最近の話題二つです。
ヤクルト優勝!
まずは、ヤクルトの日本一です。一昨日は、私もテレビ観戦していましたが、そもそも選手の吐く息が白く、なんて時期に野球をやっているんだと思いましたが、試合自体も今シリーズを象徴するような接戦となり、延長12回で終了時間が午後11時5分ということで、本当にご苦労様ですという感じでした。しかし、寒い中での熱戦でした。
第2戦を除く全試合1点差という稀に見る接戦の内容は既にご承知の通りだと思いますので、違う観点からの感想を。一昔前だったら、ヤクルト対オリックス戦というカードは、地味なシリーズとして注目されなかったと思いますが、今回は、報道をはじめとして結構注目を集めていたような気がします(個人の感想です)。
理由としては、両チームとも前年最下位からの下克上という応援したくなるような話題や、ヤクルトの山田、村上、奥川、オリックスの山本、吉田、杉本といった注目のスター選手がいたことなどもあるでしょう。しかし、その底流にあるのは、NPBも少しずつ地域密着型に近づきつつあるからだと思います。
オリックスの前身である阪急ブレーブスは、山田久志、福本豊、加藤秀司など個性豊かな一流選手を擁し、阪神甲子園球場と同じ西宮市に本拠地を構えていましたが、まったく人気がありませんでした。野村克也らを擁した南海ホークスも、西宮の阪神と違い、大阪の難波を本拠地としていましたが、やはり人気はありませんでした。長いことNPBこと日本のプロ野球は、セントラルリーグ中心、中でも巨人、阪神を中心に回ってきたからです。
しかし、巨人の9連覇時代を経て、阪神は優勝から遠ざかることが多くなり、人気先行の球団になりました。常勝を宿命づけられた巨人は、なりふり構わぬ補強などで戦力を整え、成績も残してきましたが、直近ではリーグ優勝はするものの、日本シリーズではソフトバンクにこてんぱんにやられるという有様で、今シーズンはペナントレースでも精彩を欠きました。
サッカーのJリーグは、元々地域密着のクラブ運営を理念としてスタートしましたが、長らく企業の宣伝部門と位置付けられてきたNPBは、今もそういう理念はあまりないと思います。逆に、新たにNPBに参入した企業の戦略として、オリックスは神戸に、ソフトバンクは福岡に、楽天は仙台にと本拠地を移し、既存チームでも日本ハムが北海道に本拠地を移したことで、図らずも地域密着の素地が整ってきたことが大きいと思います。
そこにもってきて、巨人の国民球団としての人気の源泉だったテレビ中継の減少が巨人偏重からの脱却に拍車をかけました。巨人の親会社である読売新聞が筆頭株主である日本テレビにとって、かつては巨人中継がドル箱でしたが、人気の低下やサッカーはじめスポーツの多様化は視聴率の低下につながり、利益の源泉であるスポンサーの意向を無視できないテレビ局としても中継を減らさざるを得なくなったというわけです。そもそも、テレビというメディア自体も、地上波だけでなく、衛星放送などチャネルが増え、競争が激しくなったところへもってきて、それどころか若者はYouTubeやSNS などでテレビすら見なくなってきており、昔のように巨人に頼るどころではなくなっているのです。
賛否はあるのでしょうが、日本ハムは宇宙人新庄氏を監督に迎え、既に話題で持ち切りです。シーズンに入れば、成績が伴わなければ批判されるのでしょうが、話題性は十分で、ますます人気は高まるでしょう。伝統球団が多く、改革が遅れ気味のセントラル球団も、いずれ大胆な改革に乗り出さなければならなくなるでしょう。そうすると、ますますプロ野球も面白くなるでしょう。大谷翔平選手にも頑張ってほしいですが、日本の野球にも頑張ってほしいですね!
日本大学、再生への第一歩か?
日本大学と言えば、言わずとしれた学生数日本一のマンモス大学です。日本大学と名乗るだけのことはあります。しかし、中身が日本一かと言えば、必ずしもそうではないと誰もが思っていると思います(関係者の皆さん、すみません)。
理由は、ただ一つ。ガバナンスがまったくなってないということに尽きます。学生さんや、学校経営に直接タッチできない職員の皆さんのせいではまったくありません。
数年前の日本大学アメフト部の悪質タックル問題では、日本大学の問題点が広く知られることになりましたが、日本大学は変わりませんでした。というか、変われなかったのです。そして、今年になって、悪質タックル問題でも問題になり一度は辞職した理事が早々に復帰した挙句、日大事業部を利用して不正に資金を流失させた背任容疑で逮捕されました。巷間で言われれているのは、日大の最高権力者である田中英寿理事長の虎の威を借り、好き放題のことをしていたとのことです。
そして、今日、その田中英寿理事長が脱税の疑いで逮捕されました。上記の件に直接関与していることの証明が難しいとのことで、背任ではなく、脱税での逮捕となったようですが、大きな前進です。事実関係は、今後の捜査の中で明らかになるでしょうから、あまり先走ったことは言いませんが、一つ言えるのは、この理事長のような立場に長くいるガバナンスの体制は絶対に良くないということです。
これまでに問題を起こした権力者のすべて悪いとは私は思いません(中には最初から悪い人もいるでしょうが)。しかし、長く権力の座にいると、必ず権力は腐敗します。自分はそうならないと思っている人も間違いなく、そうなります。そうならないためにどうするかと言えば、自らを縛り、律する仕組みを作ることが必要です。はっきり言えば、自分以外の人間が民主的な手続きで、自分を退場させられるような仕組みを持たなければならないということです。株式会社は、株主や取締役がその権利を持っていますし、日大も理事会でそうした仕組みを持っていたと思います。しかし、会社でも理事会でも、実際に機能しない仕組みは、仕組みとなっていないのです。それを自ら作るか、作らずとも、自ら身を退けるのが、本当に徳のある人だと思います。私は権力は持っていませんが、そういう人になりたいと思います。