伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

幼児化する日本社会 拝金主義と反知性主義

2007-08-16 06:49:52 | 人文・社会科学系
 元大蔵官僚で現在は大学教授の著者が教育、政治、メディア等の現状について論じた本。
 白か黒しかないという単純な二分割思考は思考の退化であり人間の幼児化だと嘆き、小泉政権のむき出しの弱肉強食を批判し、「わかりやすさ」と感情論に流れる(煽る)マスメディアの現状を批判する姿勢には、同感します。
 しかし、他方、元大蔵官僚らしく、福祉は最小限にして自己責任を主張し、公務員への批判は、文科省に対するもの以外は回避する姿勢が見え、全体としては今ひとつ。
 二分割思考を批判し事実は簡単じゃない、多面的な思考が必要と論じているはずなのに、いじめや自殺問題について「最大の責任が親にあることは自明のはずです」(19頁)と決めつける姿勢には違和感を感じます。テレビのバラエティ番組で若手タレントをいじめているのを親たちが笑って見ているから子どもたちに「こういうことは面白いことなのだ」という価値観が植え付けられるのは当然(20頁)とか、いじめの責任をとにかく学校以外に押し付けたい姿勢がありあり。元公務員にもかかわらず文科省に対してだけは批判を繰り広げていることとあわせ、現在は大学教授の立場から、教育をする側には自由にやらせろ、学校や教師の責任を追及するなと言っている感じ。いいこと言っている部分もあるけど、ちょっとそのあたり興ざめしました。


榊原英資 東洋経済新報社 2007年7月19日発行
コメント
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