9月は、台風だ、地震だ、台風だ、とバタバタしているうちに終わり、気がつけば10月を迎え、スポーツ界もウィンタースポーツへと移る時期になっています。ということで、1ヶ月更新しない間にスポーツ界でもいろいろありました。
大相撲の行方
最初の「大」は、大相撲の大です。レスリング、アメフト、ボクシング、女子体操といろいろあったスポーツ界ですが、その前から暴力問題で揺れ、その前にも何度となく暴力問題、八百長問題を起こしてきた大相撲で、貴乃花親方が引退しました。
事の真相は分かりませんが、貴乃花親方が角界で孤立した結果であることは間違いなさそうです。ここではあえて、相撲協会側と貴乃花親方のどちらの言い分が正しいと思うかはコメントしませんが、かつて大相撲人気を支えた大横綱がこんな形で引退するのは残念でなりませんし、相撲協会にとっても損失であることは間違いないとだけ述べておきたいと思います。
一連のスポーツ界の問題は、ガバナンスの体制があまりにも脆弱なことだと思います。相撲協会にしても、中卒で稽古して、食べて、寝てばかりだったお相撲さんに、経営やマネジメントが出来るはずがないのです。このあたりから改革しないとダメな気がしますが、改革派の旗手と見られた貴乃花親方の引退で、大相撲の行方がどのようになるか気になるところです。
大坂なおみ
次の「大」は、大坂なおみです。日本人初の全米オープンシングルスの優勝には感動しましたが、決勝の相手のセリーナ・ウィリアムズの審判への抗議とペナルティ、観衆の大ブーイングというおまけも付きました。
日本でのくだらないインタビューにも嫌な顔せず対応し、そのお茶目な発言にさらに人気が高まりましたが、もとも印象的だったのは、父の母国がハイチで、母の国である日本で生まれ、アメリカで育ったという経歴の中でのアイデンティティについて問われ、「どこにいても自分は自分」という主旨の発言です。
「今の若い者は」などと言いたがる年寄り(精神面での人も含め)もいますが、どうしてどうして、若者の方が進んでいる面もたくさんあると思います。私の子どもたちの同級生でも、普通に外国籍の子や、ハーフの子がいて、子どもの会話に普通に出ていて、ダイバーシティとか、グローバル化などと大仰な言葉ではなく、ごくごく普通のこととして受け入れているように思います。大坂なおみは、頼もしい日本人です。私も「どこにいても自分は自分」と言えるよう、彼女を見習いたいと思います。
大谷翔平
次の「大」は、大谷翔平です。彼のすごさについては、ここでも何度か書いてきましたが、二度目のヒジの故障はショックでした。しかし、当の本人は、そんなこと気にする風もなく、その後は打者に専念し、たった114試合326打数で、93安打22本塁打という成績を残しました。
そして、レギュラーシーズンを終えた翌日には、さっさと右ひじ靭帯の再建手術(トミー・ジョン手術)を受けたことが発表されました。
彼の本当のすごさは、恵まれた才能ではなく、自分の決めたことを一筋に努力出来ることだと思います。しかも、それが苦しそうではないところもすごいと思うのですが、本当に心から野球が好きなんだと思います。普通の同年代の人が手にしないような報酬を得て、野球以外のことに目移りする選手もたくさんいますが、彼の場合は本当に野球が第一で、報酬などは二の次なのでしょう。こうした純粋な思いが、観るものを魅了するのでしょうね。来年度は、投手・大谷を観ることは出来ませんが、一刀流でどこまで記録を伸ばすのかを期待したいですね。私もいくつになって自分の決めたことを一筋に努力出来る大人でいたいと思います。
大迫傑
最後の「大」は、大迫傑です。佐久長聖で全国制覇、早稲田でも箱根を制するなど、日本では超エリートランナーですが、日本人には珍しくアメリカに本拠を移し、トレーニングをしてきました。
結果、昨年12月の福岡国際では3位ながら、日本人1位の2時間7分19秒を出し、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)の出場権を得て、今回はシカゴマラソンで、これまた3位ながら、2時間5分50秒の日本新記録を樹立しました。日本人初の5分台です。世界記録は1分台まで突入しましたし、大迫にしてもまだマラソンの優勝はないので、世界との距離はありますが、高岡の日本記録が十数年破られず停滞していたことから、昨年の設楽悠太、大迫傑と続けざまの記録更新で、時計が動き始めました。東京に向けて頑張ってほしいですね。
井上尚弥
最後は大ではなく、井上尚弥です。恥ずかしながら、今年5月まで観る機会がなく、初めて目にしたのが、バンタム級で3階級制覇へ挑戦する試合でしたが、まさかの1回ノックアウトに本当に衝撃を受けました(「泥船日本大学と、モンスター井上尚弥!」)。
そして今回は、WBA、WBC、WBO、IBFと団体が乱立する中、本当の世界最強を決める大会とも言えるWBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)への挑戦でした。
そして、これまた衝撃すぎました。まさかの70秒ノックアウトです。実質的な初パンチのワンツーで、相手は両足が揃ったまま後ろに倒れました。こんなシーン見たことありません。技術的なことは、さまざまな記事で書かれているので、素人の私は触れませんが、どこまで行くのか本当に底知れないモンスターですね。
いろいろな問題も噴出したスポーツ界ですが、楽しみな若者が次々と出てきました。ぜひ、こうした才能がきちんと実力を発揮できる体制を作ってほしいですね。