伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

How to 生活保護 [2007年度版]

2007-07-12 07:38:00 | 人文・社会科学系
 自治体の福祉課等の職員やソーシャルワーカーらが書いた生活保護のあるべき姿と実情の解説書。
 分担執筆のため、パートによって温度差がありますが、基本的には、今の生活保護制度が行政の裁量を広く認めていることで本来生活保護を受けてしかるべき人が申請をあきらめざるを得なくされている、昨今の「自立支援」と称する改革で生活保護がさらに受けにくくなっているという現状に批判的なトーンです。
 生活保護の資力調査(ミーンズテスト)の屈辱感とかよく指摘されますが、52頁からの説例での手続の流れの解説がわかりやすくて生活保護申請のイメージを持てました。この説例では申請者がきまじめで行政側も熱意がある人なので、実際にはもっと厳しいんじゃないかと思いますけどね。
 知らなかったんですけど、国民健康保険(自営業者とか)の加入者が生活保護を受給すると資格を喪失して、医療扶助の場合全額国庫負担になるのですが、資産が売却できたとかで返還請求されるときはその10割負担分を返さなくちゃならない、しかも意識不明状態で急迫のため職権で保護を開始したときなど本人の意思確認もないままそういう扱いをすることになる(14~15頁)って、かなりひどい。生活保護を受けなきゃ3割自己負担なのに、勝手に10割負担しておいてそれを後から請求されるなんて。


東京ソーシャルワーク編 現代書館 2007年5月20日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする