アナリストとしての良心と所属金融機関の利害・官僚の思惑の狭間で揺れる証券会社の債券部門のチーフアナリスト宮本修一が、新聞社の財務省クラブキャップとなった高校時代の親友有賀新太郎と再会し、高校時代の苦渋に満ちた記憶に翻弄されつつ、自分の進む道を定めて行く、サラリーマンもの+青春グラフィティの小説。
現在の修一をめぐる問題点を、財務省の国債発行政策の選択とそれをめぐる金融機関の利害と財政上の利益及び長期金利の動向の読みと一般投資家への影響などの関係者の利害調整の1点のみに絞り、過去についても高校時代の恋人の不可解な言動と自殺及びそれと有賀の関係の疑惑に始まる2人の決別に絞って、かなりシンプルな構成にしているため、話としては大変わかりやすくなっています。修一の選択も、悩んだ末ではありますが、スッキリとしていますし、過去の疑惑もだいたい読者の希望しそうな方向に解決していき、少し哀しいですが爽やかな読後感を持ちました。ちょっとひねりが少なく素直すぎるかなという感じもありますが、人生に疲れてきた中年世代へのエールとしては重苦しくならない方がいいでしょう(現実がすでに重苦しい)から、これくらいがちょうどいいかも。
「人の幸せにダイレクトに結びつくための成長のメカニズムを見つける」ために経済学部に行くという修一(33頁あたり)、それを覚えていて考えている有賀(139頁)、「二十歳の原点」を読んで感動して京都に行きたいという高校生(88頁)・・・作者の生まれを見たら私の1年後。まあ、そういう世代ですよね・・・
田村優之 ポプラ社 2007年7月6日発行
現在の修一をめぐる問題点を、財務省の国債発行政策の選択とそれをめぐる金融機関の利害と財政上の利益及び長期金利の動向の読みと一般投資家への影響などの関係者の利害調整の1点のみに絞り、過去についても高校時代の恋人の不可解な言動と自殺及びそれと有賀の関係の疑惑に始まる2人の決別に絞って、かなりシンプルな構成にしているため、話としては大変わかりやすくなっています。修一の選択も、悩んだ末ではありますが、スッキリとしていますし、過去の疑惑もだいたい読者の希望しそうな方向に解決していき、少し哀しいですが爽やかな読後感を持ちました。ちょっとひねりが少なく素直すぎるかなという感じもありますが、人生に疲れてきた中年世代へのエールとしては重苦しくならない方がいいでしょう(現実がすでに重苦しい)から、これくらいがちょうどいいかも。
「人の幸せにダイレクトに結びつくための成長のメカニズムを見つける」ために経済学部に行くという修一(33頁あたり)、それを覚えていて考えている有賀(139頁)、「二十歳の原点」を読んで感動して京都に行きたいという高校生(88頁)・・・作者の生まれを見たら私の1年後。まあ、そういう世代ですよね・・・
田村優之 ポプラ社 2007年7月6日発行