19世紀の画家ギュスターブ・モローが生前耳の聞こえない母に自分の絵を説明するために作った筆談メモが1984年になって初めてフランスで出版されたものを元にモローの他の文章を配置して編集した画文集。元になるテキストはすべてモロー自身が書いたということですが、他の文章をどの絵に配置するかは著者が独自に判断しているので、著者はモローではないと扱います。
モローの絵はキリスト教とギリシャ神話に題材を得た宗教画・物語絵がほとんどですが、独特の設定で装飾的・幻想的です。私が学生の頃、美術界での評価は高くなかったと記憶していますが、私はわりと好きでした。
久しぶりにまとめて見ると、人物が少なくとも現代の基準では無表情(せいぜいちょっと不機嫌かちょっと驚きくらい)なこと、人物の体の中性的表現が目につきます。画風は違いますが、どこか寂しげな無表情の横顔はシャガールにも影響を与えたかとも感じます。
そして画家自身が自分の絵に付した解説を読むと、改めてモローの詩人ぶり、哲学者ぶりを感じます。画家が期待していたイメージを先に読むと、どうしてもそれを描くことに成功しているかに関心が行って素直に見れません。私は単純に先に絵を見た方がいいかなと思いましたけど。きちんと読もうとするとけっこう難解な文章だったりしますし。
藤田尊潮 八坂書房 2007年2月28日発行
モローの絵はキリスト教とギリシャ神話に題材を得た宗教画・物語絵がほとんどですが、独特の設定で装飾的・幻想的です。私が学生の頃、美術界での評価は高くなかったと記憶していますが、私はわりと好きでした。
久しぶりにまとめて見ると、人物が少なくとも現代の基準では無表情(せいぜいちょっと不機嫌かちょっと驚きくらい)なこと、人物の体の中性的表現が目につきます。画風は違いますが、どこか寂しげな無表情の横顔はシャガールにも影響を与えたかとも感じます。
そして画家自身が自分の絵に付した解説を読むと、改めてモローの詩人ぶり、哲学者ぶりを感じます。画家が期待していたイメージを先に読むと、どうしてもそれを描くことに成功しているかに関心が行って素直に見れません。私は単純に先に絵を見た方がいいかなと思いましたけど。きちんと読もうとするとけっこう難解な文章だったりしますし。
藤田尊潮 八坂書房 2007年2月28日発行