中世のヴェニスを舞台に、自分の髪から炎を発することができる少女をめぐり、厳格な信仰生活を求めてそれに反する人々を処刑して人々を支配する「神の子羊評議会」、食事や美・官能の喜びも神の与えた贈りものと受け取るべきだと考え神の子羊評議会を打倒すべく潜入した大司教、少女を愛した「神の戦士」たちが繰り広げる駆け引きを描いた小説。
奴隷として売られ虐待されてきた少女の姿を描く冒頭は、読んでいて心が痛みます。中世の女性の奴隷が置かれた立場を考えれば、そうなるでしょうけど、女性の作家が女性の主人公をそこまで貶めなくても・・・と感じます。
中盤から一転して奇跡を起こす聖少女とあがめられる少女は、しかし、奴隷の心のまま。それをつつましき美徳とも描かれているのですが、少女を主人公として読むには、最後まで強い主体性を見せない少女には読者としてもどかしく思えます。
異教徒の圧倒的な侵攻を少女の力で救ってもらいながら、自らの権力を守るために少女を魔女と告発して魔女裁判を行い少女を火刑に処する神の子羊評議会の悪辣さ、それを阻止すべく闘う大司教の姿・駆け引きが読ませどころとなっています。
1巻(6月11日掲載)とは、中世のヴェニスが舞台ということ以外は共通点はありません。1巻よりも2巻の方が洗練された感じがします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en2.gif)
原題:Saint Fire : The secret books of Venus 2
タニス・リー 訳:柿沼瑛子
産業編集センター 2007年4月30日発行 (原書は1999年)
奴隷として売られ虐待されてきた少女の姿を描く冒頭は、読んでいて心が痛みます。中世の女性の奴隷が置かれた立場を考えれば、そうなるでしょうけど、女性の作家が女性の主人公をそこまで貶めなくても・・・と感じます。
中盤から一転して奇跡を起こす聖少女とあがめられる少女は、しかし、奴隷の心のまま。それをつつましき美徳とも描かれているのですが、少女を主人公として読むには、最後まで強い主体性を見せない少女には読者としてもどかしく思えます。
異教徒の圧倒的な侵攻を少女の力で救ってもらいながら、自らの権力を守るために少女を魔女と告発して魔女裁判を行い少女を火刑に処する神の子羊評議会の悪辣さ、それを阻止すべく闘う大司教の姿・駆け引きが読ませどころとなっています。
1巻(6月11日掲載)とは、中世のヴェニスが舞台ということ以外は共通点はありません。1巻よりも2巻の方が洗練された感じがします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en2.gif)
原題:Saint Fire : The secret books of Venus 2
タニス・リー 訳:柿沼瑛子
産業編集センター 2007年4月30日発行 (原書は1999年)