日本の3度目の優勝で幕を閉じたWBCですが、まだマスコミではその余韻に浸っていますね。私は仕事でリアルタイムでは見られませんでしたが、ニュースなどでは何度も何度もそのすごさを目の当たりにしました。
まず、3/21のメキシコとの準決勝ですが、日本の若手の2枚看板である佐々木朗希と山本由伸を投入しながら、メキシコにリードを許す苦しい展開でしたが、7回には吉田正尚が左手一本でライトポール際まで運ぶ3ランで追いつき、再度2点のリードを許した後、山川の犠飛で1点差に迫り、運命の最終回を迎えました。
まず先頭の大谷翔平が初球を右中間にかっ飛ばすと、一塁手前でヘルメットを脱ぎ捨て、二塁に激走すると、二塁ベース上で魂の雄たけびでベンチを鼓舞しました。続く、4番吉田正尚は四球を選び、「お前が決めろ」とばかりに、次打者村上宗隆を指さしました。前試合で復調したかに思われた村上選手ですが、この日は4打数ノーヒット3三振とまったくいいところなしでした。しかし、チーム全員が信じていたように、日本国民の誰もが「村上打ってくれ~」と祈っていたと思います。ファウル、見逃しのあと、皆さんご承知の通り、センターフェンス直撃の当たりを放ち、大谷翔平に続き、吉田の代走周東が大谷に迫る勢いでホーム上をスライディングで生還し、劇的なサヨナラ勝ちでした。本当にすごい試合でした。
翌3/22が、続くアメリカとの決勝戦です。前日の劇的勝利から日本に勢いありかと思われましたが、日ごとに調子をあげてきたアメリカもスーパースター軍団で、手ごわかく重苦しい展開でした。今大会好調の今永が、2回ターナーに1発を浴びましたが、その裏、村上が右翼2階席に特大ソロで同点とすると、その後も満塁からヌートバーの内野ゴロの間に追加点をあげ逆転、4回には岡本和真のソロで3対1とリード。しかし、相手のアメリカは、投手は一線級はいないものの、打線は超強力打線です。これに対し、日本は今永に続き、戸郷、高橋宏斗、伊藤広海、大勢と日本自慢の投手陣を惜しげもなく投入し、終盤8回にはダルビッシュを投入。1発を浴びて1点差に迫られますが、こうなれば誰もが思ったように、大谷翔平が最終回のマウンドに上りました。先頭打者を四球で出すも、次打者ベッツをきれいな4ゴロ併殺に取り二死とし、エンゼルスでのチームメイトであるマイク・トラウトを迎えました。本当にマンガのような展開でした!いや、マンガを越えています。力んで大きく外れたストレートもあり、3ボール2ストライクのフルカウントから、最後は大きく外角に曲がるスイーパーと呼ばれるスライダーで三振に打ち取り、ゲームセットとなりました。大谷翔平投手は、グラブに続き、帽子も投げ捨て、またまた雄たけびをあげました。
MVPには、大谷翔平選手が選ばれましたが、当然の結果だと思います。投打にわたる成績もそうですが、ここまでチームを鼓舞して本当に素晴らしいチームワークを作り出したこと、相手チームをリスペクトし、野球の素晴らしさを世界に強烈にアピールしたことなど、成績プラスアルファで大谷翔平選手に勝る選手は考えられません。それもこれも成績や報酬ではなく、世界一の野球選手になりたいという思いと、世界最高の舞台で勝ちたいという思いが、大谷選手の原点だからでしょうね。所属チームのエンゼルスで大活躍をしながらもチームは低迷し、「ヒリヒリするような9月を過ごしたい」という願いがなかなか叶わないなか、メジャーリーガーが多く参加するようになったWBCは、まさにヒリヒリするような夢の舞台だったのでしょう。本当に素晴らしい野球選手であり、野球小僧だと思います。また、あれだけのスーパースターのあのような姿勢に触れた他の日本選手もまた多くのことを感じたのではないかと思います。
ラグビー、サッカーに続き、野球も世界を驚かせました!多くの競技が切磋琢磨し、多くのファンの心をつかみ、競技人口を増やしてほしいですね。