始まりは北京
北京オリンピック後、星野五輪監督への批判が噴出し、WBC監督問題は一気に暗礁に乗り上げ、コミッショナー一任となりました。加藤コミッショナーは、前回監督であり誰も文句がない旧知の王さんの監督就任に期待を滲ませましたが、王さんは固辞しました。出来ないことはないでしょうが、今シーズンがそうだったように、選手に余計な気を遣わせるのは指揮官の資格はないとの王さんなりの矜持でしょう。
迷走
そこで、王さん、野村楽天監督、高田ヤ監督、星野仙一、野村謙二郎らによる有識者会議に委ねられることになりましたが、だいぶ迷走したようですね。きちんと報道をフォローしているわけではありませんし、報道も必ずしも正確ではありませんから、定かではありませんが、最初は王さんが星野仙一を推してメンバーもそういう流れになったようです(ノムさんを除いて)。王さんとしては、やはり現役監督だった自身の経験に照らして現役監督には難しいとの判断だったのでしょう。この時点では、あの星野批判は何だったのかというほど、既に過去の話題となってしまったようでした。星野氏自身からも特段コメントはなかったように思います。
潮目の変化
松井秀喜がケガで欠場を決めている中、前回に続いてリーダーとしての役割が期待されるイチローの発言が潮目を変えました。曰く、「現役監督は無理だと言うのは、本気で取り組もうとしているとは思えない」と。これに続いて、高田ヤ監督が「日本シリーズ優勝監督が務めればいいのでは」と提案し、王さんも「そういう考え方もある」と言いました。ここで、星野氏がWBC監督には就任しないと再度表明し、ようやく星野氏の目は消えました。
最後はあうんの呼吸?
こんな中、巨人の清武代表が原監督が要請されれば容認すると発言し、流れはぐっと原監督に傾いたようです。日本一監督という話もありましたが、この段階では当然日本シリーズはまだ始まっていませんし、西武の渡辺監督は新人監督でとてもWBCどころではないことを見越して、球界の盟主を自認する巨人が自ら流れを作ったのではないかと思います。
かつての日本のスポーツ界では、不透明な代表選考をめぐって問題になることが多かったですが、最近ではアメリカなどにならって一発勝負の選考が多くなっています。北京五輪の女子マラソンのように野口棄権、土佐途中棄権などの結果になることもありますが、選考ルールが透明なので、割り切ることができます。WBCの監督選考もそんなすっきりした形にしてほしいと思います。そして、大切なのは、試合をするのは選手だということです。