4回転ジャンプを決めなければ優勝はないと言われた男子は、SPで織田2位、高橋3位、小塚6位と、日本人選手が上位を占めたものの、SP、フリーとも完璧な演技をしたパトリック・チャンが世界最高得点で優勝しました。無期限資格停止をされている、ジャンプを得意とするプルシェンコが早期復帰を希望したと報道されましたが、本人が望んでいた展開ですから、なおさらでしょうね。
翻って、日本勢は2位につけていた織田選手がまさかのジャンプ違反(普通の選手にはまさかですが、織田選手は何度か飛びすぎをやっているそうです)、高橋選手もまさかの競技序盤のエッジのビスとれで沈みました。そして、最後の砦の小塚は、SPで出遅れの6位でしたが、フリーでは4回転を決めたほか、圧巻の演技で見事銀メダルに輝きました。チャンはすごすぎましたが、小塚選手も劣らず、見事な演技でした。
女子については、思うことろがありすぎて、複雑な心境です。一年前には、立ち位置を間違えてあどけない笑みを浮かべていた村上佳菜子が緊張した面持ちでSPでは力を出し切れず、フリーではいい演技をしたものの、得点は伸びずに8位でした。これまでの何も考えない気楽さから、これから本当の勝負の世界に入ってくるんでしょうね。
そして、浅田真央選手は、SPもフリーも演技前から、ジャンプの踏切りを何度も何度も確認するなど、表情も硬く、悩みが多かったシーズンを象徴するように、6位に終わりました。しかし、今日の曲は真央ちゃんにふさわしい軽やかで、のびやかで、この曲のように、早く天真爛漫な真央ちゃんの笑顔を取り戻してもらいたいですね。
そして、メダル争いは、SPほぼノーミスで2位につけた安藤美姫と、ジャンプに失敗しながらも表現力で首位に立った今季初出場のキム・ヨナの争いになりました。フリーでは、安藤がジャンプで一つ小さなミスをしたのに対し、キム・ヨナはジャンプで二つのミスがありました。しかし、昨年の世界選手権でも、ほぼノーミスの浅田選手に対し、ジャンプで転倒とミスがありながら、フリーでは浅田選手を上回ったように、高得点を叩き出すキム・ヨナ選手ですから、勝負の行方は分かりませんでしたが、見事安藤選手が4年ぶりの金メダルを獲得しました。
数年前には、安藤選手が今の浅田選手のように、暗闇の中でもがき苦しんでいたように思いますが、見事に成長、成熟してきたと思います。今は笑顔がない浅田選手も今を乗り越えて、安藤選手のように次の飛躍を見せてほしいと思います。そして、村上選手も、先輩たちが通ってきたように、うれしいことやつらいことを経験していくんでしょうね。
しかし、男子も、女子も、かつてない選手層の厚さは、これから伝統につながっていくのではないかと思います。