先日のことです。
倅曰く「T先生に、構えた時のグリップの位置が少し低いから高くした方がいいけど、違和感があるようなら今のままでもいいけどね、って言われたんだ」。
私と何が違うのか
「そんなこと3年前から言ってるだろっ!」。これは倅に対する私の心の声です。そうなのです。倅はグリップの位置がやや低く、ツボに入ればうまく当たるものの、ややもすると下からしゃくり上げるような振りになってしまうので、小学校時代何度も指摘してきましたが、とうとう完全には直りませんでした。他の部員でも、もともと低いグリップの位置が、トップで更に下がってしまう部員がいますが、これだと高めの球はとても打てません。何度か言ってはいるものの、癖を直すのはなかなか難しいです。
それをT先生は、押しつけがましくなくサラリと言って、なおかつ「絶対直せ」ではなく、違和感があればそのままでもいいと言っています。
「やるなぁ~」。これはT先生に対する私の心の声です。「絶対直せ」とは言わなくても、本人の心の中にはしっかり残る「気づき」になっているんですよね。私も無理やり直させたわけではありませんが、3年前から何度も言ってきたにもかかわらず、なかなか伝わらなかったことがです。これですぐに直るかどうかは別ですが、他人から言われてやるのと、自分が気づいてやるのでは効果が違うのは当然です。若いに似合わず天晴れです。
リーダーシップ
リーダーシップについては、前にも書きましたが、やみくもに力づくで引っ張るだけでなく、どんな形であれ、人に影響を与え、人の行動を変えることが出来ることをリーダーシップと言います。今でも経済雑誌などで、昔の武将になぞらえて誰々のリーダーシップに学べみたいな特集がありますが、人に影響を与え、行動を変える要素はいろいろあるので、リーダーシップの決定版はないというのが今の定説です。
要素の一つには、「権限」というものがあります。会社で言えば上司とか、野球で言えば監督などは、部下や選手に命令する権限があります。部下や選手は命令に従って動くので、最低限のリーダーシップは発揮できます。しかし、権限は最低限のリーダーシップで、いやいや動くということだってあるのです。
次の要素としては、「情報や能力」というものがあります。この交渉をまとめるにはこうしたらいいとアドバイスをくれたり、あるいは交渉相手のポイントとなる情報を教えてあげると、人はついてきますね。野球の監督でも、相手の分析能力に優れていたり、技術指導に定評があれば、選手に信頼されます。野村監督はこのタイプですね(そして、自分自身で選手に好かれていないし、好かれようとも思っていないと言っています)。
しかし、もっとも強いリーダーシップは、この人に付いていきたいと思わせるような「人間的な魅力や信頼感」です。このリーダーシップには、地位も情報力も必要がない最強のものです(もちろん、それらもあるにこしたことはないですが)。『ROOKIES』の川藤や『スクールウォーズ』の滝沢先生(古)もそうですね。これは野村監督が言っている「選手に好かれる」とはちょっと違うんですね。選手におもねることなく、時に厳しいことも言い、それでも選手が付いていくという人間の器みたいなものですね。監督生活後半の王監督もまさにそうでしたね。人間性についてはもともと誰も文句の付けようのない人格者でしたが、指導者としての自分自身の未熟さを乗り越えた最後の頃は本当に選手が付いてきましたね。あのイチローにも「王監督に誘われたら行くでしょう、普通」と言わせるんですからね。
器なんて言うと大げさですが、T先生は野球部顧問としての権限はあり、野球経験者としての情報・能力もあり、なおかつ生徒との年齢的な近さと威張らない人間的魅力で選手を掌握しているようです。生徒たちがこれに応えて、伸びてくれるといいのですが。新校舎はもうすぐ完成しますが、プレハブの取り壊しなどで、グランドはまだしばらく完全復旧はしないので大変ですが、そこは知恵で補ってほしいものです(散ドラ出身者が一番苦手な部分か?!)。
今日のジョグ
5km 23分56秒