昨日のSPで16位に沈んだ浅田選手ですが、本人の落胆は想像してあまりありますが、その悲痛な(というより、それを通り越して能面のようになった)表情を見た私の方がショックでした。
真央ちゃんの涙は4年前にも見ました(「涙雨…、でもいつかは晴れる!」)。もう涙は見たくないというのが、正直な気持ちでした。メダルなんてもういいから、何とか笑顔で終わってほしいという気持ちです。
この気持ちは、私だけではなく、日本中、世界中の気持ちだったと言っても過言ではなかったようです。札幌五輪の時には「札幌の恋人」と言われたジャネット・リンがいましたが、最近では、浅田真央選手ほど世界中から愛されたスケーターはいないと思います。
SPがあまりにも辛かったので、フリーは見ないつもりでした。しかし、未練がましくソファーで寝ていると、夜中に目が覚め、テレビをつけると、真央ちゃんの最後のステップのシーンでした。そして、エンディング。感極まって涙ぐむ表情。歓声。
浅田選手が自分が目指していた演技をやり切ったことが分かりました。自己ベストを6点も更新する142点を叩き出しました。しかし、トリプルアクセルを含む8つのトリプルジャンプに挑む前人未到のプログラム構成で、すべてのジャンプを跳びきったにもかかわらず、回転不足を取られたり、フリーで3位となったりなど、納得いかない点もありましたが、そんなことはもはやどうでもいいことでした。
真央ちゃんが笑顔で演技を終えること。点数や、順位ではなく、どれだけ人の心を打つか。これが何より大事です。
負け惜しみでも何でもなく、誰もがそう考えていたに違いありません。演技後の会場は、ホーム、アウェーとは関係のない歓声がありました。観客席の日本人女性は、演技後しばらくたってもハンカチで目をぬぐっていました。多くの世界のトップスケーターが賞賛の声を寄せました。ニュースのインタビューでも、多くの国民が笑顔で、真央ちゃんが逆境から力を出し切ったことを喜んでいました。
フリーは3位でしたし、総合順位は6位でしたが、誰よりも人の心を震わせたのは真央ちゃんでした。そして、みんなが真央ちゃんの笑顔に金メダル以上のものを見ていたはずです。そして、それを見ている私たちが、力や、幸せや、勇気や、いろんな大切なものをもらったように思います。
順位は、バンクーバーの銀メダルに遠く及ばないですが、あえて「おめでとう!真央ちゃん」と言いたいと思います。そして、「感動を、勇気をありがとう」です!