老化が異常に進行する「早老症」に罹患し末期癌患者の22歳の老婆早坂夏希が、中2の夏を恋人と過ごした想い出の島で最後を迎えようと旅行したところ、そこでかつての恋人と相手が気づかぬままに再会し、気づかれないようにしながら一夏を過ごすという設定の小説。
冒頭から滅多に見れない伝説のグリーン・フラッシュ(夕陽が沈む瞬間に緑色に輝く現象だそうです)が、当然予期できたかのように登場するのに象徴されるように、ちょっとできすぎの設定が続きます。それを気にせずに楽しめば、前半はそれなりに楽しく読めます。
ただ、それでも夏希の心の揺れの振幅が大きすぎて、人物像の把握にとまどいました。菩薩のような穏やかさと、ときおり噴出する若い女性への激しい憎悪。とんでもない病気だからなあと思いつつ読むのですが、終盤で、いろいろな意味で夏希の独りよがりが露わになり、話も暗くなってしまいます。エンディングでは病気も吹っ飛んでいますし、これで終わられると、病気の設定の意味は何だったのとも思えます。
前半・中盤で積み上げてきたものが、終盤からラストで崩れるというかうまくつながらない感じで、暗くなることもあり、読後感は今ひとつ。
北國浩二 東京創元社 2006年10月30日発行
冒頭から滅多に見れない伝説のグリーン・フラッシュ(夕陽が沈む瞬間に緑色に輝く現象だそうです)が、当然予期できたかのように登場するのに象徴されるように、ちょっとできすぎの設定が続きます。それを気にせずに楽しめば、前半はそれなりに楽しく読めます。
ただ、それでも夏希の心の揺れの振幅が大きすぎて、人物像の把握にとまどいました。菩薩のような穏やかさと、ときおり噴出する若い女性への激しい憎悪。とんでもない病気だからなあと思いつつ読むのですが、終盤で、いろいろな意味で夏希の独りよがりが露わになり、話も暗くなってしまいます。エンディングでは病気も吹っ飛んでいますし、これで終わられると、病気の設定の意味は何だったのとも思えます。
前半・中盤で積み上げてきたものが、終盤からラストで崩れるというかうまくつながらない感じで、暗くなることもあり、読後感は今ひとつ。
北國浩二 東京創元社 2006年10月30日発行