英米の詩の読み方についての本。内容的には、大学の英文学の教科書という感じ。
イギリスのファンタジーとか小説を読んでいるとよく出てくる詩人、ワーズワースとかホイットマンとかイエイツとかエリオットの詩が紹介されているのがちょっとお得感がありました。シェークスピアのソネットが3つ出てくるのも、ダン・シモンズ(オリュンポス)をこれから読む身にはよさそう。
どちらかというと詩の解説よりも、冒頭の「いま読んでぴんと来ないものはあとに回せ」(5頁)というアドヴァイスが納得したりして。
そこで語られている日本語と英語の違い、そのために翻訳で失われるニュアンスの説明がおもしろく読めました。例えば日本語が繰り返しを避け、語尾を言い換えていく(小林秀雄の文章を例に語尾をいじるだけで文章の説得力が大きく変わると指摘する9~11頁は注目)のに対して英語は繰り返しが多用されるので、日本語で敢えて繰り返しを多用して独特のニュアンスを出している詩が英訳されると平凡になり、英語の詩を日本語訳するとくどく過剰なニュアンスになるということが指摘されています。また1人称が日本語では様々なニュアンスの言葉があり省略されがちなのに、英語では中性的な「I」だけで省略されないので、翻訳で詩のニュアンスがかなり変わるということも指摘されています。だから英語の詩の原典を読もうという気にはとてもなれませんでしたが、少し勉強した感じにはなれます。
阿部公彦 研究社 2007年3月23日発行
イギリスのファンタジーとか小説を読んでいるとよく出てくる詩人、ワーズワースとかホイットマンとかイエイツとかエリオットの詩が紹介されているのがちょっとお得感がありました。シェークスピアのソネットが3つ出てくるのも、ダン・シモンズ(オリュンポス)をこれから読む身にはよさそう。
どちらかというと詩の解説よりも、冒頭の「いま読んでぴんと来ないものはあとに回せ」(5頁)というアドヴァイスが納得したりして。
そこで語られている日本語と英語の違い、そのために翻訳で失われるニュアンスの説明がおもしろく読めました。例えば日本語が繰り返しを避け、語尾を言い換えていく(小林秀雄の文章を例に語尾をいじるだけで文章の説得力が大きく変わると指摘する9~11頁は注目)のに対して英語は繰り返しが多用されるので、日本語で敢えて繰り返しを多用して独特のニュアンスを出している詩が英訳されると平凡になり、英語の詩を日本語訳するとくどく過剰なニュアンスになるということが指摘されています。また1人称が日本語では様々なニュアンスの言葉があり省略されがちなのに、英語では中性的な「I」だけで省略されないので、翻訳で詩のニュアンスがかなり変わるということも指摘されています。だから英語の詩の原典を読もうという気にはとてもなれませんでしたが、少し勉強した感じにはなれます。
阿部公彦 研究社 2007年3月23日発行