こんなに痺れる試合を見たのはいつ以来だろうか。プロ野球ではちょっと思い出せませんが、伝説の10.8並みの痺れる試合でした。いやあ、こんな試合ってあるんでしょうか。最後の方は本当にどっちに転んでもおかしくない展開でした。
試合運びの問題はあったと思いますが、何はともあれ結果を出しました。それも決めたのがイチローです。代えた方がいいと言ったこともありましたが、最後の最後にしっかり、しかも見事な結果を出しました。この打席の集中力はとりわけ見事でした。追い込まれてから、ファールで何球も粘り、ワンバンするような球まで当てにいき、最後に見事にセンター前にミートし、二者を返し決勝点となりました。もう一方、守りの立役者は岩隈です。2点は取られましたが、痺れる投手戦をしっかり守り切りました。
しかし、ここに至るまでの試合運びが良くなかった結果、ここまでもつれてしまったのも事実です。ヒットは日本の15本に対し、韓国5本で、本来なら日本が快勝している試合です。日本は9回までに3点は入れましたが、ランナーをためたチャンスを何度もつぶし、もう一本が出ていればこんなに苦戦はしませんでした。
そして、一点リードで迎えた9回裏にダルビッシュを投入したことも裏目に出ました。原監督が公言していたように既定路線だったのでしょうが、ダルビッシュは抑えが本職ではありませんし、立ち上がりに不安もあるので、好投の杉内を引っ張ったり、本職の藤川という手もありましたが、結果論としてはダルビッシュが一死後二者連続四球をピンチを招き、左前ヒットでなんと同点にされてしまいました。正直いって自滅でした。これで流れは完全に韓国に行ってしまいました。
こうして嫌な雰囲気を引きずった10回表ですが、先頭内川がしぶとく右前ヒット。やはりこの男はしぶとい。そして、稲葉がしっかり犠打。続く岩本が左前ヒットで一三塁。ここでようやく五分の流れになった感じです。しかし、ここで得点できないと、また韓国に流れがいく展開。ここで代打に好調川崎。前大会でもキーマンでしたが、ここは初球を当てにいくようなバッティングで内野フライで二死。ここでイチローです。こんな場面で廻ってくるかという展開です。結果は上に書いた通りです。見事でした。そして、裏はまたしても四球でランナーを出したものの、しっかり三振で韓国を抑えてゲームセットで歓喜の瞬間を迎えました。
いや、同一チームと5試合目というのもいかがなものですが、コールドゲームから始まって、二勝二敗のタイになり、正真正銘勝者を決める痺れる試合となり、決勝戦にふさわしい試合になりました。アジア対決となりましたが、日韓両チームの野球に対する評価は高まったでしょうし、こうした決勝戦を行ったことで、WBCの大会としての位置づけも基礎が固まったような気がします。すったもんだの末に監督としてチームを率いた原監督も見事なチーム運営でしたね。プロのコーチたちとともに自分たちがあまり前面に出ることなく、プライド高いメジャーリーガーたちも含めてチームをまとめました。本当に素晴らしいチームでした。