伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

これでアメリカのビジネス法務の実際がわかる

2007-05-18 08:51:25 | 人文・社会科学系
 アメリカで事業を行う際に関係する法律問題の解説書。
 基本的なことは同じように思えますが、改めてアメリカのルールが関係者を対等とみなして自己責任で交渉決定することに重きを置いていて社会的弱者の救済という視点が乏しいことを実感します。
 特に労働分野を見ると、差別については日本より厳しい制裁がありますが、差別に当たらなければ経営側はやり放題という感じです。契約の決め方次第で解雇はやり放題、経営者は労働者に有給休暇を与える義務もないし、残業規制もない(但し時間外の割増賃金率は日本より高い)、健康保険に加入させる義務もないという具合。
 規制は少なく、その代わり規制している分野では刑事罰は極端に重い。
 最近の日本の政治はこのアメリカ型を目指しているわけですが、アメリカ型の公平性・透明性は徹底されずに自己責任と厳罰化だけが進むと、かなり生きにくい社会になるでしょうね。
 この本は基本的には経営者側の観点で、わりと淡々と書いていますが、コラム部分で著者の心情が現れていてホッとします。そちらの方が読ませどころかも。


鈴木淳司 日本評論社 2007年3月31日発行
コメント
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