素直に自分の気持ちを表せない照れ隠しなのか、野村監督のような陽の当る道を歩んだ人への反発なのか、本当のところは分かりませんが、半分くらいは野球に対する自分の確固たる考えが原因のような気がします。コーチ経験もなく監督に就任して以来のチーム運営、指導力を見ていると、単なる「オレ流」の人に出来ることではありませんし、この本を読んでいても、彼の野球への考えの深さと同時に、自分の考えを押し付けない人柄がよく分かります。
しかし、この本、字が多いです。普通野球の入門書の類は、写真がふんだんに使われていたり、図解されているものが多いですが、この本は少年野球相手の入門書ではなく、タイトルにもあるように落合博満の野球理論の論文と言ってもいいものです。せがれにはちょっと難しいかなと思ったのですが、所謂入門書の類は何冊かありますし、自分が読みたいと思ったのと、せがれが中学でも野球をやるようになったら参考になるかなと思って買ってみました。
「センター返しが基本」とか、「トップ(テークバックした状態)は、深く(ヒジを伸ばした状態)、高く(ストライクゾーンより)」とか、「右足(右打者の軸足)の内側から左足の内側に体重移動し、体の中心で回転する(後ろ側ではなく)」とか、「トップの位置から一直線にバットを振りだす、そのためには捕手よりのヒジをうまく抜くことが大切」とか、「野球の技術は野球の練習で鍛える」とか、普段「常識」と言われているようなことを自分の言葉で、理論的に解説しています。ここで素人が簡単に要約して書くと、誤解を招くような表現になりそうなので書きませんが、さすが落合、「深い」です。やはり、考えて考えて抜いた選手が強いと思わされます。それにもまして、落合が強調しているのは、「バットを多く振った者が生き残る」ということです。しっかり考えて、しっかり練習する。どんな名選手と言えども、才能だけではないのです。
少年野球選手にはちょっと難しいですが、みんなが中学、高校で野球をやるようになったら、ぜひ読んでみてください。