伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

人口が変える世界

2006-12-31 21:09:06 | ノンフィクション
 人口問題をキーワードにした日経新聞の連載をまとめたもの。人口問題も、単純な人口増加や少子高齢化だけでなくて、民族・宗派間の人口バランスや較差問題も含んでいて、間口が広いとも雑多な問題を扱って焦点が絞れていないとも評価できそう。
 イスラエルの占領地からの撤退はユダヤ人の少数派転落の悪夢を避けるため(12~15頁)とか、アメリカの人口が西部・南部で増大していることの政権への影響(86~90頁)とか、人口バランスの政治への影響の指摘は興味深い。でも、こういう視点って人を個性ではなくてグループで判断してしまい、そういう世間の見方がその傾向をさらに進めてしまうのが、悲しい。
 中国が1人っ子政策の影響で今後急速に高齢化が進み、若者が急増して人口1位となるインドに世界の工場が移る(32~35、130~134、184~186頁)とか、ロシアで少子高齢化と人口減少が進み、極東・シベリアの過疎化とそこへの中国系移民の増加でロシア政府が神経をとがらせている(116~120頁)とかいう指摘も興味深く読みました。


日本経済新聞社編 日本経済新聞社 2006年12月1日発行
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蝶か蛾か

2006-12-31 10:52:31 | 小説
 46歳~48歳の設定のおばさん猿飛満々子の日常を描いた小説。元気な母親とか、母親の友達の隣人、癌で手術後の友人とか夫の浮気で別れたり戻ったりの娘やゲイの息子との間での掛け合い漫才的なやりとりが続きます。ごくごく気楽に流し読みする作品です。
 ただ、この主人公、ちょっと羞恥心なさ過ぎ。年齢設定が私と同じくらいなんですが、まわりを見回して、この年頃でこういう感覚で動くかなあ、ちょっと疑問に思います。作者も、あえて自分より数歳上の年齢にしているのは、自分の年頃じゃあちょっとここまではと思うからなんでしょう。
 その辺、自分と同世代ではここまではなあと思いながらもう少し上の年ならって思うのは、共通の幻想なんでしょうか。そのあたりの無責任さというか不思議な年齢幻想を、ふと考え込んでしまいました。


大道珠貴 文藝春秋 2006年12月5日発行
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