります。

    国別状況
     
                          (国交省HPより) 

 
 確かに、阪神淡路大震災など災害時に電柱の倒壊で救助活動が出来ないなどの問題が
浮き彫りになり、また、車椅子などの安全な通行の確保など時代の要請があります。

 国交省の本件HPの目的には、『無電柱化は、「景観・観光」「安全・快適」「防災」の
観点から推進しています。』とあり、目的のトップには、景観・観光が揚げられています。
 具体的には、次のように掲載されていました。

  • 「景観・観光」・・・景観の阻害要因となる電柱・電線をなくし、良好な景観を
    形成します。 
  • 「安全・快適」・・・無電柱化により歩道の有効幅員を広げることで、通行空間の
    安全性・快適性を確保します。 
  • 「防災」・・・大規模災害(地震、竜巻、台風等)が起きた際に、電柱等が倒壊する
    ことによる道路の寸断を防止します。
       景観               災害
    
               (国交省HPより) 

  で、推進計画の具体的な内容は、2018年度から3年間で1400kmの無電柱化を目標とし
います。実施に当たっては、重点的に進める区域を定めて、①緊急輸送道路や避難所に
通じる道路、②生活道路や商店街、通学路など、③世界遺産などの歴史的な趣のある
観光地、④首都高速中央環状の内側を優先的に行うとしています。
 計画案で対象となる電柱は、5~6万本と想定されているようですからまだ先の遠い話
ではあります。

     電柱の推移(国交省HPより)
       

 

 また、地中化するための費用は、1km当たり4~ 5億円と電柱方式の約20倍もかかるなど
多くの予算が必要で、このため、これまでもなかなか進展を見なかったのですね。 した
がって、地中化に当たって、さらにコストダウンを図る施策が検討されている他、地中化
によらない方法、たとえば、軒下配線や裏道配線なども考慮するといわれています。軒下
配線は、ヨーロッパなどでよく見かけますが、ビル(建物)を利用した配線方法ですね。

 
                            (国交省HPより(

 無電柱化については、東京都は積極的で、先頃 小池知事の推進発言があったところです。
予算の豊富な東京などは、せいぜい進めてほしいところですが、そうでないところでは、
優先度はそれほど高くはないかもしれません。

 

 このように、今や、“邪魔もの?”扱いの電柱も、明治2年(1869年)東京~横浜に電信
が開業され、一つの大きな文明開化として 当時では相当なインパクトをもって迎えられた
ことでしょう。
 電信線を添架する柱を「電信柱」と呼称され長い間親しまれてきました。 その後、明治
11年(1878年)に初めて電灯がともり、その4年後には銀座2丁目に街燈が点き、配電のため
の柱も立つことになるのです。 文明の恩恵が広まって行くのです。 
 (昨日、3月25日は電気記念日でした。当ブログ「電気記念日」2014.3.25ご参照)

 昭和50年代には、有線放送ケーブルの電柱への無断添架が法廷問題にまで発展するなど
注目されたり、電柱への無断広告紙の貼付問題から無電柱化の動きもあったようですが、
費用負担を避けるねらいから、誰が考え出したか、電柱の目線部分に、糊付けできないよう
に“いぼいぼ”を付けたプラスチック状の帯を巻き付けた「美化柱」と称する一時しのぎの
対策が取られたりしていました。

 

 新しい文明の発展と共に、増大してきた電柱も、このような歴史的な役割がそろそろ終焉
に近づいて、むしろ災害や観光・景観から無い方が良いとの立場に追いやられてしまったの
ですね。 優先順位を付けて実施するのは良いとして、ここにもまた小さいとはいえ利権が
付きまとったりするのかもしれません。

          

 

 

 

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2 コメント

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化学の思い出 (bon)
2018-03-29 09:39:28
pookyさんは、化学について色々と経験された思い出が豊富ですね。
 ネットで調べてみましたら、耐熱、硬質塩ビパイプなどたくさんの種類がありました。家庭用給湯周りには耐熱パイプが必須で、金属に代わってかなり普及しているようっです。電線管としては、硬質なものも使われているようですね。
一口に塩ビといっても、その種類は多いことにびっくりしました。勉強になりました。
返信する
オレンジパイプ (pooky)
2018-03-28 18:47:39
これに使用する塩ビ耐熱パイプがオレンジ色をしていました。110℃ぐらいの熱に耐えて変形しないことが条件で、これをクリヤーする耐熱塩ビパイプ配合を確立するのに奮闘したことが思い起こされます。
いまでもその配合が使われているかどうか?分かりませんがシンプルな配合でした。
懐かしいですね!
返信する

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